第三十五話(裏)
フレデリカが教師棟から姿を出すとシャルとミラーは物陰から姿を出してフレデリカと合流した。
合流するとシャルはフレデリカに記憶を改竄する魔術を使いシャルとミラーに会った時から今までの記憶を教師棟で雑務をこなしていた事に書き換えた。
フレデリカの記憶を書き換えるとシャルとミラーは再び物陰に隠れた。そしフレデリカを操っていた魔術を解除した。
魔術が解除されるとフレデリカに瞳の奥の輝きが戻り急に周囲の様子を確認し始めた。
周囲を確認していたフレデリカは頭に疑問符を浮かべながら教師棟の中へ戻っていった。
「あの様子だと、記憶の改竄は上手くいったみたいね」
「はい。まだ改竄したばかりで違和感を感じているようですが時間が立てば改竄した記憶が馴染んで違和感も忘れます」
フレデリカの様子にミラーとシャルは無事に教師棟の中を調査できて収穫を得られた事に満足する。
「あとは殺気見つけた古代神聖術の暗号で書かれた術式を使えば法具がある場所に転移できるけど」
ミラーは先程フレデリカが視た羊皮紙に記されていた暗号について話題に出した。
「明らかに罠と主張している術式をそのまま使うのも気が引けますね」
唯一古代神聖術を使えるシャルはあからさまに用意されたわなの術式を不用意に使う事に抵抗があるらしい。
ミラーもシャルの意見に賛成らしくシャルの言葉に頷いた。
「そうね。けど結局はあの暗号を使わないと法具のある場所までいけないわ。だから今回はあんただけが転移先に行って《写し鏡》を手に入れてきなさい」
ミラーが口を開くとシャル単独で《写し鏡》の奪取を告げた。ミラーの言葉にシャルは目を大きく見開いた。
「私だって同行した方が精神的に安心できるけど、一緒に同行すれば私は確実に足手まといになる。だから今度はシャルロット、あんただけが法具の場所まで転移して安全と判断したら私を転移させなさい」
ミラーは自身の力量を冷静に判断してこれから危険が待ち構えている場所でシャルの足手まといになると判断していた。その上で適切な行動をシャルに伝えた。
「分かりました。私が安全と判断できたらミラーさんを同じ場所に転移させます」
シャルはミラーの判断に賛同して言葉を返した。
「ミラーさん。それで転移先の術式を教えてもらえますか?」
シャルは暗号を暗記しているミラーに暗号化された術式の解読された状態の術式を教えてもらえるか尋ねた。
「少し待ってなさい。すぐに解読した術式を渡すから」
シャルの頼みにミラーは紙とペンを出して暗号化された術式を解読済みの術式を記していく。
ミラーはペンを躍らせているかのように紙に術式を記していく。踊るように動いていたペンが動きを止めるとミラーはシャルに紙を渡した。
「これが解読した術式よ」
シャルに紙を渡した後に一言伝えると、シャルは渡された紙に記された術式を見た。紙に記されていた術式は早垣で記されたとは思えない綺麗な文字で書かれていた。
「ありがとうございます。それでは行ってきます」
シャルはそう言うと、渡された紙に記された術式を組んで古代神聖術を展開した。
展開された術式はシャルの足元から光の柱が現れてシャルを呑み込み出す。
徐々に光が強くなるとシャルの近くにいるミラーは光が強くなっていき咄嗟に腕で目を隠した。
光の柱の中にいるシャルが光に呑み込まれて姿が見えなくなると、光の柱は瞬時に跡形も残さずに消えていた。
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