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第六話

 外に出たノクトは紙に書かれた妨害魔術の術式の探知を始める。


 妨害魔術の一覧に書かれた術式の種類は全部で五種類。


 ノクトは紙に書かれた術式を上から順に探知する。


 探知魔術を展開してノクトの足元に魔法陣が浮かび空に向かって魔法陣が移動し徐々に大きく広がっていく。


 妨害魔術の術式を探知していくが紙に書かれた最初の妨害魔術は探知魔術に引っ掛からなかった。


 ノクトはすかさず次の妨害魔術の術式の探知を進める。


 探知魔術で妨害魔術の術式を探知を進めるも紙に書かれた術式の一覧から候補が消えていく。


 そして最後の術式の探知を始めた。


 魔法陣が足元に浮かび空へ移動していき徐々に大きく広がる。広がった魔法陣は光の粒子に変わりノクトの左手に収束し光の塊は霧散していく。


 そしてノクトの左手の掌の上に小型の魔法陣が描かれる。魔法陣の中心には赤い点が一個、その周りに五個青い点が浮かぶ。


 探知魔術が成功した場合、掌の上に浮かぶ魔法陣の中心の赤い点は自分の位置。青い点は探知した対象の位置を示す。


 すなわちアンリを攫った男は妨害魔術を複数発動している。


 これではアンリの居場所が特定できない。


 ノクトはこの事を伝えるため首にかけた魔法具を右手に掴み魔力を注ぐ。


『どうした。ノクト』


 ノクトの頭の中に直接声が聞こえる感覚が流れる。


 聞こえた声はエドワードの声だった。


 どうやら遠隔思念通信には成功した。


『ジジイ!妨害魔術を探知できたんだが——』


『どうかしたか?』


 ノクトは探知魔術で探知した情報を伝えた。


 今ノクトがいる周りに五ヶ所妨害魔術が探知された事を伝えるとエドワードが思念通信越しに伝える。


『それなら、掌の上に浮かんだ魔法陣を強くイメージして俺に魔法陣のイメージを送ってくれ』


 エドワードの思念がノクトに伝わった後、ノクトは左手の掌の上に浮かんだ魔法陣を見ながら頭の中で強くイメージしてエドワードに伝える。


『妨害魔術の位置は把握した。ノクトは南から順に妨害魔術が探知できた場所に行ってアンリを探すんだ。俺は北から探す。ただし——』


『ただし?』


『——アンリがいたらノクトはその場所を俺に伝えた後、俺が来るまで隠れて絶対に動くな、勝手な行動をするんじゃないぞ』


 エドワードはノクトに思念通信越しに忠告した。


『なんでだよ⁉』


『相手の出方がわからない上に魔術の技量もわからない相手に無暗にとびかかるのは馬鹿のすることだ』


 ノクトの怒声に近い思念を無視してエドワードはノクトに再度忠告する。


『……分かった』


 ノクトは渋々了承した。


 そしてノクトは南側に探知した術式を探しに走った。


 家から南側は木々が生い茂った林になっている。


 舗装もされていない地面は凸凹している道のりをノクトは浮遊魔術を使って空中に浮かび移動していく。


 浮遊魔術を使い移動していき、妨害魔術が発動している場所の近くまで来た。


 ノクトは木の陰に隠れ妨害魔術が発動している場所を窺う。


 視界の先には誰もいなかった。その代わりにノクトが首にしている魔法具と同じ翡翠色の宝石のように輝く鉱石が木の枝に吊るされていた。


 ノクトは首にかけた魔法具に魔力を注ぎエドワードと通信する。


『ジジイ。聞こえるか?』


『聞こえるぞ。ノクト』


 思念通信に成功したノクトは妨害魔術が発動している場所の一つに着いた事。その一つには誰もいなかった事。


 代わりにノクトが持つ魔法具と同じ鉱石が吊るされている事を伝える。


『それは偽物ダミーだ。木に掛かっているのは妨害魔術が保存された魔法具だ。その魔法具を壊して次の発動場所に行くんだ』


 エドワードが指示を出した後、ノクトは木に吊るされた魔法具に近づき、魔法具を風の魔術を使い魔法具を粉々にした。


 魔法具を破壊すると日ありての掌に浮かぶ魔法陣の上の青く光る点が一つ消える。


『ジジイ。魔法具を壊したぞ』


『こっちも偽物を見つけた。破壊するから探知魔術の魔法陣を見てくれ』


 掌の上の魔法陣を見ると先程消えた青い点とは別に北側の青い光の点が一つ消えた。


『妨害魔術の反応が消えた』


『了解。その魔法陣を再度イメージして俺に送ってくれ』


 ノクトは掌に浮かぶ魔法陣を再度見ながら脳内にイメージしてエドワードにイメージを送る。


『イメージは届いた。ノクトは南東にある発動場所を確認して偽物だった場合俺と合流するんだ』


『分かった』


 ノクトは脳内で返事をすると南東にある妨害魔術の発動場所に向かう。


 南東に向かう道のりは先程より更に凹凸が激しく坂道も急になっていく。


 浮遊魔術で移動するノクトには悪路は関係なく進める。


 その利点を生かしノクトは急いで次の目的地へ向かう。


 南東へ進んでいる途中思念通信が繋がる。


『北西にある偽物を発見した。破壊するから魔法陣を確認してくれ』


 ノクトは掌の上の魔法陣を確認すると北西に位置する青い点が消えたことを確認する。


『妨害魔術の反応が消えた』


『了解』


 エドワードは端的に返事をして通信を切った。


 ノクトは再び南東に進んでいく。


 木々を潜り抜けて先へ進むと木造の古びた小屋が見えてきた。


 魔法陣を見る限り妨害魔術の発動場所だろう。


 緑色の苔が生えた木造の寂びれた小屋の周りを見渡すと地面の草が踏まれた跡が残っている。


 踏まれた跡も新しい。アンリを連れ去った男がこの小屋にいる可能性が高い。


 ノクトはエドワードに通信を繋ぐ。


『どうしたノクト?』


 エドワードと連絡が繋がった。


『ジジイ。妨害魔術の反応がある場所に人がいる跡がある』


『こっちも発動場所の近くに人が動いた形跡がある。俺がこっちの確認を済むまでノクトはその場所の近くで待機してるんだ』


『分かった』


 エドワードからの通信が切れた後、ノクトは小屋に音を立てず近づく。


お疲れ様です。

tawashiと申す者です。

連続投稿最後のお話です。

今回も読んでくださり誠にありがとうございます。

明日も投稿するので良ければ読んで頂けると幸いです。


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