第六話
ノクトは目を開くと目の前にはついさっきまでいた暗闇の空間ではなく暗闇の空間に浮かんでいる前にいた周囲の一角の木々が切り倒されている場所に戻っていた。
「ノクト!大丈夫か⁉」
腰を落としていたノクトを呼ぶラザフォードの声が聞こえてノクトはラザフォードの方を見た。ラザフォードがノクトの方へ駆け寄っていた。
「……ラザフォードさん」
まだ頭がくらくらとして思考がはっきりとしない状態のノクトは近づいてくるラザフォードの名前を呼んだ。
「急に体をふらつかせるから驚いたぞ!本当に大丈夫か?」
ラザフォードがノクトの体調を気にしているとノクトはラザフォードの言った言葉に疑問を覚える。
「すみません。俺どのくらい気を失ってましたか?」
ノクトは自分がどれだけ気を失ったのか尋ねるとラザフォードも疑問符を頭に浮かべているようね表情を浮かべている。
「何言ってんだ?確かに急にふらつきはしたが気を失ってるように見えなかったぞ?」
ラザフォードはノクトが尋ねた質問の意味が理解できずに気を失ってたような様子は見て取れなかったと伝える。
ラザフォードが言った言葉を聞くと謎がより増えてしまった。ラザフォードの言葉が本当であればノクトが脳震盪のようなふらつきで意識が暗転した一瞬の出来事の間に悪夢の中でのみ見た怪物が現れノクトの心の中の世界で短時間であるが会話した事になる。そして怪物が会話の最後に自分の正体を話そうとした直後に目の前が急に眩しくなって元の世界に戻ってきた。
「何かあったのか?」
近くにいるラザフォードはノクトの様子が明らかにおかしいと感じてノクトに尋ねた。
「実は——」
ノクトは脳震盪でふらつき意識が暗転してから今の状況までの一部始終をラザフォードに伝えた。
「ノクト。本当に体調大丈夫なのか?」
ノクトから聞いた状況にラザフォードは心の底から心配した。ここ最近、毎日見る悪夢で見た怪物がノクトの心の中に住まっていると言っている。そして一瞬の暗転の間に何度か会話を交わした。しかも何か重要な事を伝えようとしていた。
「すみませんが、今日の修業を中断していいですか?」
ノクトはラザフォードに今日の勇者の力を制御する修業を中断していいか質問した。
ノクトの顔色は朝からあまり良くなかったが今のノクトは顔色が真っ青で冷や汗が流れている。
「分かった。今日はゆっくり休め。ホホの嬢ちゃんにも事情を説明しとく」
「ありがとうございます」
ノクトの言葉を聞いてラザフォードはノクトの様子を見て明らかに健常な状態でないと理解できたのでノクトに休むように伝えた。
ラザフォードの言葉と心遣いに感謝してお礼を言った。
ノクトは足元がしっかりとしない歩みでテントの方へ進む。ノクトがテントについて寝袋まで到着すると魔王の魔力の欠片が封印されている魔石を外した。
魔王の魔力の欠片は勇者のみが何の影響もなく触れることができ悪魔の奪還から守る事ができる。しかしいかに勇者でも長時間魔王の魔力に触れると力を消耗してしまう。まして今のノクトは修業の影響で勇者の力が切れてしまっている。
体調の悪い状態のノクトはこれ以上体調を悪化させないために魔王の魔力の欠片を外してネグ黒の中に入って横になった。
横になったノクトは体の倦怠感と頭のふらつきが襲い掛かる中すぐに意識が薄れていく。
ノクトが外した魔石に宿る不穏な煌めきが徐々に薄れていってる事にノクトもラザフォードも把握していなかった。
お疲れ様です。
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