第十一話
王宮図書館に到着したノクトは王宮図書館の司書にホホの入館許可証の発行申請をした。
「お待たせいたしました。当館の入館許可証です」
ノクトは王宮図書館の受付で入館許可証の発行を待っていると目の前から王宮図書館の司書がノクトが待っている受付に戻ってきて入館許可証を提示した。
「ありがとうございます」
司書にお礼を伝えて入館許可証を受け取るとノクトはすぐに踵を返した。
ノクトは王宮の敷地である王宮図書館から退館するとすぐに王宮への唯一の正式な出入口である門へ向かう。
「「あ」」
門の近くまで進んだノクトの視界に入った人物はノクトと同じ反応をしてノクトと目が合った。
「お久しぶりです。ノクト」
「久しぶり。シルフィー」
目の前にいるノクトと同じ勇者の一人であるシルフィーは綺麗な立ち姿で挨拶をするとノクトは手を上げて挨拶を返す。
「招集を受けた時の報告では心配しましたが、相変わらず息災のご様子で安心しました」
「まあ、今のところ何も変化がないみたいだし、招集の後に王宮の医務院に行って検査してもらうことになってる」
シルフィーはノクトの元気そうな様子を見て安堵した表情を見せた。王宮から招集を受けた時の招集内容、ノクトとラザフォードが所持して悪魔から守っていた魔王の魔力の欠片がノクトの肉体に吸収された事を知ったシルフィーはかなり心配していた。
勇者ではない人間が魔王の魔力の欠片に触れるだけで肉体を蝕む。現聖騎士でノクトの師匠であるレイノスも短時間触れただけでかなり消耗していた。
勇者であるシルフィーでさえ共に旅をしていたファルコと交代して所持しないといけない程体力を消耗した。
それほど魔王の魔力は人間の体に悪影響を与える猛毒のようなものだ。
その猛毒である魔王の魔力を吸収してしまったノクトの身をシルフィーは心配していた。
しかし視界に映るノクトの姿は旅の前の健康な姿でシルフィーは胸を撫でて安堵した。
「魔王の子孫の俺だから魔王の魔力を吸収しても何の影響もないのだと思う」
「安易な考えはいけません。しっかり医務院から安心できる検査結果が出るまで自身の体を案じて下さい!」
「お、おう」
いつも通りの体調であるノクトは自身が魔王の血統である事が魔王の魔力を吸収しても影響がないのだろうと持論を述べる。
持論を述べるノクトにそれでもノクトの身を案じているシルフィーはしっかりと芳しい検査結果が出るまで気を抜かないようにノクトに忠告する。
「招集までまだ時間があるのにシルフィーは何で王宮にいるんだ?」
ノクトは話を変えようとまだ王宮内への招集までの時間に余裕があるのに王宮へ足を運んだシルフィーに質問する。
「修繕に出していた私の聖剣を受け取りに来たのです。今は聖剣を受け取った帰りです」
「修繕?」
シルフィーが口にした言葉を聞いたノクトはシルフィーの腰に携えた聖剣に視線を移す。
ノクトの視界に映るシルフィーの聖剣は鞘に納まった状態だが鞘から柄尻まで曇り一つない綺麗な状態だった。
「はい。旅先で悪魔側の襲撃がありました。その際聖剣にかなり無理をさせてしまったのでその点検を含めて宗厳に出しました」
「シルフィー達も悪魔側の襲撃を受けたのか⁉」
「その話し方、まさかノクト達もですか?」
シルフィーの口から出てきた『悪魔側の襲撃』を聞いたノクトは自分達だけでなくシルフィー達も襲撃を受けた事に驚愕する。
驚きを見せたノクトの発言にシルフィーはノクト達も悪魔側の襲撃を受けた事を知る。
「あぁ、あいつらが狙ってるものが魔王の魔力の欠片だけじゃないってことが分かった」
「そのようですね。このことも招集の時に話す議題になるでしょう」
襲撃してきた時に悪魔側は魔王の魔力の欠片を回収するだけでなく別の物も収取している事を知った。
「俺の体に魔王の魔力の欠片が吸収されなければ緊急で王宮に招集されることはなかっただろうし、こうやって味方に会うこともなかったな」
「そうですね。久しく会わなかった仲間の顔が見れて良かったです」
ノクトは不謹慎な話ではあるが魔王の魔力の欠片が自分の体に吸収されなければこうやって王都に戻る事もなかっただろうし、同じ勇者の仲間と再会する事もなかった。
久しぶりに味方と再会できたのは嬉しかった。
「俺はもう用事を済ませたから王宮から出て待ち合わせ場所に向かうけど、シルフィーはどうするんだ?」
「私も用事を済ませましたので勇者ファルコとの待ち合わせ場所へ向かいます」
互いに用を済ませて待ち合わせをしている場所に向かっていたようだ。
「だったらその待ち合わせの場所の道の途中まで一緒に行こうぜ」
「そうですね。どのみち王宮から出るまでは同じ道ですから」
そう言うとノクトとシルフィーは王宮から出るために門へ進んでいく。
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