第四話
朝食を囲んだ三人は早速食べ物を口に運んだ。
ノクトとホホは最初に干し肉と穀物のスープを、ラザフォードは焚火で焼いた焼き魚を口にした。
ホホの創ったスープは干し肉の旨味がスープ全体に溶けていて煮込む前に炒めた穀物の香ばしい風味と程よい食感がスープのアクセントになっている。優しい塩加減と干し肉から溶け出した旨味が朝の体に染みわたる。
一方ノクトが焼いた焼き魚は口にした瞬間に外側は皮目がパリッと、内側は身がふっくらと焼かれている。周りに振りかけられている塩加減も丁度良く焼き魚から臭みは一切感じさせずに溢れる肉汁の淡泊ながら上品な旨味が口いっぱいに広がる。
三人とも心が落ち着く食事を食べながら他愛ない会話をして食事を食べ進む。
「そうだホホ。今日はこの周囲に生えている薬草を一人で採取してくるんだ。昨日見て来たんだが薬草を見分けるにはもってこいの場所だったから、今日は一人で薬草と毒草を見分ける修業だ」
ノクトは焼き魚を食べ終えるとスープを飲んでいるホホに今日の修業内容を伝える。
「分かりました。先生!」
ホホはノクトの顔を見て目を輝かせながらはきはきと返事を返す。
「それでラザフォードさん。今日はなんの修業をしますか?」
ホホの返事を聞いたノクトは次に四匹目の焼き魚を食べていたラザフォードの方を向いて尋ねた。
「そうだな。右目の力をだいぶ使いこなせるようになったから今度は左手の紋章の力の修業をしようと思っている」
ラザフォードは食べている焼き魚を呑み込みノクトに今日の修業内容を伝える。
この半年でノクトはラザフォードの指導により右目に宿る勇者の紋章の第二開放状態の力を制御できるようになった。
今度はノクトの左手に宿る勇者の紋章の力を制御する修業する事はノクトやラザフォードも念頭にあった事だ。
そしてラザフォードは次に左手の力を修業する時と見極めた。
「それじゃあ、俺とラザフォードさんが修業している間にホホは薬草を採取して、俺の修業が終わったらホホが採取した薬草を見てやる。それで大丈夫か?」
ノクトは今日の予定をホホに話すとホホは首を縦に振って頷いた。
「了解です!あたしは問題ありません!」
ホホはノクトに返事を返すと自分の器に残っているスープを飲み干した。それとほぼ同時にラザフォードは最期の焼き魚を食べ終えた。
焼き魚も鍋の中のスープも全てなくなりノクトとホホがつくった朝食を全員で食べ終えた。
「食べ終えたことですし、器や鍋を片付けましょう」
ホホは用意した朝食を食べ終えて残った食器やスープの入っていた鍋を片付けるようにノクトとラザフォードに話しかけた。
「そうだな。ホホと俺が洗い物をしてくるのでラザフォードさんはその間休んでいて大丈夫ですよ」
ノクトは二人で後片付けをしている間、まだ夜間警備の疲れが残っているように見えるラザフォードに休憩していて大丈夫だと伝える。
「悪いな、お言葉に甘えさせてもらうよ」
ノクトの心遣いに感謝しつつノクトの言う通りその場で休む。
「それじゃあホホ。洗い物を片付けるぞ」
「了解です!」
ノクトとホホは三人分の食器と鍋を手に取って洗い物をするために川の方へ歩いて行った。
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