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第二十二話(裏)

 白髪の仮面が向かってくるシャルに雷の神聖術を放とうとするとシャルも同じく雷の神聖術を放つ体勢を取る。


 シャルと白髪の仮面が互いに至近距離で雷撃を放つ寸前、足元に魔法陣が浮かび上がった。

 浮かび上がった魔法陣から光の柱が立ち上がりシャルと白髪の仮面を呑み込んだ。呑み込まれたシャルと白髪の仮面の足元の魔法陣が消えていき、光の柱と共にシャルと白髪の仮面の姿が跡形もなく消える。




 魔法陣が浮かび上がり光の柱と共に姿を現したシャルと白髪の仮面は周りが巨大な籠の中に姿を現した。


「ここなら学園の建物を壊さずに戦えます」


 転移魔術によってシャルは自分ごと白髪の仮面を別の場所へ転移した。


「魔術も使えるとは、やはり悪魔の力を手に入れただけはある」


 白髪の仮面んオ言葉にシャルは鋭い眼光を向ける。


「睨むだけで驚かないところを見ると、かなり戦闘慣れしているようだ」

「生憎、私の目指す夢を遮る敵が多いので。だから嫌でも戦ってきただけです」


 白髪の見透かすような視線と言葉にシャルはシャルは警戒を解くことなく白髪の仮面に攻撃する体勢を崩さなかった。


「何で君の素性を知っているのか気にならないのか?」


 白髪の仮面がシャルに話をかけるとシャルは言葉を返さずに雷撃を白髪の仮面に放った。


「今はあなたと話す気はないです。倒した後に全て吐かせれば分かります」


 雷撃を放ったシャルは白髪の仮面を睨み必要最低限の会話だけをした。


「そうか。だったら先日の交渉は決裂だ。君を倒してミラー・ガブリエルを操り人形にする。それで万事解決だ」


 白髪の仮面はシャルに雷撃を放ち攻撃を仕掛ける。白髪の仮面が放った雷撃はシャルに届く前にシャルの目の前で淡い光の粒子に変換されてシャルの体に吸収される。


「まさか、ミラーと同じ神聖術を神聖力に戻して吸収する技術を身に付けているとは、驚きだ」


 シャルに雷撃が命中する事なく神聖力をして吸収したシャルに白髪の仮面は発現とは違い無表情だった。

 白髪の仮面の雷撃を無力化したシャルは白髪の仮面の元へ歩き出す。


 悠然と近付くシャルに白髪の仮面は掌に魔法陣を浮かべて地面に掌を付ける。

 白髪の仮面が掌を地面につけた瞬間、籠の中の地面いっぱいに魔法陣が展開された。


「これはどう躱す?」


 白髪の仮面が言葉を発した直後、地面から火柱が立ち上がり白髪の仮面諸共シャルを呑み込んだ。

 火柱に呑み込まれた白髪の仮面は緋色の炎に呑み込まれているはずだが自分の肌や髪どころか身に付けている服や仮面も燃えるどころか焦げ付きもしなかった。


 火柱の中に呑み込まれているシャルも緋色の火に包まれているが肌や髪、服が一切燃えていなかった。

 白髪の仮面の炎の魔術によって延々と立ち上る火柱の中に無傷でいる白髪の仮面とシャルは互いに視線が重なる。


「これで分かったはずです。私にあなたの神聖術も魔術では傷一つ付けられない」

「そうみたいだな。君の使える力では君に敵わないことが分かった——」


 シャルが白髪の仮面に魔術や神聖術での攻撃を無効化して白髪の仮面に降伏させようとすると、白髪の仮面が地面に付けていた掌を放し立ち上がる。白髪の仮面が立ち上がった直後火柱が消えて呑み込んでいた緋色の炎が跡形もなく消えた・


「——けれど、君の使えない力ならどう対応する?」

「⁉」


 白髪の仮面が不敵に笑いながら目の前に光の矢を顕現させる。顕現した光の矢がシャルの元へ放たれるとシャルは魔術の盾を顕現ささて防ごうとする。

 シャルの顕現した魔術の盾が白髪の仮面が放った光の矢に命中して魔術の盾に阻まれる——事なく魔術の盾をすり抜けてシャルの左腕を射る。


「ッ⁉」


 光の矢が左腕に刺さり痛みで顔を歪めた。

 白髪の仮面は続けて光の矢を三本顕現してシャルに向かって放った。


 白髪の仮面が放った光の矢をシャルは神聖術の盾を顕現させて光の矢を阻もうとする。しかし魔術の盾と同じで光の矢は神聖術の盾をすり抜けてそのままシャルの右肩、左脛、右太腿を射る。


