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第十六話

 集会の間に集結した勇者、上級騎士、王宮魔術師、王宮神聖術師は目の前の玉座に鎮座するレイモンド王に跪いていた。


「今回諸君を招集したのは他でもない。魔王の魔力の欠片が封印されていた魔石の一つが壊れそこにいる勇者ノクトの体の中に吸収されてしまった」


 招集理由を改めて説明するのは玉座に鎮座するレイモンド王の隣にいる聖母教皇のサイグリューだ。


「ただでさえ我らに残された魔王の魔力の欠片が残り二つしかなかったというのに今回の一件で最後の一つになってしまった。。勇者ノクト。この事態をどう償う?」


 サイグリューは跪いているノクトを汚物を視る視線を向けた。

 玉座に鎮座するレイモンド王もサイグリューと同じくノクトを見下し凍てつく視線を向ける。


「その件については私の落ち度で魔王の魔力の欠片を封印された魔石を破壊してしまい誠に申し訳ございません」


 跪いているノクトは下を向いたまま目の前の二人に謝罪する。


「謝罪なら誰でもできる。魔王の魔力の欠片が残り一つになってしまった現状に対してどのような償いをするか尋ねている。勇者ノクト?」


 謝罪するノクトにサイグリューは謝罪ではなく償いを求める。


「お言葉ですが教皇様、魔王の魔力の欠片が悪魔側に渡ったわけではありません。今要求されているのは残り一つの魔王の魔力の欠片をどうするかです。その件について話し合った方が良いのでは?」


 ノクトに対するサイグリューの償いを要求する言葉にシルフィーは口を挟み残り一つの魔王の魔力の欠片に話題を変えようとする。


 シルフィーの話題の切り替えはもっともだ。

 悪魔側に残り二つの封印された魔石の内一つが奪われたわけではない。

 シルフィーの言葉にサイグリューとレイモンド王は苦い顔をする。


 シルフィーは跪いた状態から立ち上がった。


「私達には今この魔石一つしかありません。これを悪魔側に奪われてしまえば私達には魔王の手掛かりを失うことにもなります。だからこそ私達はこの魔石を奪われてはならないはずです」


 立ち上ががったシルフィーは玉座に鎮座する父であるレイモンド王の前へ歩きながら締まっていた魔王の魔力の欠片が封印された魔石を見せるように手に持った。

 シルフィーが持っている魔石は妖しい輝き帯びた魔力が中に秘めていた。

 シルフィーに魔石を見せられたレイモンド王は顔色に恐怖を浮かべた。


「それほどこの魔石が恐ろしいですか。国王?」


 恐怖の表情を浮かべたレイモンド王に対してシルフィーは淡々と話しかけた。


「それもそのはずです。普通の人間であれば触れるだけで命を失いかねない。聖騎士殿でも悪魔から魔石を守るために触れてかなり体を蝕まれた。私達勇者でも長時間触れていても体力を消費します」


 淡々と話しているシルフィーはレイモンド王の隣にいるサイグリューに視線を向けた。


「それだけ危険極まりないものが勇者ノクトの体内に入ってしまった。あなた方が勇者ノクトに求めるのは償いの要求ではなく息災であることを喜ぶことです」


 淡々と話すシルフィーは父であり国王であるレイモンド王と聖母教皇のサイグリューに一切臆さず自分の思った事をそのまま話す。

 そのシルフィーの姿はノクトだけでなくレイモンド王に跪く者全員がレイモンド王よりも上に立つ者にふさわしい雰囲気を醸し出していた。


 シルフィーがレイモンド王の前で魔石を見せていた時、ノクトは急に根拠のない危険な予感が全身に奔る。

ノクトがシルフィーを視界に入れるとシルフィーの背中で死角になっているはずの魔石に漂うどす黒いオーラが見えた。

 魔石に漂うオーラはシルフィーの首元に伸びていき巻き付こうとしていた。


「シルフィー!魔石を離せ!」

「⁉」


 嫌な予感が奔ったノクトはシルフィーに叫ぶとシルフィーは後ろから大声が聞こえて咄嗟に振り返る。

 シルフィーが振り返ってノクトを見ようとした途端、シルフィーの手に持っている魔石に亀裂が入った。亀裂の入った魔石からどす黒い魔力が漏れ出す。


 ノクトはシルフィーに叫ぶと同時に立ち上がって魔石を持っているシルフィーへ駆け寄った。

 魔石から漏れ出した魔力がシルフィーの手から首元へ伸びていくと背後から駆け寄ったノクトがシルフィーの首元に伸びるどす黒い魔力を掴んでシルフィーを突き飛ばす。


 魔石から溢れ出す魔王の魔力は封印されていた魔石から全て漏れ出ると掴んでいるノクトの手を伝いノクトの体にまとわりつく。

 体中に魔王の魔力がまとわりつくとノクトは目の前にいる恐怖に染まり切った表情を見せるレイモンド王から距離を取った。


「あ……!あぁ……‼」


 体にまとわりつく魔王の魔力はノクトの体へ徐々に染み込んでいくと前に魔石が壊れて体内へ魔力が吸収された時と違い、魔王の魔力が自分の体に吸収される間、体中の血液が沸騰するような熱が巡りまわる感覚が奔る。


 ノクトは声がまともに出ない程の感覚にノクトは床に膝を付けて蹲る。

 体中にまとわりついていたどす黒い魔力が全てノクトの体内へ吸収されるとノクトはそのまま床に倒れ込んで意識を失った。

お疲れ様です。

本日も読んで頂き誠にありがとうございます。

これからも投稿していきますので良ければ次話も読んで下さい。

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