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町家暮らしとエルフさん ――リノベしたら庭にダンジョンができました――  作者: FUKUSUKE
第一部 出会い・攻略編 第4章 素材収集

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ミミル視点 第39話(上)

 ダンジョン第一層の入口部屋に戻ると、再度しょーへいに“チン”の説明をしてもらうように頼んだ。

 明らかにチキュウの方がエルムヘイムよりも文明的に進んでおり、そこにより深い知識があるのは間違いない。

 私にとって、エルムヘイムにいたときは得られなかった知識を得る良い機会なのだ。これほど魅力的なものはない。


 いや、トンカツや鳥を揚げたものも非常に魅力的だが……それとこれとは話が違う、はずだ。


 しょーへいがポケットから小さな板を取り出し、その表面に出た文字を確認している。

 もしかすると、時間を表示しているのか?

 いや、確かあの板で朝食を注文していたはずだ。いろいろな料理が並んでいて、そこから食べたいものを選べばしばらくすると配達してくれる――とても便利なものだ。

 だが、いま表示されていたのはただの文字だけ……。


 エルムヘイムの場合、携帯可能な時計といえば砂時計ぐらいしかない。それも数分程度しか使えないものばかりだ。街にいけば日時計や水時計などもあるが、どちらも雨の日には使えない。


 明らかにチキュウの方が文明が進んでいて、技術力も高いのだから、時計がこれくらい小さくても不思議ではない。

 実際にあの板を見ればわかるのだが……。


 うーん、背伸びしても板の上に表示されている文字が見える気がしない。


 くそう、しょーへいの身長が高すぎるのが悪いのだ。


 あ、しまった。


 しょーへいが先に歩いて階段を上っていく。


 更にしょーへいが手に持つ板の位置が高くなって、背の低い私には全く見えないではないか。

 私が先に上っていれば、見ることができただろうに……。


 店の庭に到着しても、しょーへいはしばらくその板を眺めていた。


「それは時計か? 時間の違いはどうだ?」

『ダンジョン、チキュウ、五分の一。りくつ、わからない、じじつ、ちがう。ありがとう』

「ああ、気にするな」


 チキュウでの生活はしょーへいに面倒を見てもらわないといけないが、ダンジョンの中だと、私がしょーへいを指導する立場だからな。もっと敬ってもいいんだぞ。


 む、その手付き――いま頭を撫でようとしただろう。

 子どもじゃないと言っているだろうが……まあ、撫でなかったから許してやろう。


『まず、ふろ……』


 しょーへいが風呂の準備をしてくれたようだ。何やら女の声が聞こえたが、そういえば昨日も女が何か言っていたな……。



    ◇◆◇



 しょーへいと一度部屋に戻ったのだが、すぐには“チン”のことを教えてくれないらしい。

 またポケットから例の小さな板を取り出して撫でたりつついたりしている。

 いったいアレはなんなのだ……。


 座って触っている今が覗き込むいい機会なのだろうが、このフカフカの椅子に座っているところを後ろに回り込んだところで、大きなしょーへいの背中が邪魔で見えん。

 縦に立てるようにしてしょーへいは見ているから正面から覗き込むのも難しい。


 くそう……一体何をしているのだ。


『しょーへい、これなに?』


 我慢できずにしょーへいの手に持っているものが何か尋ねてしまった。

 ただ、こうして素直に尋ねるほうがよかったような気がする。


『ん、“スマホ”……スマートフォン』

『なに?』


 しょーへいは眉を八の字にして困ったように私を見る。

 また面倒な質問をされたとでも思われているのだろうか?


『デンワ、トケイ、けいさん……いろいろ?』

「デンワはいい、ズカンに載っていたから教えてもらっただろう。やはり時計になるのだな……。

 計算もできて、他にも何かできるというのか?」

『せつめい、むずかしい……』


 少し食いつきすぎたか。しょーへいが及び腰になってしまっているようだ。


 床に座っていたしょーへいが椅子に深く座り直すと、股の間を大きく開いて私を手招きする。


『ここ、すわる。さわる、わかる』

「な、なんだと?」


 しょーへいの股の間に座れと言うのか。た、たしかにしょーへいが実際に板を触っているところを見るにはそうするのが良いのかも知れんが……。


『すわる、さわる、わかる』

「そ、それはそうだが……」


 未婚の娘が男の股の間に座るなんてはしたない。誰かに見られたら……誰に見られるのだ?

 初めて本を読んでもらったときは父さんの股の間に座っていた記憶がある。ということは、まるで子ども扱いではないか。

 とはいえ、しょーへいでも説明が難しいのなら実際にそこに座り、触ってみるのが一番いいのは間違いなかろう。


 うう……どうすればいいのだ。


『あ……ふろ、はいる?』

「な、風呂か! もう入れるのだな。もちろん入るぞ」


 ここは一旦退避だ。風呂に入って、冷静になろう。


 慌てて部屋をでて階段を降りてきたはいいが、なんだか顔が、耳が熱い。

 どうしたというのだ、風呂へ入りにきたというのにもう茹で上がっているようだ。


 少しここで冷静になる必要がありそうだ。

 いまこのまま風呂に入ると、確実にのぼせるような気がしてならない。


 たしか、ここの厨房にある銀色の扉の中に冷たい茶があったはずだ。それを一本いただくとしよう。



次回投稿予定は 10月10日 12:00 を予定しています。

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