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第五話 領土拡大★

Ryouta Side

 さて、エルナを連れて俺は暫定首都に戻ってきた。エルナは二階建ての住居を興味深そうに見つめている。中世ヨーロッパ風の異世界と天照大御神が言っていたので現代風住居は珍しいのだろう。

 そんなわけで早速臣民を増やすか。エルナには俺の能力は伝えてある。ビックリしていたみたいだが輝夜が神だと知って更に驚いていた。神には全く見えないが。

 魔力回復ポーションを使い臣民を四人増やした。全員二等兵だ。


「本当に人を作り出せるなんて…。まるで神様みたいです」


 その能力を見たエルナはそのように口に出したが当たり前である。この能力は天照大御神より頂いたものだ。それだけ素晴らしいのは辺り前なのだ。

 次に『車両一覧』から自衛隊が使用していた軽装甲気動車を一両召喚する。これは帰ってくるまでに考えた領土拡張のためだ。取りあえず海岸線に沿って移動して日の丸を掲げるだけだが領土と言える状態にはなるだろう。


「と言うわけで朝霞軍曹、頼んだぞ」

「はっ!必ず成功させてきます!」


 今回は博美を含む四人で言ってもらう事となった。四人には他にも64式小銃と替えの弾薬、住居に置いてあるトランシーバーと繋がるように同じものを持たせた。その他にも食料を詰め込んでいる。予想通りなら一日は掛かるからな。それにエルナの話では狼が出るらしからな。気を付けないと。


「それでは行って参ります!」


 朝霞の言葉に従い兵士たちが乗り込んでいく。前に気づいたのだが兵長以上の階級の人間はある程度の運転技術が勝手に得られるらしい。羨ましい限りだ。


「それならお主も階級に付けばよいのじゃ。そうすればお主も得られよう?」


 前に輝夜にそう言われたがそれは日本帝国の形がちゃんと出来てからだ。それまでは役職につくつもりはない。

 話を戻す。博美を見送った俺は必要な物を召喚するために住居へと入って行った。









Hiromi Side

 鹿島様から領土を広げて来いと言う命令が来た。とは言っても海岸線に沿って東に移動して等間隔に日本帝国の国旗である日の丸をさすだけなのだが。

 それでも創造主である鹿島様からの直々のご命令、これを成し遂げなくてはいけません!


「それにしても、何にもないですね」


 双眼鏡で覗いても見えるのは海、陸、陸。砂浜に草原、それがずっと続いている。あまりにも暇すぎます。これでは報告の仕様がないではないですか!しかし、暫くすると砂浜が途切れ岩が露出する場所になりました。そこで一旦車を止めて観察することにしました陛下の話では港を作るにあたってかなり深い水深の場所が欲しいと言っておられましたからね。残念ながら測れるようなものは持っていませんが報告書に書ける内容ですね。場所を大体記したら再び領土拡大の作業に移りますか。

 でも、暇ですね…。










Ryouta Side

 女性が増えた事で新たにもう一つ住居を作った。これで施設は住居三つとなった訳だ。それとエルナがこの島の地図を覚えてたみたいで覚えている限りの勢力図を教えてくれた。これがその結果だ。


挿絵(By みてみん)

 シードラ王国はともかくパララルカ王国とはしばらく会いそうにはないな。別に会いたいわけではないが。天照大御神を侵攻しない異世界人に何を言っても無駄だろうからな。だが、百年でここまで広げたとなると意外と戦上手な奴がいるか、周りがへぼのどちらかだな。どうせなら後者であってほしい。その方が楽だしな。


「鹿島様、宜しいでしょうか?」


 俺が今後の事をリビングで考えていると正成が入って来た。その表情は真剣だが何か問題でも起きたのだろうか?


「どうした?なにか問題でも起きたのか?」

「はい、南方より複数人近づいてきています」


 ……地図が精工ならパララルカ王国の者ではないだろう。わざわざ無法地帯を通ってくる理由が分からない。と言う事は、


「夜盗か?」

「可能性は否定できません。服装はボロボロで短剣や剣を装備してこちらに近づいてきています。どうしましょうか?」


 正成は聞いて来るが俺の答えは一つだ。


「殺せ。いや、一人だけ情報を引き出す為に逃げられない様にしろ」


 正成達にも64小銃を渡してある。対処は可能であろう。


「了解しました」


 正成は敬礼して出て行く。しばらくすると銃声が聞こえて来た。さっそく始まったようだ。数分位経つと銃声が止み更に数分後には足と手から血を流し力なく座る同年代ぐらいの少年が家の前に連れて来られた。ここまでの時間はおおよそ二十分も経っていないだろう。


「鹿島様、連れて来ました」


 外に出た俺に対して正成が敬礼して伝えてくる。俺は捕まえたという山賊を見る。髪の色は黒、しかし、エルナのような黄色人種ではなく白人であった。…あまり白人は好きにはなれないがこの場合は仕方がないか。俺は少年に聞く。


「何の目的でここに近づいた」

「……」

「どこから来た」

「……」


 俺の問いに少年は黙り込んだままでイライラする。これだから白人は!俺は怒りに身を任せて山賊を蹴り飛ばす。蹴りは山賊の顔に当たり大きく後ろに飛ばされた。それを見た俺はある物を召喚する。


「……喋る気がないのか喋れないのか分からないが丁度いい。貴様には極上の快楽を与えてやるよ」


 そう言って俺は召喚した物、覚せい剤を注射器で投与した。










「鹿島様、ただいま戻りました」


 山賊を撃退してから三日ほど過ぎて博美が帰ってきた。俺は博美たちを出迎え、そのまま俺の住居に報告のために連れていく。リビングでは食後のお昼寝をする輝夜がソファー一つを独占していた。幸せそうに、そして無邪気に眠る姿はやはり神には見えなかった。俺は輝夜を起こさないように毛布を掛けて椅子に座る。


「さて、何か見つける事は出来たか?」

「いえ、残念ながら狼どころか人の姿もありませんでした。ただ、海岸線に沿って東に少し進むと港に適した場所を発見しました。水深は測れていませんがそれなりの深さはあります」


 それはうれしい報告だ。何せこれでようやく港を作れるかもしれないからな。それに人口が増えれば海軍を作っておきたい。この島の南西に大きな大陸があるそうだからな。攻めるにせよ守るにせよ海軍は必須だ。


「それと鹿島様、先ほどから聞こえてくる叫び声は何ですか?」

「ああ、朝霞軍曹が出て行った日のすぐ後に山賊が攻めてきてな。その残党だよ」

「……ほう」


 一瞬博美からものすごい殺気を感じたがすぐに笑顔になる。しかし、その眼は笑っていなかった。


「是非ともその方と話がしたいものですね」

「……考えておく。今は拷問中だ。余計な手出しはするな」

「……分かりました」


 ……明らかに不服そうだが取り合えず納得してもらえたようだ。だが、まさか博美にこんな一面があろうとは……。山賊には近づけさせないほうがいいな。


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