第四十一話(裏)
ネイラルグが放つ純白の炎に対してシャルは漆黒の炎を掌から放った。
純白の炎と漆黒の炎が衝突すると、衝突した部分から対消滅して瞬時に跡形もなく白と黒の炎が消えた。
「私が出した神聖術の炎を対消滅させる魔術の炎を瞬時に判断して無効化させるとはさすがだ」
純白の炎を放ったネイラルグは瞬時に対消滅させた漆黒の炎をシャルの判断を茶化すような口調で称賛した。
茶化すように称賛するネイラルグに対してシャルは一切油断しない警戒しきった様子で睨んでいた。
「あなたはいったい何者なんですか?ネイラルグ教授?」
ネイラルグを睨むシャルは警戒心を総動員していた。
ネイラルグの放った純白の炎は神聖術の中でも特別高度な神聖術で発動にも難易度な術式だ。それをいとも簡単な様子で純白の炎を放っていた。
「それを聞いて私と君に何の得があるの?相互に利益のない質問に答える程無駄な時間なんて私にも君にもないと思うけど」
ネイラルグが言葉を発した直後、ネイラルグの掌からシャルに向かって漆黒の炎が放たれた。
シャルは漆黒の炎が放たれてすぐに純白の炎を掌から漆黒の炎に向けて放った。
二人が放った純白と漆黒の炎は再び衝突して対消滅した。
「先程の私の魔術をすぐに再現できるその腕。本当にあなたは何者なんですか?」
冷静な表情を浮かべつつ、内心驚きを隠せないシャルは先程自分が放った漆黒の炎を完全に再現したことに驚愕した。
学園内の人間に魔術師がいる事も十分に驚くところだが、一度見た魔術をすぐに再現できるほどの腕の魔術師が目の前にいる事にシャルは驚愕を隠し切れなかった。
「何度も言わせないでほしいよ。そんな質問に相互の利益はない。相互利益のない質問に答える程私はお人よしではない」
ネイラルグは先程のように茶化す口調ではなく少々苛立ちが含まれた口調でシャルの質問に答えた。
「だったら力尽くで答えてもらうだけです!」
シャルは掌に魔法陣を浮かべて、ネイラルグに意識を集中した。
シャルが魔術を発動するとネイラルグの足元から蔓が伸びて絡んでいく。ネイラルグの足元に絡んだ蔦は勢いよく成長して体中に巻き付く。
「神聖力と魔力を同時に吸い取る蔦で私を弱らせるとは、言葉とは違って一癖ある手で責めるとはやはり曲者だな」
蔦に絡まれているネイラルグはくすっと笑った。その直後、ネイラルグの体に絡まった蔦が一瞬で枯れていった。
「けど、この手は私を舐め過ぎだ」
ネイラルグが体を動かすと枯れた蔦はいとも簡単に粉々に砕けた。
「そうでしょうね。ここで戦った時から教授の力はそこが知れませんでした。なので」
そう言うとシャルは握っている剣を投擲した。
投擲した剣はネイラルグに向かって飛んでいく。飛んでいく剣をネイラルグは必要最低限の動きで躱した。
「そんな攻撃で私を倒せると思ってるのか?」
投擲された剣を躱したネイラルグは魔法陣を掌から浮かべて鈍色の剣を顕現させた。
顕現した剣を構えて背後を振り返った。
背後へ振り返ったネイラルグの剣が先程投擲された剣を握っているシャルと鍔迫り合いになった。
「蔦で注意を逸らした一瞬で幻影を生み出した、そして私の背後に絞美酔って投擲した剣を再び受け取って私の背後を斬りかかった。波の相手だったら確実に斬り殺されているだろうね」
シャルと鍔迫り合いしながらネイラルグは口を開いた。ネイラルグの飄々とした表情と違い、シャルは今の攻撃で確実に仕留めた樹でいたためシャルは苦い表情御浮かべていた。
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