第二十五話(裏)
「それで拘束した敵から情報を聞き出せたの?」
ミラーはシャルに昨夜襲撃した白髪の仮面から情報を得られたのか尋ねる。
「まだ素直に口を割ってくれる程拷問できてません。もう少しかかりそうです」
「さらっと『拷問』って言葉を使うあんたがたまに怖くなるわ」
シャルが白髪の仮面からまだ情報を手に入れられる状況にいない事を説明するとミラーはシャルの物騒な言葉に引いていた。
「まぁ、それはそれとして、まだ学園内の探してない所もそろそろなくなりそうね?」
「そうですね。あとは学園の教師棟が手空かずです」
ミラーが話を変えて《写し鏡》の捜索でまだ手付かずの場所もかなり減ってきた事をシャルに話す。シャルもミラーの言っている事は理解していて二人が捜索できていない場所が教師棟だけになった事を口にした。
「けど、どうやって教師棟に侵入しますか?学生が入れる所なんてたかが知れてますし、教師以外立ち入り禁止区域は教師として登録されていない人間が足を踏み入れた時点でバレますよ?」
シャルがどうやって教師棟の立入禁止区域へ侵入するかミラーに尋ねた。
「そんなの決まってるじゃない?あんたのお得意の『拷問』でも使った幻術を教師にかけて操ればいいじゃない?」
「私の発言に引いてたミラーさんが今の発言を言うと説得力ないですね?」
シャルの尋ねた言葉にミラーがシャルよりも物騒な発言をした事にシャルも引いていた。
「最初に物騒なことを言ったあんたに言われたくはないわ。それにこれが手っ取り早くて確実な策なのはあんたも理解してるでしょ?」
シャルの発言や表情を見てミラーも反論をした。ミラーのいう事は確かに今の状況で一番容易にできてリスクも少ない。
「そうですね。それでミラーさんは誰を幻術にかけるのか決めているのですか?」
ミラーの話を聞いて納得したシャルはミラーに幻術をかけて操る人物の見当が付いているのか尋ねた。
「それはまだよ。なにせ学園の教師を操って《写し鏡》を捜索するわけよ。あんたの幻術にかかり易くて記憶も都合よく改案しやすい人物を探してからの方がいいだろうし、あんたが敵から尋問し終わってからでも遅くはないでしょ?」
「そうですね。ミラーさんの言う通りです」
ミラーの言う通り、現状考えられる策の中でリスクが少ないとはいえ教師を操って《写し鏡》を探すとなると慎重に行動をするべきだ。シャルもその事は理解できている。
「私は襲ってきた敵から情報を絞り出す事に専念します。なのでミラーさんは幻術をかける教師を探しすのに専念して下い」
「そんなのあんたに言われなくても分かってるわ。くれぐれもへまはしないでね?」
「その言葉、そのままお返しします」
二人はここが《写し鏡》を見つけるための正念場であり最後の手掛かりになるかもしれない事を理解している。
もし最後の捜索場所である教師棟で手がかりを掴めないまま空振りだった場合、学園全部を隈なく探した事になり、これ以上手掛かりが手に入らなくなる。
白髪の仮面からの情報の入手も同じでもし情報を引き出す事に失敗すればこれ以上《写し鏡》への手掛かりを手に入れられなくなる。
ここで互いに失敗できない場所まで進んでしまった以上片方の四五敗は二人に跳ね返ってくる。
シャルとミラーは最低限の言葉で互いに気を引き締めるように伝えて二人は自分の教室に戻った。
お疲れ様です。
本日も読んで頂き誠にありがとうございます。
これからも投稿していきますので良ければ次話も読んで下さい。