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第十二話

 王都の食事処に入ったラザフォードとホホはテーブル席へ向かった。


「すごく綺麗な店内ですね!村の食事処とは大違いです!」


 ホホは自分が知っている食事処の内観と入店している食事処の内観との差異に驚きと感動を覚えた。


「そうだな。王都の食事処はどこも小綺麗だから初めて入店する客は驚く人もいるが嬢ちゃんみたいに目を輝かせて店内を見回す人は俺も見たことがないな」


 清潔感があり照明によって明るい店内にホホが目を輝かせて感動しているとラザフォードはホホの反応に今までに見た事のない挙動に新鮮な気持ちになる。

 ラザフォードとホホはテーブル席に座りテーブルの上に置かれているメニュー表を見る。

 メニュー表を見たホホは目を丸くした。


「……どの料理も高い」

「王都の物価はヒストリニアの中でも一番高い。この店はまだ飯の量が多くて値段も良心的な方だ」


 メニュー表に書かれている値段に目を丸くして呟くホホにラザフォードは王都の物価の高さや入店した食事処がまだ良心的な値段で料理を提供している事を教えた。


「それに嬢ちゃんの注文した料理は俺が払うんだから嬢ちゃんが値段を気にする必要はない。ちゃんと腹いっぱい食べてくれ」


 ラザフォードはそう言うがホホはメニュー表に書かれている値段がホホの村の食事処の食事処の約二倍高い値段な上、全てラザフォードの奢りだと聞くと余計注文しづらくなった。


「俺はもう注文決まったが嬢ちゃんはどうだ?」

「え?あっ、は、はい。決まりました!」


 ラザフォードはホホに注文が決まったのか尋ねると、ホホはまだ注文する料理が決まっていないにも関わらずラザフォードの返事に決まったと咄嗟に返事をしてしまった。


「相席良いですか?勇者ラザフォード」


 ラザフォードとホホが座っているテーブル席の傍から何者かの声が聞こえた。


「別に構わないぜ。勇者ファルコ」


 傍に来た人物——ファルコにラザフォードは視線のみで確認してファルコに了承の返事を返す。


「あの、ラザフォードさん。この方は?」


 急に現れて相席を申し込んたファルコにホホはラザフォードの知り合いだとすぐに把握してラザフォードに質問する。


「申し遅れてすまない。僕はファルコ。ラザフォードとは旧知の仲なんだ。どうぞよろしく」


 ラザフォードに質問したホホにファルコは勇者という事を伏せてラザフォードとの関係を伝えて挨拶をする。


「あ、あたしはホホと言います!こちらこそよろしくお願いします!」


 名前を名乗って挨拶をしたファルコにホホは緊張しながら名前を名乗って挨拶を返した。


「ホホと言うんだね。よろしく」


 ファルコはラザフォードの隣の席に座りながらホホに話しかける。


「それにしてもラザフォードがあいつとではなくこの可愛い女の子をご飯を食べるなんて驚きました」

「ノクトは別件で王宮図書館に行ってるんだ。俺達が食事を終えたら集合する予定なんだ」


 ファルコは勇者という言葉を伏せてラザフォードを呼び向かいにいるホホを見た。

 ラザフォードはノクトがここにいない理由を伝えてファルコの疑問に答える。


「そういう勇者ファルコも勇者シルフィーと別行動なのか?」

「あまり勇者という発言は控えましょう。ホホさんは関係者ではないのですから」

「残念だがホホは関係者の一人なんだ。それに俺とノクトが勇者ということや悪魔の存在も知ってる。無理に伏せなくても大丈夫だぞ。勇者ファルコ」


 ファルコが勇者である事を伏せていた事にラザフォードはホホがすでに勇者側の関係者になっている事を伝えて勇者を伏せる必要がないと教える。


「そうだったのですか。ということは護衛が目的でホホさんと一緒に旅を?」

「いや、ホホはノクトから魔法薬を教わるためについて来てるだけだ。護衛はそのついでだ」


 ファルコはホホが同行している理由を聞いた途端、表情を引きつらせた。


「はい。ラザフォードさんの言う通りです。あたしは先生から魔法薬を教わっています」


 ホホもファルコに自分がノクトとラザフォードのたびに同行している理由をファルコに伝える。


「あの魔王の子孫が魔法薬の先生。笑えない冗談だ」


 ファルコの口から今までとはまるで違う忌々しそうな声音が発せられた。


「お前の言いたいことはここで言うべきじゃない。目の前にノクトの教え子がいるんだ」

「だからこそだ。ホホさんが知らないからこそ伝えるべきだ。あいつは聖典に書かれる存在すること自体が大罪の絶対悪で、そんな存在が僕と同じ勇者で聖騎士様の弟子など言語道断だ」


 ラザフォードはファルコの発言を制止しようと口を挟むが、制止するどころかより忌々しく饒舌に話すファルコ。


「そんな存在が人に教えるなど片腹痛い。ホホさんも悪いことは言わない。すぐにあいつから教わるのはやめるんだ」


 ファルコは説得するようにホホにノクトから教わるのをやめるように告げた。


「すみません。お断りします」


 ホホはファルコに頭を下げてファルコの説得を丁重に拒否する。

 ホホがファルコの説得に拒否の意志を伝えるとファルコは呆然とする。


「あたしはまだ先生から魔法薬の全てを教わっていません。あたしはあたしの意志で先生から魔法薬を教わっています」


 ホホは真剣な表情を浮かべてファルコに自分の意志を伝える。


「だったら僕が知ってる魔法薬学の権威の方にホホさんを弟子にしてもらうように交渉できる。その方がホホさんのためになるし、あいつから教わる必要もない」

「あたしは先生から魔法薬を教わりたいんです」


 ファルコの好待遇の提案をホホはきっぱり断った。


「どうやらお前の説得も意味をなさなかったみたいだな。勇者ファルコ?」


 ラザフォードは口角を上げてファルコに説得の失敗を告げる。


「それより早く飯を注文しようぜ。俺はもう腹が減った」


 そう言うとラザフォードは店員を呼び注文する料理を選ぶ。

 ラザフォードはこの店で一番量がある定食と肉の盛り合わせを、ホホはこの店で一番安い定食を、ファルコはこの店の一番人気な料理を注文した。


 注文した料理が来るまでの三人は、特にファルコとホホは気まずい空気が漂い沈黙が流れる。

 注文した料理がテーブルに運ばれた後、ラザフォードが中心になって会話を膨らませようとするが先程の会話で交渉決裂してしまったホホとファルコはラザフォードは会話できたがホホとファルコは一切会話をしなかった。

お疲れ様です。

本日も読んで頂き誠にありがとうございます。

これからも投稿していきますので良ければ次話も読んで下さい。

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