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第五話

 朝食の片付けを終えるとホホはノクトの指示通り周囲に生えている薬草と毒草を見分けて採取そている。

 一方ノクトはラザフォードと共にノクトの左手の勇者の紋章の力を使いこなす修業をするためにテントを張った場所から少し離れた場所に移動した。


「今日から左手の紋章の力を使いこなす修業だ。と言っても紋章に力を注ぐ感覚は右目の時と同じはずだ」


 ラザフォードは向かい合っているノクトを見て左手の紋章に力を注ぐ感覚を伝える。

 ノクトは腰に携えた聖剣を引き抜いて構える。聖剣を引き抜いた後これまで右目に力を注ぐ時と同じイメージを左手の紋章に移してイメージする。


 左手の甲に勇者の紋章である幾何学的な文様が浮かび上がる。浮かび上がった紋章は徐々に強い光を放ち文様が動き出す。動きながら形を変える紋章が徐々に複雑な文様に変化していき形を変えていた紋章が新しい文様に形を留めた。


 左手の紋章の力が第二開放状態になったのが体感で分かったノクトは聖剣に意識を集中させた。聖剣から白と黒の聖なる気が溢れ出しゆらゆらと炎のように動き出す。白と黒の聖なる気は溢れ出した直後に聖剣に収束していき聖剣の刃に高濃度に収束、高速で流動している。


ノクトは聖なる気が高濃度に纏った聖剣を自分の傍に生えていた大樹に向かって横に振った。横に振った聖剣から白と黒の聖なる気が刃の形に変形してノクトの正面から放たれた。

 放たれた聖なる刃の気は直線状に進んでいきノクトの目の前にあった大樹をあっさり切り倒してその先にある木々をいともたやすく切り倒していく。


 切り倒される木々は自重で地面に倒れていき地面を揺らしていく。ノクトが放った聖なる刃の気が消えるとノクトの目の前には鋭利な刃物で斬られたような綺麗な樹の断面が見える切り倒された木々が視界に入る先の限界までの範囲全域に広がっていた。


「「……」」


 ノクトは目の前の状況に驚愕のあまり声を失った。ラザフォードもノクトに右目の紋章の力の使い方を伝授して使いこなしたので左手の紋章の力もすぐに使えるようになると思っていたがノクトの放った左手の紋章の力がで増加された聖剣術の力に開いた口が塞がらなかった。


「……まあ、これから力の下限を覚えればいいだろう。なずは左手の紋章の第二開放状態の力が使えたんだ。良しとしよう」


 ラザフォードの言う通り最初から勇者の紋章の力の一つである第二開放状態の力である第一開放状態の時の上をいく聖剣術の力の向上を使えた。

 けれど第二開放状態の弱点、使った後に一定時間勇者の力を使えなくなり回復するのに時間がかかる欠点を考えると今の状態では力を使えはしたが制御したとは到底言えない。


 ノクトの体から第二開放状態の力を使った後に感じる脱力感がノクトの体中に襲い掛かる。


「確かにすごい力ですが、今のままじゃ悪魔との戦いで使い物にならない」


 ノクトは脱力感が襲い体を支えられなくなって地面に腰を落とした。ノクトの言うように放った聖剣術はとても強力なのは目の前の風景が一瞬で変わったこ事で理解できた。けれど放った聖剣術の軌道は直線的でしかも一度聖剣術を放っただけで第二開放状態が解けてしまった。


 これほど直線的な軌道では悪魔に容易く躱されてしまう。そして一度しか使えないとなると、その後勇者の力を一時的に失ったノクトは悪魔を滅する手段を失い悪魔に倒される。


「今の問題は力の制御と持続時間。それに左手の紋章固有の能力の解明。問題は山積みだ」


 ラザフォードは地面に腰を落としたノクトに近づきながら左手の紋章の力の現状の問題点を言葉にする。


「そうですね。ただでさえ一度使うと一定時間勇者の力が使えないのに一発聖剣術を使っただけで力が尽きてたんじゃ使い物になりません」


 ノクトも今の左手の紋章の力の欠点を理解している。たった一度聖剣術を放っただけでこれほど体中の脱力してしまってはすぐに返り討ちだ。

 なんとかして持続時間を延ばすように力を制御しなければならない。


 ノクトは問題点を頭の中に留めると急に頭がくらっとした。まるで脳震盪になったような痛みはないのに意識が遠くなる感覚が襲いノクトは目の前が暗くなった。




 ノクトが目を開くと視界に冷え尾がるのは周囲に光が一切存在しない暗闇だった。そしてノクトの体にかかる重力や周囲から伝わる力が全くなく宙を浮いた感覚のみ体に伝わる。

ノクトは光の存在しない空間に一人ただ浮いていた。ノクトの目の前から急に大きなぎらつく目が一つ現れる。


 目の前に現れた目には見覚えがある。いつも見る悪夢の終盤に見る巨大な顎を持つ怪物と同じ目だ。

 ノクトは目の前に現れた怪物の目に警戒心を総動員させて腰に携えている聖剣に手を伸ばそうとした。その時宙に浮いているからだの隅々が金縛りにあったように動かせなくなっていた。


 指一本動かせないノクトは目の前に現れた怪物の目に見られて何もできなかった。


「やっと夢以外でお前と会うことができた」


 ノクトは口もろくに動かせず声も出ない。目の前の化け物の目に何も言葉を発せられない。


「ここはお前自身の心の中の世界の一部。そして我はお前の心の一部を一時的に借りさせてもらっている」


 目の前の怪物はノクトが警戒する状態で何一つ敵意を感じさせない口調でノクトに話しかけた。


「どうしてこの我がこの場にいるのか聞きたくて仕方ない、といったところだろう」


 目の前の怪物は言葉にしていないノクトの心の中を読み取って自分から言葉にした。それにノクトは驚きの表情を浮かべた。


「言っただろう。この場はお前の心の中の一部。我がここにいる限りお前の思っていることなどお見通しだ」

『だったらお前はなんで俺の心の中にいるんだ?』


 怪物の言葉を聞いてノクトは声で話ができないなら心の中で考えた言葉で怪物と話す事にした。


「早速我の言葉を理解して心の中で我と会話する方法を見出すとは。流石魔王の子孫だけある」


 目の前の怪物から“魔王”という単語が聞こえた瞬間ノクトは険しい顔をする。


『何でそんな事を知っている?』

「お前のことなどなんでも知っている。なにせお前の心の一部を借りて我は存在している。お前の記憶や考えもお見通しだ」


 目の前の怪物の目はほのかに目尻が細くなった。話しかける声もどこか笑っている雰囲気だった。


「まず我の自己紹介をする。我は——」


 怪物が自己紹介をしようとした瞬間今まで一点の光もなかった漆黒の空間が一瞬で周囲が眩しくなった。

 目をつぶしてしまうほどの光が照らされてノクトは目の前にいる怪物の目が見えなくなった。

お疲れ様です。

tawashiと申します。

本日も読んで頂き誠にありがとうご会います。

これからも投稿していきますので良ければ次話も読んで下さい。

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