第二十九話
シャルはミラーと共に学園の敷地の端に移動していた。
「いいわね?あんたが最初にしくじったらこの策は水の泡よ。絶対失敗しないでよ?」
「分かってますから、そんなに失敗を強調しないで下さい」
学園の端でミラーに忠告されてすぐミラーにシャルは言葉を返す。
シャルは言葉を返した後、学園中に仕掛けた術式を展開し始める。展開された術式同士が他に仕掛けた術式と繋がり、空中に学園の敷地ほどある巨大な魔法陣が浮かび上がった。
魔法陣が浮かび上がると上空へ上っていった。
上空に浮かんだ魔法陣から学園に光が降り注ぐ。
魔法陣から降り注ぐ光と共に学園の建造物より大きい体躯の怪物が落ちていく。学園の敷地に落ちた怪物は雄叫びを上げた。
巨大な怪物が学園に現れると学園の学生達は突然の非常事態に悲鳴を上げた。
学園の教師陣はすぐに学生の避難を最優先に動き出した。
教師陣の半数が学生の避難をしていると残りの半数は学園に現れた怪物に攻撃をし出した。
教師陣が怪物の注意をそらすため攻撃の手を緩めずに続けると怪物に命中するはずの攻撃はすべて怪物の皮膚に当たる寸前、攻撃が掻き消えた。
「何なの⁉あの怪物は⁉」
「全然攻撃が命中しない!」
教師陣は怪物に攻撃しているはずなのに一向に命中する寸前で攻撃が掻き消えていると、学園の時計塔の最上部から怪物を攻撃する教師陣に向かって光の砲弾が放たれた。
教師陣は時計塔から放たれた光の砲弾に気付き、すぐに光の砲弾を躱す。
「何だ⁉」
紙一重で光の砲弾を躱した教師陣が時計塔の最上部に視線を変えた。
光の砲弾が放たれた時計塔の最上階には纏っている服装だけでなく服から見える肌も仮面も純白の人物が立っていた。
「何者だ⁉」
教師の一人が攻撃をしてきた人物に声を荒げて質問した。
教師の一人の質問に純白の人物は何一つ答えなかった。
教師陣の中の一部は純白の人物に攻撃の照準を変えて攻撃する。
純白の人物に向けて放たれた攻撃も怪物同様、攻撃が命中する寸前に攻撃が掻き消えてしまった。
「クソッ!」
「なぜ攻撃が当たらない⁉」
純白の人物にも攻撃が命中しないと悟ると純白の人物の放つ攻撃を防ぐ事に注力した。
「どうやら学園の人間全員がシャルロットの幻術にかかったようね」
「はい。これでミラーさんの策の第一段階は成功しました」
シャルがミラーに策の第一段階が成功した事を話していると、ミラーは掌から術式を浮かべた。
「第二段階に移行するわよ。シャルロットもすぐに用意しなさい」
「分かりました。ミラーさんも注意して下さい」
シャルとミラーは互いに目を合わせると互いに別方向に進んでいく。
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