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第八話

 ノクトは風の魔術を発動した。


風の魔術は小屋一帯に風を発生させ、急速に勢いを増していく。


 勢いを増した風は暴風となり木造の小屋を破壊していく。


「なっ、何だ⁉」


「何が起きてんだ⁉」


「暴風が吹いてるぞ‼」


「馬鹿言うな!さっきまで風一つなかったのに急に暴風なんて吹くわけないだろ!」


 小屋を破壊する暴風に誘拐犯達は驚愕して慌しくなる。


 空間把握魔術で小屋の中の状況を把握したノクトは屋根の上に風の収束点を複数発生させる。


 収束した風は風の塊となりどんどん口径が小さくなる。


 圧縮された複数の風の塊は小屋目掛けて射出され小屋の屋根を貫通していく。



 ギャアアアアァァァァアアアアアアーーーー‼



 激痛と苦悶に満ちた悲鳴が小屋の中から響き渡る。


 ノクトは暴風を操作して風の塊が貫通して蜂の巣になった屋根と壁をを吹き飛ばした。


 ノクトは風の魔術を停止させた。先程まで吹き荒れていた暴風は嘘のように落ち着いて風一つ吹いていない。


 跡形もなくなった小屋を見るノクト。


 そこには赤黒い液体が地面に広がっていた。


 小屋の残骸には赤黒い液体が飛び散った跡が付着している。


 赤黒い液体が流れ出る源流。体中に穴が穿たれた男達は体中に開いた穴から血が噴き出していた。


 ノクトの風の塊に被弾した男達は地面に倒れこみ息も絶え絶えだ。


 ただ一人ノクトの風に被弾しなかった人物——アンリは小屋の片隅にいた。


 アンリの服や顔には男達に返り血が付いていた。


「アンリ‼」


 アンリを助けようとノクトはアンリの元へ進む。


 アンリはノクトが近づく足音に気づくと、足音の方向を向いた。


 返り血で濡れた顔は足音が近づく度に恐怖に染められていく。


「来ないで‼」


 アンリは近づく者を拒絶する。


 おそらくアンリは近づく者をしっかり目視していない。


 目視する余裕もなかった。


 ついさっきまで自分を攫い嗜虐していた人達がいきなり体中から血を噴き出し力なく倒れていく光景を目の当たりにしている。


 パニックにならないわけがない。


「嫌……嫌…………嫌………………」


 呼吸も浅く体中が震えている。


 その様子を見たノクトは体が固まった。


 そして自分のした事を思い返す。


 アンリを助けるためといって、不意打ちで男達に魔術を使用して半殺しにした。そしてアンリは男達が一瞬で半殺しにされる一部始終を見せられた。


 その事実を思い返したノクトは自分がした事の凄惨さを恐れる。


「だ…れ…………だ?」


 血の海になっている足元から消え入りそうな声がした。


 ノクトは足元を見ると他の男達からアニキと呼ばれていた大男が虫の息でこちらを睨んでいる。


 ノクトが放った風の魔術で腕や脚、胴体に至るまで穴が穿たれ血を噴き出している。


 ノクトは再び怒りが頭中に満ちていくのを感じた。


 怒りが脳内を支配する前にノクトは聞かなければならない事があった。


「てめえに聞かないといけないことがある」


 ノクトの言葉に返事はしなかったが視線の向きで話を聞いている事は分かった。


 大男の動きを確認したノクトは言葉を続ける。


「さっき小屋の中で話してた事だ。てめえらはアンリを攫ってここに来た後、アンリを攫うよう依頼した奴とここで待ち合わせをしてたんだよな」


 ノクトは大男に問いかける。


 大男は無言のままだ。


「その依頼人の事を教えてもらうぞ」


 大男を睨みつけながらノクトは言う。


 大男は口角を上げて笑い声を零す。


「他の……誰…か…に……言うと……思…うか?」


 大男はノクトに黙秘の意を伝える。


「いや、喋らなくていい」


 大男の言葉を一蹴したノクトは左手を大男の頭の前に近づけた。


 掌に赤く光る魔法陣が浮かび、大男の頭の上に魔法陣が移動する。


「これから頭の中を見せてもらう」


 ノクトが放った言葉はどこまでも冷え切っていて殺意と侮蔑に満ち満ちていた。


 お疲れ様です。

 tawashiと申す者です。

 今回も読んでくださり誠にありがとうございます。

 今回二話連続投稿します。

 なのでよければ次話も読んで頂けると幸いです。


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