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町家暮らしとエルフさん ――リノベしたら庭にダンジョンができました――  作者: FUKUSUKE
第一部 出会い・攻略編 第5章 店の準備

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第48話

予約投稿を間違っていました。

申し訳ありません。


火水金土日の週5回更新とさせていただきます。

 お風呂周りのことについては、ミミルはもうひと通り理解しているようだ。

 シャワーを浴びて髪を洗い、身体も洗うと独りでドライヤーまで済ませてしまう。

 女の子……というには年齢を重ねているが、女性としての嗜みはどの世界でも同じということなのだろう。


 ミミルが2階へと上がってきた。

 戦闘モードの服から、生成のワンピースに着替えている。

 元がいいからこんなシンプルな服でもとても似合って見える。羨ましい限りだ。

 ミミルはシャンプーの香りをフワリと漂わせ、準備ができたと目で訴えてくる。


 だが、店の外は最も紫外線が多い時期だ。


「出かける前に、コンタクトレンズを入れた方がいい」

『ん――』


 一昨日に購入したカラーコンタクトを取り出してミミルに渡すと、少し嬉しそうに部屋の外に出ていった。洗面台で鏡を見ながら装着するためだ。

 その間に俺も準備を済ませて、1階に下りておく。


 ピザ窯の方は空焼きも終わり、既に2人の職人がタイル張り作業を始めている。

 白を基調にしたタイルが貼られたピザ窯が出来上がっているのをみると、早くピザを焼きたくなってしまう。今日の夜にでも焼くとしよう。

 今日の買い物にはこのあたりの食材も追加だな。


 ピザ窯の職人たちに声をかけ、俺たちは外へ出た。

 近くの市場は昔ながらの店も数多いのだが、いかんせん俺が得意とする食材が手に入らない。

 ドライイーストや強力粉、薄力粉は手に入っても、モッツァレラチーズやイタリア産のピザ用小麦粉などは手に入らない。それに、今夜はツノウサギの肉をディアヴォラにするので、それに合うパスタも作りたい。

 営業開始前には業者から材料が届くのだが、ウサギ肉を食べられるとあっては、どうしても本格的に作りたくなる。

 そうなると、材料を買う店はいつもより少し離れたところにあるデパートになりそうだ。といっても、先日の家電量販店の近くだ。


 いろいろと考えていると、ミミルが通り庭の先にある扉を開けて駆け寄ってきた。

 未だ慣れないのか、ミミルはコンタクトを入れるのに時間がかかったようだ。

 今日は何色を選んだのか気になるが、輪郭がハッキリと黒っぽくなっていて虹彩全体も暗い色になって、雰囲気も全体に落ち着いた感じに変わっている。


「似合ってるぞ」


 そう声をかけたら、ポコンと胸を右手で叩かれた。

 なんで叩かれないといけなんだろう……。



   ◇◆◇



 店を出ると、またミミルからの質問攻撃が飛んでくる。


「あれなに?」


 ミミルの言葉に、反応するもどこを指しているのかイマイチわからない。

 指先を使い、てんてんてんてん……とミミルの指先の延長線上にあるものを探してみる。


「飛行機雲だな。図鑑で見た飛行機があの先に飛んでいるんだ」

「ふえぇぇええ……」


 今までに聞いたことがない声がミミルから飛び出した。

 飛んでいる飛行機はもう点にしか見えないんだが、それを探している感じだろうか?

 鉄の塊が空を飛ぶとか、半信半疑だったんだろうな。俺もなんで空を飛べるのかわかってないからな。

 空港まではJRの特急1本で行けるから、最初の休日は飛行機を見に行くのもいいかも知れない。水族館や動物園なんかも喜びそうな気がするな。


 有名な商店街は狭いので入らないようにして、デパートに向かって歩く。


 見た目はミミルと同じ歳くらいの外国人観光客が歩いていたりすると、向こうも意識するのかこちらをジッと見つめてくる。似たような肌色をしているから、どこの出身なのか聞いてみたりしたくなるのかも知れない。

 ただ、中身が年齢的に全然違うせいか、ミミルは気にしていないようだ。

 ミミルに直接話しかけられても言葉が通じないので、とにかく声を掛けられないように願いながらデパートへ向かった。


 デパートの中では、イタリア産、スペイン産の食材を買い込む。

 小麦粉を二種類に、チーズを数種類、カラスミやアンチョビなどの海のものも忘れない。

 あとは生ハムなどなど……気がつけば買い物カゴがいっぱいだ。


 ――そんなに買い込んで、また私の空間収納に頼る気でしょ?


 じとりと見つめるミミルの目つきから、そんな思考が脳内に流れ込んでくる。

 そんなつもりはないのだが、必要なものと思って買い始めるとついつい増えてしまう。だが、朝、昼、晩と三食自炊となるとこれくらいの材料は揃ってないと困るんだよな。


 紙袋いっぱいになった荷物を持って歩いていると、ショーケースの前でミミルが立ち止まる。


「これ、なに?」

「ケーキだ。甘くて、とても美味しいぞ」

「……」


 ミミルから返事がない。

 完全にケーキに意識がいってしまっていて、まったく動こうとしない。


 仕方がない。


「どれが食べたい?」


 パッと俺の方に向けた顔には、大輪の花が咲いたような笑顔が満ち溢れていた。


次回投稿は 11月6日(金)を予定しています。


お買い物の内容はこんな感じかなぁと思っています。


イタリア産ピザ用小麦粉

イタリア産デュラムセモリナ粉


岩塩

エクストラ・バージン・オリーブ・オイル

バルサミコ酢

白ワインビネガー

オリーブ


ゴルゴンゾーラ・ピカンテ

パルミジャーノ・レッジャーノ

ペコリーノ・ロマーノ

モツァレラ

ミモレット

マスカルポーネ


ボッタルガ・ディ・ムジネ

アンチョビ


ミラノサラミ

ハモンセラーノ

パンチェッタ


カシューナッツ

松の実

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