第八話
寝袋の中で休んでいたノクトは目を開いた。
ノクトは上半身を起こすと休憩する前とは比べ物にならないほど体が軽い。これほど体が軽いと感じるのはいつ以来だろうか。夢の中でファルザードの言っていた事はどうやら本当らしい。
ノクトは寝袋から出てテントの外を見ると外はすでに茜色に染まり始めている。
テントの外に出たノクトは朝に三人で朝食を取った場所へ歩いて行った。朝食を取った場所へ向かっている途中、ホホが木々の間に生えている薬草を採取していたところに出くわした。
「ホホ。薬草の採取はどうだ?」
ノクトが薬草の採取を熱心にしているところに声をかけるとホホはノクトの声が聞こえた方を振り返った。
「先生⁉」
ホホは振り返ってノクトの姿を確認すると驚いた様子を見せてノクトの元へ駆け寄っていく。
「体調は大丈夫なんですか⁉ラザフォードさんから事情を聴きましたが今歩いてて平気ですか⁉」
ホホはラザフォードから事情を聴いたらしくノクトの体調を心配する表情を見せてノクトを身を案じている。
「まあ、あとで説明するから落ち着け。俺はもう大丈夫だ。前より体調がいい」
ノクトは朝までの顔色の悪い状態から今では傍から見ても健康そうな顔色をしている事を見せた。
ホホはノクトの顔色や体の動きを見てノクトが無理をしている様子でない事も理解できた。
「ホホもだいぶ薬草を採取できたみたいだな。そろそろ薬草の採取は切り上げて俺に採取した薬草を見せろ」
「分かりました。先生!」
ノクトはホホが採取した薬草が毒草と間違ってないか見分けると言うと、ホホは元気よく返事をした。
ノクトとホホは朝食を取った場所に到着するとホホが採取した薬草を入れている籠を自分の前に置いた。
置いた籠の中には大量の植物が入っていた。ホホは採取した植物を一つ一つ取り出して地面に並べた。
籠に入っていた植物を全て地面に並べ終わるとノクトはホホが並べた植物を一通り見た。
「確かにホホが採取した植物全て魔法薬にも使用される薬草だ。今度はホホが採取した薬草を主な効能別に分類してみろ」
「分かりました!」
ノクトの言葉に元気よく返事をしたホホは地面に並べた薬草をノクトの言ったように効能別に並べ替え始めた。
ホホは薬草を効能別に並べ替えている間、ノクトはホホが並べ替えている薬草を見ていた。
「できました。先生」
ホホは効能別に地面へ並び替えた薬草をノクトに見せると、ノクトは地面に置かれた薬草の一つを手に取った。
「ホホ。この薬草の名前はなんだ?」
ノクトは手に取った薬草をホホの目の前に見せて薬草の名前を尋ねた。
「カイジンドクダミです」
ノクトが見せてきた薬草『カイジンドクダミ』の名前を答えた。
「そうだ。そしてホホがこのカイジンドクダミを何の効能に分類した?」
「昆虫の神経毒の解毒作用の効能に分類しました」
ノクトがカイジンドクダミの効能を尋ねるとホホはすぐにカイジンドクダミの効能を話す。
「正解だが、それは乾燥させて保存性を高めた時の効能だ。生の場合は昆虫の神経毒の解毒以外に高熱の解熱作用も高い。だから生のカイジンドクダミは解熱剤の薬の調合にも使われる」
ノクトはホホに見せたカイジンドクダミをホホが分類した解熱作用のある薬草と昆虫の神経毒の解毒作用のある薬草のカテゴリーの両方に並べた。
「良いかホホ。お前は村にいた時、乾燥した薬草を多く扱い過ぎて生の薬草の効能に疎い。同じ薬草でも乾燥と生では効能が違ったり片方にはない効能も存在する。お前は記憶力の高いんだ。この旅で薬草の状態にも気を向けて効能を覚えるようにするんだ」
「分かりました!勉強になります!」
ノクトはホホに薬草の乾燥と生の状態での効能の違いについて説明して次からそこにも注力するように告げるとホホは目を輝かせて元気よく返事をした。
「これだけ薬草を採取したんだ。即席だが薬を調合しよう」
「はい!」
ノクトはホホが採取した薬草の傍に調合に必要な最低限の道具を並べてホホと一緒に薬の調合を始めた。
お疲れ様です。
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これからも投稿していきますので気が向いたら次話も読んで下さい。