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第三十九話(裏)

「——ということです」


 今のミラーが次のミラーの聞きたかった事を聞くと依然として落ち着いた今のミラーとは違い次のミラーは目を丸くして話を聞いてしまった。


「…………」


 今のミラーから紡がれる聖典の話に次のミラーは驚愕してしまった。

 次のミラーの想像していた聖典の事実を軽く超えるイマンミラーの話す衝撃の事実に言葉が出なかった。


「……いろいろと教えていただきありがとうございます」


 声を絞り出すように言葉を発してお礼を言った次のミラーに今のミラーは微笑みを向けた。


「聞きたいことをを聞けていたのであれば何よりです。それに、あなたの様子を見ていると私の時とあなたの時とでは内容に違いがあったみたいですね?」


 次のミラーの様子を見ていた今のミラーは今のミラーの時代と今の時代の内容に違いがある事を察した。


「私も一つ聞きたいことがあるのですがいいですか?」


 今のミラーが発した言葉に次のミラーは咄嗟に今のミラーの目を見た。


「あなたには大切な人はいますか?」


 咄嗟に見た今のミラーの目はとても落ち着いた慈悲深い輝きをしていた。その時に発した言葉にも慈悲を感じる声音だった。


「それはどういう意味ですか?」


 突然の言葉に次のミラーは何の意図で尋ねたのか理解できなかった。そして出た言葉に返した言葉がただの質問だった。


「その言葉のままの意味です。《写し鏡》の依り代になればとても長い時間を過ごします。それも人の何倍も長いとてつもない時間を過ごすことになります」


 椅子に座っていた今のミラーは立ち上がり次のミラーに地下空いて手を掴んだ。次のミラーが掴んだ今のミラーの手はとても暖かかった。


「どれだけ長い時間を過ごしても大切な人達と過ごしたわずかな時間と比べれば大切な人との時間はかけがえのない時間です。それこそ地獄のように長い時間の支えになる大切な出来事です」


 手を握った今のミラーは優しい笑みを次のミラーに向けた。


「私の……大切な人……」


 今のミラーが言った言葉に次のミラーはすぐに言葉が出てこなかった。

 ミラーは《写し鏡》の依り代となるために今まで白髪の仮面たちに大切な家族を殺されて失うものは自分の身一つだけだった。


 そんな自分に大切な人がいるのか問われても答えが出ないと思ってた。

 そんな時、次のミラーの脳裏に浮かんだのは先程まで一緒にいた人物の顔だった。


「どうやら、あなたにも少なからず大切な人がいて安心しました」


 今のミラーは両手で次のミラーの手を包んだ後そっと手を放した。

お疲れ様です。

本日も読んで頂き誠にありがとうございます。

これからも投稿していきますので良ければ次話も読んで下さい。

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