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第十話 王都フレーザック

NO Side


シードラ王国の本拠地であるシードラ島。シードラ王国がこの島を完全に領土としたときに国の名前が付けられたその島はジャングルで生い茂る樹海が広がっていたがその面積は少なくなっていた。現国王が一部の森林を残すように命じていたがそれでも初期と比べると半分以上が開拓されていた。


そんなシードラ王国の王都フレーザックは港と連結した港町でもある。王城からは港に出入りする船がよく見え賑やかな街の風景が一望できた。そんな王都の港にある要塞に努める兵士、カールズは欠伸をかみしめて見回りを行っていた。


「おい、そんな姿を上官に見られたら大変なことになるぞ」


そんなカールズを同僚は咎めるがカールズは反論する。


「だってよぉ、俺が生まれる前からこの王都は攻められたことがないんだろう?どうせ明日も暇な要塞勤務だ。少しくらい欠伸したっていいじゃねぇか」


カールズの言葉に同僚は呆れるが否定はしない。王都が完成してから一度として責められたことはなかった。これは位置的な意味をあるが何よりガルムンド帝国と交易を通じて同盟を結んだことが大きい。ガルムンド帝国はハンラット大陸東部をほぼ領有する大帝国で最強の軍勢と呼ばれていた。とは言えパララルカ王国のアクラ・ベル・ブレストラッパーによって一部の領土を取られていたりするがそれでも大帝国を名乗るのに申し分なかった。そのためガルムンド帝国と同盟を結んだシードラ王国に攻めるものはいなかった。


しかし、二人は知らない。明日も同じことが起きるとは限らないということを。


違和感に気付いたのはカールズであった。海岸線を見ると黒いなないかがこちらに向かっていた。最初は船だろうと思ったが船にしては黒いし、帆も見えない。それでもその速度が速いのは分かった。


「お、おい。あれ」


「どうした?そんなに顔を青くして…」


同僚もカールズが指をさす方向を見れば同じく顔を青くして言葉を失う。そこには巨大な鉄の船がものすごい速さで向かってきていたのだから。


「て、敵襲-----!!!!」


いち早く回復した同僚はありったけの声を張り上げた。


この日シードラ王国は日の丸を掲げる船と初めて激昂した。




















Ryouta Side

ふむ、ここからでも王都の混乱ぶりは良く見える。


ん?俺が今どこにいるかって?勿論戦艦の中さ。これは港を作ったときに新たに出てきた能力『艦船一覧』より戦艦大和を召喚したのだ。弾薬燃料は一緒についていたが流石に全ての武装を使う人員は足りていないので主砲と副砲、後船を動かすのに必要な人員のみ連れて出港したのだ。あり得ない大きさの船、全てを鉄で覆われた船などこの世界では見たことがないだろう。しばらくすると軍船と思われる船が一艘だけ近づいてくる。取り合えず兵士に警戒させて様子を見るか。攻撃して来るようであれば王城と思われる丘の上に建てられた城に砲撃するだけだ。


近くまで来た船の上で誰かが喋っている。


「私はシードラ王国将軍ファウゼン・ノーブルである!ここはシードラ王国の王都である!ここに来た目的と貴様らの所属を答えよ!」


ふむ、ここは俺が答えてやるか。俺は拡声器をもって外に出る。俺がいるのは指令室だ。


「俺は日本帝国総統、鹿島良太だ!今回の目的はシードラ王国と有効な関係を築きたくやってきた!」


拡声器で大きくなった俺の声に将軍は驚いたがすぐに先ほどよりも大きい声で言う。


「目的は理解した!だが!日本帝国と言う国を我々は聞いたことがない!このまま国王陛下のもとに案内する事は出来ない!」


まあ、それもそうだな。いきなり知らない国がやって来て国王に会わせろと言ったらそうなるだろうな。これは予想出来ていた。


「それは我々も重々承知している!だが、我々も何も得られないで帰る事は出来ない!そちらにも都合があろう!会える時まで我々はここで待つこととする!」


言うなれば合わせるまでここに居続けるという脅しだ。将軍は焦ったようで何か言ってくるが俺は返答しないで奥に引っ込み船から離すように伝える。


シードラ王国国王と面会できるようになったのはそれから一時間もしないうちの事であった。























Ryouta Side

しかし、意外と早く面会出来たな。俺の予想だともっと時間がかかると思っていたのだが。


シードラ王国の王城で俺はシードラ国王を待っていた。謁見の間と思われるこの部屋は広く俺以外は誰もいなかった。ふと、窓から外を見てみる。その窓は街を一望出来ていて先ほどまで乗っていた大和が見えた。こうしてみると大和の大きさがどれだけかよくわかるというものだ。他の船の四倍の全長はあるだろう。科学の発展とはすさまじいものがあるな。


「私の国の王都は気に入っていただけましたかな?」


ふと、声が聞こえてきた。そちらを見ると一人の女性がいるが普通の女性ならここには入ってこれないだろう。と言うことは考えられることは一つ。


「お初にお目にかかります私はシードラ王国国王のマーレ・エル・シードラと申します」


その女性、シードラ国王は優美に挨拶する。俺もシードラ国王の方を向いて挨拶する。


「日本帝国総統鹿島良太です。先程港で起きた騒動お許し願いたい」


「ふふ、構いませんよ。私も久しぶりに面白い物が見れました」


シードラ国王は怒っていないと言っているが本心かどうか分からない。見た目は麗しい姫であるがその瞳は俺を見定めるようなことをしていた。成程、意外としたたかな性格をお持ちのようだ。


「喜んでいただけたのなら幸いです。もしよろしければ次は艦隊を率いてきましょうか?さらに素晴らしいものが見れますよ」


「それは本当ですの?でも残念ですわ。王国でそんな素晴らしいものは見ることが出来ませんの。見るときはあなたの国で見る事になりそうですわ。その時は友人をたくさん連れてきますが構いませんよね?」


「…ええ、勿論ですとも」


…このお姫さん。意外と根性があるな。確かに国王としての器は持っていそうだな。ん?国王の胸飾り独特な形をしているな。


「ところで、その胸飾りは?」


「これですか?」


国王は胸飾りを掴み見せてくる。


「太陽神教を信仰している者の証です。太陽神教は太陽に住まうと言われる異国の白いドレスを着ていると言われる女神さまを信仰しています」


…天照大御神か?確かに白い着物は異国のドレスと言えるだろうな。もしそうなら手厚く保護するか。


「そうでしたか。…では、早速ですがわれらの内容をお伝えします」


気を取り直してここからが本番だ。


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