第三十八話(裏)
今のミラーの言葉に次のミラーは驚愕した。
「依り代に選ばれるのは人が決めるのではないのですか?」
次のミラーは率直な疑問を口にした。
今まで《写し鏡》の依り代になるには人が《写し鏡》の依り代として適合する人間を選別した一人が《写し鏡》の依り代になると次のミラーは聞いていたからだ。
「私の場合、《写し鏡》の意志が私に語り掛けて依り代となるように言ってきたのです」
今のミラーは次のミラーに話しながら《写し鏡》の依り代となった経緯を語り出す。
「私は田舎町の師がない農家の子どもで、とある日に頭の中に語り掛ける声が聞こえてきました。それが《写し鏡》との最初の対話でした」
今のミラーが語る過去の話に次のミラーは真剣に聞いていた。
「そしてすぐに王国に呼ばれて《写し鏡》の依り代となる儀式で私は《写し鏡》の依り代となりました。そして私は今までこの部屋にいるというわけです」
今のミラーが依り代となる経緯を語り終わると次のミラーは口を開く。
「なぜあなたはこの部屋に幽閉されているままなのですか?」
次のミラーは一番かがかりな事を尋ねた。
「《写し鏡》の力を使えばこの部屋から出るのは簡単なはずです。人が過ごす何倍も長い時間一人で幽閉されていたのは何か理由があるのですか?」
次のミラーも《写し鏡》の力を聞いている。その力が本当であればこの部屋から出るのも容易いはずだ。しかも人が過ごす事のできる何倍もの時間をこの室内で過ごしている今のミラーの意図を尋ねた。
「確かに《写し鏡》の力を使えばここから抜け出すのも容易いでしょう。けれど私も《写し鏡》も争いは望んでいません。それに私は《写し鏡》と一緒に長い時間を過ごしていた時もなかなか楽しい日々でした」
今のミラーは次のミラーに微笑みを向けて語った。
「まだ尋ねたいことがあれば何でも聞いて下さい。次のミラー」
今のミラーに声を掛けられると、次のミラーは再び質問する。
「私は《写し鏡》の依り代であるあなたに会った時に聞きたかったことがあります。長くなるかもしれないのですがよろしいでしょうか?」
「大丈夫ですよ。私の後任であるあなたの質問に答えられる事であれば答えますよ」
次のミラーから話が長くなる事を伝えられると、今のミラーは嫌な顔をせずに質問に答えられる限りの事を答えると伝えた。
「それでは聞きたいことなのですが——」
次のミラーが自分が今まで今のミラーから聞きたかった聖典の記述について話し出した。
次のミラーから伝えられる事に今のミラーも真剣に答えていく。
お疲れ様です。
今回も読んで下さい誠にありがとうございます。
これからも投稿していきますので良ければ次話も読んで下さい。