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第十話(裏)

 破られていた資料のページを所持しているのはマリアの可能性がある。

 シャルはその事に疑問を浮かべた。


 なぜシャルが調査している学園資料保管棟の資料の一部を破ってまで所持しているのか。まして《写し鏡》の記録が記載された可能性のあるページのみを破って所持している理由が分からない。

 シャルが遅かれ早かれこの資料に行きつくぐらいはマリアも理解しているはず。そのページをシャルに一言も告げずに破って所持すればシャルが不振に思うのは自明の解だ。


 不審に思われないようにするならページを破り捨てなくても破ったページを複写するくらいはマリアも分かるはず。


「……もしかして複写できない何かが記載されていた?」


 シャルは破って所持しないといけない一つの理由の推測を呟いた。

 破られたページに自筆や複写機、魔術や神聖術等の人の力だけでは複写できない何かが記載されていたと考えればこれほど原始的かつ単調な方法で入手した理由も納得できる。


 けれど今シャルが入手したい資料の破られたページはマリアが所持している可能性がある。マリアでないとしても破られたページは現在、神聖術研究棟にいる誰かが所持している。


「面倒なことになったなー」


 シャルは小さく息を吐いて探知魔術の魔法陣の上に広がる立体的な見取り図を見た。


「仕方ないか」


 シャルは展開している探知魔術に新たに探知する標的を頭に浮かべる。

 シャルが新たに探知する標的を想像した直後、魔法陣の上に広がる立体的な見取り図に新たな点滅す津店が浮かび上がった。


 新たに点滅する点は神聖術研究棟の内部で移動している。そして先程浮かび上がった破られたページの在処を示す点滅する点とは別々に動いている。

 ページを破って所持しているのはマリアではない。けれどシャルはこの状況に焦燥を感じた。


 シャルが把握している《写し鏡》を探しているのは悪魔側の人間であるシャルに呪術を掻けようとしてまで探すのを協力させようとしたマリアだけだ。


 マリアが破ったページを所持しておらず、別の人物がマリアの近くで動いているとなると考えられる有力な可能性としてシャルではないマリアの別の協力者がマリアに所持している頁を渡す、もしくはマリアとは別の人物がマリアと関係のない人物がぺーじを破り捨てて《写し鏡》を探している二つが挙げられる。


 どちらにしてもマリアと破られたページを所持している人物は互いに遭遇する。

 探知魔術で把握する限りマリアと破られたページを所持している人物はあらかじめ待ち合わせて行動しているような計画的な動きをしていない。


「ごめんなさい。マリアさん」


 シャルは展開されている探知魔術に広がっている立体的な見取り図で動いている探知して位置を特定したマリアを示す点滅する点を指で触れる。


「聞こえますか。マリアさん?」


 マリアの位置を示す点に触れたシャルは触れた後にその場で小声を話す。


『えっ⁉何⁉急に頭の中に声が⁉』


 シャルが触れた点から人の肉声が聞こえた。


「私です。セリスティアです。急を要する用件なのでこのような方法で話すのを最初に謝ります。すみません」

『あんたなの⁉どうやって私の頭の中に声をかけてるの⁉』


点滅する点から聞こえる肉声はマリアの心の声だった。マリアは急に頭の中にシャルの声が聞こえてきて動揺している。見取り図の上に動いていたマリアの点がシャルが話しかけた途端、急に動きが止まった。


「今は私の話を聞いてください。こちらで起きた出来事をお伝えします」


 シャルは《写し鏡》にの保管記録の記載されている可能性のあるページが破られており、そのページを所持している人物が現在マリアの近くで移動している事を伝えた。


『そう。確かにそれはタイミングが悪いわね』


 マリアの心の声はどこか渋みを含んだ声音をしていた。


「疑念が残る状態で信用するのは甘い考えといましたのでこれからの発言で気を悪くされると思いますがこれからの協力関係のためと思って下さい」

『御託はいいから本題を話なさい』


 シャルがマリアに思った疑念の残る中、言及して気を悪くさせる可能性を先に謝罪するとマリアは単刀直入に尋ねるよう心の声で告げた。


「では聞きたいのですが、今マリアさんの近くで破られたページを所持している人物に心当たりはありませんか?」

『なるほど、最初に気を悪くする発言に謝罪した理由ってこういうことね。要するに私と破ったぺーしを所持している人物とグルなのか疑っているってことべ』


 マリアは間接的にマリアと破られたページを所持している人物が元から組んでいる事を探りを入れようとするがマリアはすぐにシャルの真意を断言した。


『私に心当たりはないわ。もし協力者だったらあんたにその話をしているはずよ』


 マリアは見当がつかないとシャルに伝えた後もし協力者であれば事前に伝えると告げる。

 マリアの発言も納得できる。事前に伝えていれば今のようにわざわざ遠隔で尋問のような真似をしなくて良かったはずだ。


「分かりました。それでは十分に破ったページを所持している人物に気を付けて下さい」


 シャルはマリアとページを所持している人物の行動を見ながらマリアの注意を喚起した。

お疲れ様です。

本日も読んで頂き誠にありがとうございます。

これからも投稿していきますので良ければ次話も読んで下さい。

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