第三十二話(裏)
「フレデリカ教諭」
シャルとミラーがフレデリカの方へ歩み寄ると、ミラーはフレデリカに声をかけた。
ミラーの声が聞こえたのかフレデリカは声が聞こえた方へ振り返った。
「あら、エヴァンテインさんにセイレーンさん。どうしたの?」
自分の元へ歩み寄ってくるシャルとミラーにフレデリカは何か用事があるのか尋ねた。
「ちょっとお話があるんですが、よろしいでしょうか?」
ミラーが適当な理由を見繕いフレデリカに言葉を返すと、ミラーはシャルに向けて視線を流した。ミラーの視線に気づくとシャルは即座に次の準備を始める。
シャルは背中に隠した掌に術式を展開した。
「えぇ、私で良ければ話を聞くわ」
フレデリカがミラーに返事を返すとシャルはフレデリカの顔の前に展開した術式が浮かび上がっている掌を伸ばした。
シャルがいきなり眼前に掌を伸ばした事に驚くもすぐに驚きから虚無に表情が変わった。
フレデリカの瞳に輝きが消えると眼前に伸ばしていたシャルは掌を引いた。
「フレデリカの精神を掌握しました。これで私の意のままに動かせます」
「これで教師棟の奥に進む術が見つかったわね」
シャルがフレデリカの精神を掌握した事を告げるとミラーは少しだけ口元が緩んだ。
「じゃあ、さっさと教師棟の奥を探しましょう」
シャルは操っているフレデリカを教師棟へ動かすと、ミラーとシャルは教師棟の外の物陰に隠れた。
「まずは私の策通りにフレデリカ教諭の記憶を読み取って教師棟の内観を把握しなさい」
ミラーの指示通り、シャルは精神掌握したフレデリカの記憶から教師棟の内観を読み取る。
フレデリカの記憶から教師棟の内観を知ったシャルは掌から魔法陣を浮かべた。魔法陣の上には淡く光る立体的な模型が浮かび上がった。
「それが教師棟の見取り図なの?」
「はい」
ミラーがシャルの掌に浮かんでいる淡い光の部屋の模型に教師棟の見取り図なのか尋ねるとシャルは一言だけで肯定した。
「それでミラーさん。フレデリカ教諭をどこへ移動させますか?」
シャルは操っているフレデリカをどこに移動させるのか尋ねた。
シャルが尋ねた後にミラーは立体的な見取り図の一つの部屋を指差した。
「まずはここに動かして。あとフレデリカ教諭を動かしている間教諭の視覚をあんたと私が共有できるようにして」
「分かりました」
ミラーの要望にシャルはすぐに返事を返すと、シャルは空いている手をミラーに向けて術式を展開した。
術式が展開した直後、ミラーとシャルの頭の中に自分の瞳に映絵う情景以外の見た事もない情景が浮かんだ。
「フレデリカ教諭の視覚と共有させました。これで教師棟の内観をよりはっきりと把握できます」
シャルが頭の中に浮かぶ情景がフレデリカの視界に映る情景である事を伝えた。
「これでより教師棟の中を探すのに助かるわ」
ミラーがそう言うと、シャルは目を閉じてフレデリカの視界に映る情景とミラーが指示した部屋へフレデリカを進めていくとフレデリカの視界には漆黒の扉が視界に映った。
シャルはフレデリカを漆黒の扉の前まで動かして扉の取っ手を握って扉を開けた。
漆黒の扉を開けた先には大量のひもで端を括られた紙の資料が部屋の棚いっぱいに並べられていた。
「どうしますか、ミラーさん。資料を虱潰しに見ていきますか?」
フレデリカを操っているシャルはフレデリカの視界に映る大量の資料に目を通すか尋ねた。
「今はしなくていい。それにいくらあんたの精神掌握が完璧と言えど長時間操るリスクは避けたい。今度はここに動かして」
シャルの質問に答えたミラーは魔法陣の上に浮かぶ立体的な見取り図の一角を指差した。
シャルは目を開けてミラーが指差した場所へフレデリカを動かした。
お疲れs間です。
本日も読んで頂き誠にありがとうございます。
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