第四十五話(裏)
シャルは右手に魔術式を発動すると閃光を放ちながらバチバチと小さな雷鳴が響いてきた。
レイラはシャルの行動を見てすぐに接近戦でレイラを電撃で攻撃して動けなくする事を推測した。
シャルが次に取るであろう行動に対してレイラは目の前に掌を出して先程と同じ古代神聖術の光の弾丸を顕現した。
「その右手の電撃で私に触り、麻痺させて動けなくする前に私の光の弾丸が先にシャルロットの体を蜂の巣にしてしまうわ。今すぐ逃げなさい」
今や体の自由を《写し鏡》の意志に乗っ取られて言葉を紡ぐだけしか自由に体を動かせなくなっていたレイラはシャルに撤退するように伝えた。
「私は逃げません」
レイラが口だけが動かせる状態で必死に撤退するように言った言葉をシャルはあっさり否定した。
「本当にバカなの? 今の私は体を《写し鏡》の意志で動かされてる。今まで見たいな手加減すらできない。そのせいで今あんたは怪我だらけになってるのよ!」
レイラの言う通り、シャルの体はシャルに初めて古代神聖術によって攻撃した光の弾丸が掠った部位から血が流れている。
先程と同じ攻撃をされればシャルには防ぐ術はない。それを心配してレイラは語気を強くしてすぐにでも撤退するようにシャルに語った。
「さっきも言いましたが、友達を助けないまま逃げるのも、友達を殺して助かることも絶対にしません」
「なんで、なんでこの状況でそんなバカなことを口にできるの?」
シャルの言葉にレイラはこの真意がつかめなかった。
「レイラさんお言ったように私はバカです。けどレイラさんを助けないまま逃げるのが賢明というなら、私はバカのままでいた方がましと思ったまでです」
シャルがそう言うと右手に溜めていた電撃を地面に叩きつけた。
叩きつけられた電撃は視界を真っ白は強烈な光を放ち、耳を劈く高音を響かせた。
レイラは反射的に目を腕で覆って目の前に広がる閃光を防ぐ。しかし目を防げても耳までは防ぐ事は出来ず強烈な雷鳴が途切れた後もしばらく先程の高音のせいで耳から得られる情報と全身のバランス感覚を奪われた。
体のバランス感覚を奪われたレイラは勝手に前にかがんでいき、ついにはそのまま床に倒れ込んでいた。
「私は最初から電撃でレイラさんに攻撃する気なんてありません。少しの間鼓膜と三半規管の機能を疎外させてもらいました」
閃光も落ち着いたところにシャルは地面に倒れ込んだレイラに話しながら歩み寄った。先程の高温でレイラの鼓膜と三半規管は役に立たなくなったのでもちろんシャルが何を話しているのかレイラは聞き取れていない。
「でもこれでレイラさんの動きを止められました」
シャルがそう言うと、レイラの背中に触り術式を一つ展開した。
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