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第二十五話

 ノクトが大広間に到着するとそこには王宮に仕える騎士や魔術師、神聖術師達が手足を拘束されていた。

 大広間に着いたノクトに拘束されていた人達が一斉にノクトの方を見た。


「ノクト!」


 拘束されて身動きが取れない人達の中から雄々しい声がノクトを呼んだ。

 ノクトを呼んだラザフォードは手足を拘束されても一段と大きい体躯だった。


「ホホ。全員の拘束具を外すぞ」

「分かりました!」


 ホホに大広間にいる人達の拘束具を外すようにノクトは指示するとホホは近くにいる人達の拘束具を外していく。

 身動きが取れなかった人達の自由を確保するとノクトはすぐにラザフォードの方へ駆け寄った。


「ラザフォードさん!いったい何があったんですか⁉」


 ノクトはラザフォードに王宮に仕える人達が大広間で拘束されている現状を尋ねた。


「聖騎士レイノスが王宮に反旗を翻した」


 ラザフォードから現状の説明を聞くノクトは今までの違和感の正体を突き止めた。


「聖騎士レイノスは俺達勇者を含めた王宮の人間を全て拘束した。その上国王と聖母教皇を殺して国を乗っ取った」


 ラザフォードから聞かされる衝撃の事実にノクトは驚きの様子を見せなかった。


「そうですか。でももうその危険はなくなりました」


 ラザフォードから聞いた言葉に言葉を返すノクトは無表情だった。


「俺がレイノスさんを殺しました。もう反旗を翻す存在はいません」


 ノクトが淡々とラザフォードの言葉に答えると、ラザフォードは驚愕の表情を露わにした。


「ノクト……」


 ラザフォードが驚愕のあまり言葉を詰まらせた。

 驚愕するラザフォードと違いノクトは無表情で瞳の奥に輝きが一切なかった。


 ノクトの虚無の表情にラザフォードは言葉を返せなかった。

 ラザフォードはノクトがレイノスを殺した経緯は知らないが、結果としてレイノスを殺したという事実はノクトの様子を見て理解した。

 ラザフォードはノクトの生気のない顔を見た事がなかった。


「まだ拘束具が外されていない人の拘束具を外すので手伝っていただけませんか?」


 拘束具を外したラザフォードに話が一区切りついたところにノクトは他の人達の拘束具を外すように頼んだ。


「分かった」


 ノクトから頼まれたラザフォードはすぐに返事を返して他の人達の拘束具を外していく。

 しばらくして大日絵お魔にいる人達の大半の拘束具が外れるとノクトは大広間から出ようとする。


「ノクト!」


 大広間を出ようとしたノクトに声をかける人の声が聞こえた。ノクトが声が聞こえた帆を見ると視界に映ったのはシルフィーだった。

 声をかけてきたシルフィーは目を赤く腫らして頬には涙の跡が残っていた。


「ノクト!皆さんを助けていただきありがとうございます!」


 ノクトの近くに来たシルフィーは大きく頭を下げてお礼を言った。


「お礼なんていらない。それよりシルフィーは大丈夫なのか?」


 ノクトはラザフォードから聞いた話について尋ねた。


「今はそれより聖騎士の反逆を止めなければ——」

「もう終わったよ。俺が反逆者を殺した」


 ノクトから聞いた事実にシルフィーは表情を凍らせた。

 衝撃の事実を口にしたノクトは無表情で瞳に生気が感じられなかった。


「悪いけどホホのことを頼んでいいか?俺は少し一人になりたい」


 ノクトはそう言うと踵を返して大広間を出て行った。

お疲れ様です。

本日も読んできただき誠にありがとうございます。

これからも投稿していきますので良ければ次話も読んで下さい。

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