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第五話(裏)

 本日の講義を全て終えたシャルはマリアと共に学園の校舎の外を歩いていた。外を歩いているシャルはマリアを誰もいない物陰に連れ込んだ。


「今朝はなぜあのようなことをしたのですか。エヴァンテインさん?」


 物陰に連れ込んだマリアを物陰の壁に追いやりマリアが逃げないようにシャルは手を壁についてゆく手を阻んだ。


「なんのことかしら?」


 行く手を阻まれたマリアは明後日の方向を見てしらばっくれる。


「今朝、私に握手しようとした時に呪いを発動させようとした件です」


 シャルは明後日の方向を見るマリアの顔を真剣な眼差しで見つめる。


「その様子だと、やはりシャリスティアさんが私の呪術を途中で破壊したようね」


 明後日の方向を見ていたマリアが真剣な眼差しで見つめるシャルの顔を見た。シャルを見るマリアの瞳はとても冷たさが宿っていた。


「シャリスティアさんの言う通り、私はあなたに呪いをかけようとしました。失敗してしまいましたが」


 マリアは冷たい瞳のままその場を茶化すようなしぐさをしながらシャルに呪術を賭けようとした事を認めた。


「どうしてそんなことをする必要があったのですか?」


 シャルはマリアに呪術をかけようとした理由を問いただす。


「それをあなたに話して私に何の得がありますか?」


 マリアは冷たい瞳をシャルに向けて黙秘の意志を伝える。


「エヴァンテインさんのかけようとした呪術、確か隷従の呪いですよね?何をさせる気だったのか知りませんが私を意のままに従わせる呪いをかけたかった。でしたらあなたの希望通りあなたに従うと言えば話してくれますか?」


 シャルがマリアのかけようとした呪術、隷従の呪いを言い当てた上でマリアに従うのならば黙秘している真相を話してくれるか提案する。

 シャルの提案にマリアは表情を隠しているマリアにほんの僅か驚きの表情が浮かぶ。


「もちろん。呪術を受け入れるわけではありません。エヴァンテインさんが呪術をかけようとした理由を話してくれれば私はそのために動きます。この提案ならエヴァンテインさんにとって得しかないのではありませんか?」


 シャルは隷従の呪いは受けないが呪術を賭けようとした理由を教えてくれればマリアの目的に従うと提案すると目の前のマリアは小さく息を吐いた。


「それでいいわ。けれど少しでも私の意に反する行動を取ったら分かっているわね?」

「分かってますよ。納得してくれて嬉しいです」


 シャルの提案に渋々了承したマリアにシャルは愛想笑いを浮かべた。


「私は学園にあると言われているある物を探しているの」


 マリアは息を吐いた後にシャルの瞳を見ながら話し始める。


「私一人では時間がかかりすぎてしまうからあなたを従わせて見つけてもらおうとしたの」

「エヴァンテインさんが探しているのって——」


 シャルは呪術をかけてまで探すような物の心当たりがある。


「《写し鏡》よ」


 マリアは探し物の名称を口にした。

 シャルは呪術をかけてまで探したい物について大体想定していたがマリアの口から予想通りの答えが返ってきた。


 学園にどこかに保管されている法具を一般学生が探すなど言語道断。もしバレでもしたら相当重い処分が下される。わざわざ呪術をかけようとしたのは口を割らせないためであろう。


「分かりました。エヴァンテインさんの目的通り私も《写し鏡》を探すお手伝いをします。誰にも口外しません」


 シャルはマリアにマリアの手伝いをして誰にも口外しない事を約束する。


「本当に底の知れない人ね。あなたは」


 普通ならマリアの目的を聞いて素直に従う人などいるはずもない。素直に従わなければマリアは強硬手段でシャルを強引に従わせようと考えていたが予想外の答えが返ってきて唖然とした。


「それと話は終わりましたのでどいてもらえませんか。シャリスティアさん。この様子を誰かに見られでもしたら——」


 マリアの懸念していた事はすでに起きていた。

 シャルの方からでは死角で見えていないがマリアの視界には女学生二人がこちらを見ていた。


「おっ、お取込み中も、申し訳度座いません!」

「すぐに退きますのでお気になさらず!」


 女学生二人から見ればシャルがマリアが逃げないように壁に追い込んでいるようにしか見えない。女学生二人はすぐにその場を立ち去ると黄色い声を上げていた。


「本当に最悪……」


 マリアは去っていく女学生にこの状況に対して説明する前に去ってしまった事に毒づいた。


「本当ですね……」


 シャルも今マリアにしている状況を他の人が見ればマリアに襲い掛かろうとしていると勘違いされる状態を見られて羞恥のあまり落ち込む。

 シャルにそのような趣味など決してないが人のうわさなど本人たちの意志などお構いなしだ。


 シャルはとりあえず両手を壁から離してマリアを解放した。


「今からあの女学生達を探すのは無理でしょうね」


 マリアは深くため息を吐いて女学生を負うのは無理だと判断した。

 シャルは編入初日から変な噂が立ってしまう事に意気消沈した。

 会うからの学園生活にシャルは考えるだけで疲れてしまった。

お疲れ様です。

本日も読んで頂き誠にありがとうございます。

これからも投稿していきますので良ければ次話も読んで下さい。

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