第九話(裏)
翌日。
シャルは講義を終えた後、昨日と同じようにマリアと別行動を取り、《映す鏡》が保管されている目星を虱潰しに探していく。
昨日の時点で学園の地下室の立入禁止区域は二人でほとんど調査したしまった。なので今日は学園の学生が普段入る事のない神聖術研究棟と学園資料保管棟を調査することにした。
話し合いの結果、マリアは神聖術研究棟、シャルは学園試料保管棟を調査する事になった。
シャルは他の学英の視界から自然に隠れながら誰にも見られずに学園試料保管棟の前に到着した。
学園資料保管棟の唯一の出入り口の傍に警備員が一人立っていて関係者以外は退けられるようだ。
「さて、どうするか?」
手っ取り早いのは蛍便を力づくで遅い気を失わせる事だが、唯一の出入り口の前に警備員がいなかったり、倒れている警備員を見つけられたりされれば確実に怪しまれる。
「ややこしくならない手段としたらこれしかないか」
シャルは現状の最善策に取り掛かる事にした。シャルは警備員の視界にある茂みに進みシャルの姿が絶妙に姿を隠せる所まで移動する。
移動したシャルは掌から魔法陣を展開した。展開した魔法陣が発した光に警備員は一瞬気になり注視した。
シャルの展開した魔法陣を注視した警備員の瞳は若干輝きを失い虚ろになった。
シャルは警備員に幻術をかけ終えると茂みから出て堂々と学園資料保管棟の下入り口へ歩いて行った、
警備員はまるでシャルの存在が元からないように近づいてくるシャルに視線が合わない。
シャルは警備んンが警備する出入り口を素通りして学園資料保管棟の中へ入った。中は白の壁と柱、大理石でできている彫刻が置かれているだけの荘厳だがあまり物が置かれていないすっきりした空間だった。
シャルはここから先、人に完治されないように自分の存在を感知できなくする隠匿魔術を自分に施して棟の奥へ進んでいく。
奥へ進んでいくといくつもの扉が廊下の壁に並んでいてその全てに神聖術による鍵がかかっている。
シャルは部屋にかかっている神聖術の鍵を開けて部屋の中へ入る。中へ入ると部屋の中には巨大な棚に大量の資料が保管されていた。
棚ごとに資料の種類が分類されていてシャルが入った部屋は学園の授業に関する費用や備品数が記録されている資料などが保存されていた。
「ここは外れね」
シャルは部屋から出て退室した扉に開錠する前と同じ神聖術の鍵をかけた。
他の部屋の中にも侵入して棚に保管されている資料を探していくがどれも学園に保管されている《写し鏡》に通じるような資料が見つからない。
《写し鏡》に関係するような資料を探していって粗方の部屋を探し終えてしまい、侵入していない部屋はあと一つだけになった。
シャルは残り最後の部屋へ侵入すると部屋の中の棚に保管されていたのは学園がヒストリニアから支援されている支援金の資料やヒストリニアから保管を命じられた法具や神聖術の研究成果の提供情報が記された資料の保管された部屋だった。
「ここだ!」
シャルはようやく《写し鏡》に関係する資料が保管されている場所を探し出した。
シャルは並んでいる棚からヒストリニアから保管を命じられた法具の一覧が記録された資料を探した。そして目当ての資料を見つけたシャルは資料に目を通していく。
この資料を見るに学園が国から保管を命じられている法具は相当な量があるみたいだ。軽く数百もの法具の名前が資料の中に記されていた。そして資料に目を通していくと一ヵ所不自然な部分を発見した。
「一ページだけ破られてる」
括られている資料の束の中に一ページだけ破られた跡がありページ数が記された数字があ素の部分が飛んでいた。
シャルは破られた後の記された資料の内容を読み終わるとやはり不自然な事が分かった。
「やっぱり破られたページに《写し鏡》の情報がある」
破られたページ以外の記された保管された法具名の中に《写し鏡》が記されていなかった。つまり何者かが先にこのページを破った事になる。
けれど関係者以外立入禁止の学園資料保管棟の中に入る事の出来る人間がこんな後々気付かれるような痕跡を残すような間抜けな事をするとは思えない。ましてここにある資料は機密事項の塊だ。その一部が漏洩されているのだ。明らかに不自然でおかしすぎる。
シャルは破り捨てられた部分に探知魔術を発動して破り捨てられたページの在処が今どこにあるか探知した。
シャルの掌に魔法陣が広がり魔法陣の上に学園の見取り図が浮かび上がる。
中央に光る点はシャルの現在地、そして中央以外に浮かび上がった光る点が見つかった。
「まさか⁉」
中央にある点以外の点、破られたページの在処はなぜか見取り図の上で動いている。そして動いている場所は神聖術研究棟。マリアが手掛かりを探している建物の中だった。
お疲れ様です。
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