第九話
薬の調合を終えたノクトとホホは調合して完成させた薬を薬箱に収納した。
薬を薬箱へ収納した後、薬箱をテントの中に置いてある旅道具の鞄にしまうとノクトはテントを出る。
テントの外に出ると外はすでに夕陽が沈みかけて茜色の空に夜の帳がわずかに見え始めている。
「ホホの嬢ちゃんの言う通り、朝の様子が嘘みたいに元気になってるな」
テントから出てきたノクトにラザフォードが話しかけてきた。
ラザフォードは片腕に薪になる木材を抱えていた。どうやら焚火のための焚き木を拾ってきた帰りのようだ。
「はい。おかげさまで嘘みたいに体が軽いです」
ノクトは腕を回して元気になった事をラザフォードにアピールする。
「それで、ラザフォードさんに話さないといけないことがあります」
ノクトは腕を回す動きを止めて真剣な表情でラザフォードに大事な話があると告げた。
「何かあったみたいだな?」
ノクトが真剣な表情を向けるとラザフォードは先程の朗らかな表情から一変して真剣な眼差しを向ける。
そしてノクトは修業中で意識が辛んだ時とその後に休んでた時に見た夢に出てきたファルザードとファルザードとの会話で知らされた事をラザフォードに伝えた。
「そんなことがあったのか。道理で修業中に倒れた時に気を失ってた時間を聞いたわけだ」
ラザフォードは修業中に意識を失ってた時間を尋ねたシリウスの真相を知って腑に落ちたのか、首を小さく縦に振って頷いた。
「それでノクトの精神世界に出てきたファルザードって怪物が俺達勇者や悪魔達に何かしようとしてるやつがいるから十分注意しろと警告してきたのか」
「はい。夢の中の話ですので信憑性なんて皆無ですが一応伝えた方が良いと思いましたので」
ラザフォードはノクトが見た夢の内容を大まかにまとめるとノクトは夢の中で起こった話であるので信憑性などないと伝える。
「けどここしばらく同じ怪物が同じ空間に現れる悪夢は夢だとしてもあまりにも不自然だ。それに夢の中で現れた怪物が言った古代兵器魔獣の話も聖典に記されている大昔に起きた歴史と一致してる。流石にただの夢と切り捨てられる話じゃない」
ラザフォードはノクトの夢に現れたファルザードが自己紹介で語った魔王の歴史も聖典に記されている大昔の歴史と一致していることから夢で片付けるには無理があると語る。
「分かりました。この話は他の二人にも伝えるべきでしょうか?」
ノクトは他の二人——シルフィーとファルコにもノクトが見た夢の内容について伝えるべきか尋ねた。
「それはもう少し確証を得てからの方が良い。ただでさえノクトの夢に出てきた怪物や俺達や悪魔達に何か企んでるやつのア様態が分からない。その状態で事情を伝えても余計な混乱を招くかもしれない。まずはノクトの見た夢の内容に確証を得られるまでは俺達の胸の内に締まってた方が良いだろう」
ラザフォードはノクトの夢に確証が得られるまで他の人に話さない方が余計な混乱を生まないと判断した。ノクトもその話にうなずいて納得した。
「そうですね。あっ、そうだ。話を変えてすみませんが交代の時間が過ぎてたので今渡せそうなのでこれをお願いします」
ノクトはラアフォードの話に賛同した直後思い出したように服のポケットから何かを取り出した。
ノクトが取り出したのは魔王の魔力の欠片が封印されている魔石だった。
「そうだったな。じゃあ俺が預かる」
ノクトから魔石を受け取ろうとノクトの手から渡される寸前、魔王の魔力の欠片が封印された魔石に亀裂が生じた。
魔石の亀裂からどす黒い魔力が漏れ出した。漏れ出したどす黒い魔力はノクトの手を這いまわり全身を包み始めた。
ノクトは体にまとわりつくどす黒い魔力を払いのけるように腕を振り回すが体にまとわりつく魔力は一向に振り払われない。ノクトの体にまとわりつくどす黒い魔力はノクトの体へ張り付き体の中へ吸い込まれる。
どす黒い魔力は瞬く間にノクトの体へ吸い込まれてどす黒い魔力は跡形もなく消えていた。
「……流石にこのことは伝えないといけませnよね?」
ノクトは魔王の魔力の欠片が封印されていた魔石を見てラザフォードの驚愕の表情を見てぼそっと呟いた。
お疲れ様です。
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これからも投稿していきますので良ければ次話も読んで頂けると幸いです。