第十話
ヒストリニア王国王都。
「すごいです!ここが王都なんですね!」
ホホは初めて訪れた王都の風景に目を輝かせて見入っていた。
「観光に来たわけじゃないんだ。少しは落ち着け、ホホ」
ホホが住んでいた村よりも人の数や街並みの異なる風景に興奮気味のホホにノクトは落ち着くように告げた。
「別にホホの嬢ちゃんは俺達が王宮に招集されて付いてくるしかなかったんだ。少しは大目に見てやったらどうだ?」
ホホに落ち着くように告げるノクトにラザフォードは自分達の都合で同行せざるを得なかったホホを擁護した。
「そうですが——」
「それに今回俺達が王宮に招集された原因の中心人物はお前だろ?」
「——そうですね」
ラザフォードの意見に口を挟もうとするノクトだが次に言ったラザフォードの言葉にノクトはぐうの音も出なくなった。
今回王宮に招集されたのはノクトとラザフォードが所持していた魔王の魔力の欠片が封印されていた魔石が砕けて封印されていた魔力がノクトの体内に吸収された事を王宮を含め勇者の関係者に伝わり切っ吸招集された。
「それに俺達が王宮に招集されている間、ホホは王宮図書館で時間を潰せばいいんじゃないか?あそこなら国中のあらゆる専門書が揃ってる。魔法薬の勉強するにはもってこいだし、悪魔の襲撃もないはずだ」
ラザフォードはホホを見ながらノクトに自分達が王宮へ招集されている間に王宮図書館の魔法薬学の勉強をさせる理由をつくってあげた。ラザフォードの意図に気付いたホホは先程よりも一層目を輝かせてラザフォードを見た。
「いいんですか⁉」
「これでも俺とノクトは勇者。王宮図書館の入館許可くらいはお安い御用さ。だろ、ノクト?」
ホホが輝く視線をラザフォードに向けているとラザフォードはノクトの方を見た。
ラザフォードが王宮図書館へ足へ運び本を読むような人でない事をノクトはこの旅の間で十分理解した。
ラザフォードがノクトを見たのは入館許可をノクトが取ってくるように頼む意思表示なのだろう。
ノクトはラザフォードの意図に気付いき小さくため息を吐く。
「分かりました。俺が王宮図書館に行ってホホの入館許可証を貰いに行きます。ホホも俺達が王宮に招集されている間だけだから魔法薬学の専門書を読む時間を無駄にするな」
「分かりました!先生!」
ノクトは王宮図書館のホホの入館許可証を入手すると伝えると時間一杯勉強するように告げられたホホは爛々とした表情でノクトを見て元気いっぱいに返事した。
「俺は先に王宮図書館に行って入館許可証の手続きに行くんでラザフォードさんとホホはどこかで時間を潰しててください」
「ありがとうございます!先生!」
「助かるぜ。じゃあ俺達は飯でも食いに行くか。ホホの嬢ちゃん?」
ノクトが先に王宮図書館の入館許可証の手続きに向かおうとするとホホはノクトのお礼を言った。そしてラザフォードはホホと一緒に食事処へ向かう。
「じゃあ集合場所はここでいいですね?」
「あぁ」
「分かりました」
ノクトは互いの用事を終えた後の集合場所を指定するとラザフォードとホホは了解の返事をした。
そして三人はそれぞれの目的地へ足を進めた。
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これからも投稿していきますので気が向いたら次話も読んで下さい。