「ウッ‼」


 白髪の仮面の放った光の矢を全弾防げなかったシャルは光の矢が刺さった痛みで膝を付いた。


「これで分かっただろう?いくら君の使える魔術や神聖術では敵わなくても君が使えない力では君は手も足も出ない」


 膝を付いたシャルは体に刺さった光の矢の痛みに耐えて立ち上がろうとするが自由に体が動かせない。


「その光の矢は体の自由を奪う封印の矢だ。これで君はこのまま動けない。今度は防ぐのではなく躱すことをお勧めする」


 白髪の仮面が目の前で膝を付いているシャルとは反対方向に光の矢を顕現させて放った。

 白髪の仮面が放った光の矢がすさまじい速度で進んでいくと甲高い金属音を響かせて砕け散った。


「確かに魔術や神聖術では防げないようですが、物質自体はすり抜けられないみたいですね?」


 白髪の仮面の背後から聞こえる声を聴いた直後、目の前のシャルが霞のように姿を消していった。


「後学のために尋ねるが、いつから幻術をかけたのか聞いていいか?」


 白髪の仮面は背後から聞こえる声の方に振り返るとそこにはつい先程まで目の前にいたシャルが立っていた。


「マリアさんの部屋であなたを再会した時に幻術をかけました。そして今あなたが見ている私も幻です」


 白髪の仮面に映るシャルは自信を魔細氏と伝えた直後、白髪の仮面は苦笑した。


「まさか最初から戦う気がなかったとは思わなかった。やられたよ。魔王の右腕のシャルロットというべきだな」


 白髪の仮面が吹っ切れたような口調でシャルの本名を口にした瞬間まどろ師のシャルは鋭い眼光を向けて白髪の仮面に近づいて首元を掴んだ。


「これからあなたには全て吐いてもらいます。なぜ私の素性を知っているのか、マリアさんを必要としているのか、あなた達が何者なのか、全て包み隠さず」


 白髪の仮面の首元を掴むシャルの幻を白髪の仮面は鼻で笑う。


「まさか、ミラーが倒したあの男と同じように魔術で自白できると思っているとは思っていないだろう?」

「えぇ。私の魔術で自白する前に自害して守秘する可能性も考慮したからこの場所に転移させました」


 シャルの窓絵圧しに久保元を掴まれている白髪の仮面の発言にシャルの幻は淡々とした口調で返事を返す。

 シャルの幻が返事を返した途端首元を掴むシャルの姿が霞のように消えた。それと同時に白髪の仮面がいる籠の中が急に暗転した。

 暗転した視界に白髪の仮面は周囲を警戒する。


『いくら警戒しようと、自力で幻術を解除しようとしても、私の使える力では敵わないあなたにこれから起こる地獄の拷問からは逃げられません』


 暗転してどこから声を発しているか分からないシャルに白髪の仮面は更に警戒心を逆立てる。

 そ警戒心を総動員している白髪の仮面の背後から物音が聞こえた瞬間振り返ろうとした直後右腕に鋭利な刃物で斬られた感覚が奔る。


「ガㇵッ⁉」


 白髪の仮面は斬られた右腕を見ると暗転して見えないはずの自分の体だけが見えた。その視界に映ったのは斬られた右腕は切断された光景だった。


『これで終わりだと思っているのなら甘いですよ?』


 どこからか聞こえる声が白髪の仮面に届くと次に左腕と左脚に斬られた感覚が奔る。


「グハッ‼」


 左腕と左脚を斬られた白髪の仮面は急に体のバランスが取れず、地面ん五倒れた。

 地面に倒れた白髪の仮面は自分の体だけが見える空間で体の左側を見る。斬られた感覚が奔った部分を見ると斬られた箇所の先の左腕と左脚が切断されて消えていた。


『これはまだ序の口です。あなたは私の友達に精神がボロボロになるまで拷問した後に隷従の呪いをかけて操り人形二しようとした。それを思えばこの幻術で済ませたのは私のわずかながらの慈悲です』


 どこからか聞こえる怨嗟交じりのシャルの声が白髪の仮面に届くと白髪の仮面の鳩尾を貫く激痛が奔る。


「……ッ⁉」


 あまりの激痛に声すら出ない白髪の仮面は自分の腹部を見ると鳩尾を貫く県が突き刺さっていた。

 その激痛よりも先程切断された腕と脚が元通りになっている事態に驚愕が勝る。


『私の幻術であなたの五感を支配しました。腕と脚を斬られた痛みも光景も私があなたの五感を操って痛みと光景を見せています。あなたの精神が壊せる寸前まで無限に続く痛みと自分の体が惨い姿になるのを精々耐えて下さい』


 白髪の仮面の耳に聞こえるシャルの声は淡々とした、それでいてとても冷たい口調だった。

 シャルの声が途切れるとと白髪の仮面の体には全身に奔る激痛と自分の体が凄惨な姿になる光景が延々と続いた。

お疲れ様です。

本日も読んで頂き誠にありがとうございます。

これからも投稿していきますので良ければ次話も読んで下さい。

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