第二十一話
天井の穴から脱出したノクトの視界に映るのは一人の人物だった。
「やっと、牢から出て来たな。ノクト?」
独房から脱出したノクトの目の前にはレイノスが立っていた。
「地下牢の騒ぎはレイノスさんの仕業ですか?」
ノクトは地下室の牢獄で起きた事を尋ねるとレイノスは口を開く。
「そうだ、としたらお前はどうする?」
レイノスが口を開くとノクトの質問をはぐらかすよな言葉を発する。
「俺は真面目に訊いてるんです!はぐらかさないで下さい!」
答えをはぐらかすレイノスに対してノクトは語気を強くしてレイノスに話す。
ノクトが語気を強くして発した言葉にレイノスは言葉を返すよりも早く腰の聖剣を抜き一気にノクトの懐へ踏み込んだ。
レイノスが聖剣でノクトを斬ろうとした寸前、ノクトは氷の魔術で足元から巨大な氷柱を突出させる。
氷の魔術で突出させた氷柱はノクトとレイノスの間に突出してレイノスが斬りかかろうとしている聖剣を阻む。氷柱に阻まれた聖剣は斬りかかった勢いは殺されるが、元々の切れ味までは殺し切れずノクトが突出させた氷柱を切った。
氷柱は切ったが斬りかかった聖剣の勢いが殺された事でわずかながらノクトが斬撃を躱すには十分な隙が生まれた。
レイノスの斬撃を紙一重で躱したノクトは懐まで距離を詰めたレイノスから距離を取った。
「先程の一撃を躱すとは。流石は俺の弟子というべきか」
距離を取ったノクトにレイノスは聖剣を構え直してノクトの身のこなしを褒める。
余裕の見えるレイノスに比べて咄嗟の判断で氷柱を盾にして紙一重で躱したノクトは余裕など微塵もなかった。
聖剣を構え直したレイノスは再びノクトとの距離を詰める。
ノクトは瞬時に魔術で剣を顕現して間合いを詰めて斬りかかるレイノスの聖剣を受け止めた。
「これも受け止めるか。だが——」
ノクトが剣で受け止めたレイノスの聖剣に光の粒子が纏い出す。纏っていく光の粒子が聖剣の刀身を覆うと鍔迫り合いになるノクトの剣を折れる。
「——俺が使ってる剣が聖剣なのを忘れるな」
綱ぜり合いの最中でノクトの剣が折れるとレイノスは聖剣術の纏ったレイノスの聖剣がノクトの眼前まで届く。
レイノスの聖剣が眼前に来るとノクトは再び魔術で剣を顕現してレイノスの聖剣の斬撃を剣で受け流す。
聖剣術を纏った斬撃を受け流すノクトは再びレイノスから距離を取る。そしてレイノスの斬撃を受け流した剣を見た。
レイノスの斬撃を受け流した剣の刀身には亀裂が入って片刃が潰れていた。
「今度の一撃もただの剣で避けるとは、成長したな」
レイノスが口角を上げてノクトに話すと、レイノスは構える聖剣の刀身が更に光の粒子が収束していく。
「脱獄の予定は明日のはずです!どうして今ここでレイノスさんと戦わないといけないんですか!」
「だからだ」
レイノスの聖剣の刀身に収束された光が眩く輝くとレイノスはその場で聖剣を振るった。
振るった聖剣から光の刃が幾重にも顕現されてノクトの元へ放たれる。
放たれた光の刃は縦横無尽にノクトの元へ飛んでいく。
ノクトは飛んでくる光の刃に雷の魔術を発動させて雷撃の網をつくり出し飛んでくる光の刃を全て捕らえて相殺する。
「三日が経過したのにお目は俺を殺すことに躊躇したままだ。それでは明日になろうが脱獄して俺を殺せない。だから今この場でノクトと戦いどちらかが死ぬまで殺し合う」
レイノスが聖剣を上段に構えると聖剣に光が収束していく。
レイノスの姿と言葉を受け取ったノクトは察する。レイノスは本気で自分を殺そうとしていると。
お疲れ様です。
本日も読んで頂き誠にありがとうございます。
申し訳ございませんが本作と同時に投稿しています『魔導師見習いの本懐』は諸事情により一ヵ月程投稿を休載させていただきます。
急な運びとなり誠に申し訳ございません、
本作は今まで通り投稿していきますので良ければ次話も読んで頂くと幸いです。