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オタクな自分は打たれ弱いんです!  作者: TAKAHA
第一章
6/16

未知との遭遇

朝更新できず申し訳ありませんでした!!





「一日って、こんなに長かったっけ・・?」


結構な時間をかけて遺跡を回ってみたのだけど、未だ日差しは強いまま。


「・・・はぁ」


今までは時間が短く感じたのに、そう思って見上げた空には2つの太陽がまだ真上あたりで地上を見下ろしていた。


体感的にはもうすでに蜩とか鳴いていそうな時間だと思う程疲れているのだが、太陽を見る限りは多く見積もってもまだ昼を過ぎた位な気がしないでもない。

朝食で食べたチョコの入ったリングパンを昼食としても食べて、取り出した煙草をくわえて火を着ける。



ぐぅぅ~


「・・・物足りない」


私は結構大食いで、食べないときは1日1食とかだけどその1回で食べる量は多い。

激太りってわけじゃないけど、平均からいったら・・・まぁ、太っている方だと思う。てか、最近の若者共が食わな過ぎなだけだ!ニュースで戦後の日本以下の食事事情とかなんとか聞いた気がするし、アホかって思ったがそれはそれ。


ま、一応横に置いといて。


やばいと思う。自分用に買ってあったリングチョコ(小)が2つ ――1つを半分ずつ食べてもうなくなったので残り1つ―― と(大)が1つ。それと、キャンディー1袋と最近お気に入りのあるコンビニにある白かりんとう2袋と僅かばかりの駄菓子。それが今現在の私の持っている食糧だ。

ちょっとずつ食べたとして、このまま行けば後4~5日で食料は無くなるだろう。


そして、何よりも必死の思いで汲んできた水がもうなくなりかけている。


「・・・やだ。マジやだし!あんな虫共の巣窟になんか行きたくない!!」


バッタやコオロギにカブトムシとかだったら触れるけど、芋虫のデカいのとかやだ。気持ち悪い!!

煙草をくわえたまま両拳を叩きつけるが、ただ痛いだけで目に涙がにじむ・・・夢ならさっさと覚めてくれよ!マジでっ、切実に!!


でも、そうはいって居られない。食料は無かろうと、水が無くなったらそれだけで命の危機だ・・・けど、嫌なもんは嫌だ。


それほどヘビースモーカーじゃないから、煙草を吸い過ぎると気持ち悪くなるのだが・・・でも、行き帰りでそれこそ吸いまくっていたら消耗品の煙草なんてすぐに底をついてしまうだろう。


「はぁ、あと・・百均寄った時に蝋燭とかかっときゃよかったかなぁ」


夜のライト代わりに良いかなと思って、さっきの教会の様な跡地にあったあの花を3輪ほど摘んできたのだが、どれくらい経ったか分からなかったけど・・・急にあの淡い光の元の蜜かな?それが花から落ちたと思ったら、花はみるみる枯れてしまった。


とっさの事に出した手に1つ受け止めたその蜜を何となく舐めてみたら、味的には普通のツツジとか学校の花壇によく咲いていた赤い花の蜜に似た感じの甘い味だった。

ただ不思議だったのは、何かが体中に染みわたるかのように感じて体が楽になった事だろうか。


「よ・・・よし!」


暫く悩んでいた私だったけど、やっぱり行くのなら明るいうちに行くべきだと思って遺跡と森の境界線で気合を入れる。

まだ火のついてない煙草を1本咥え、手にもライターと一緒に1本持っている。腰にはシガーポーチを付けて、ポケットの中にはビニール袋を2つねじ込んで、煙草を持ってない方の手にポットを持つ。


そして、意を決して私は森へ足を踏み出した―――――・・





・・・・・・・・・






・・・・・・・・・・・・・・






・・・・・・・・・―――――――――うん。








結果的に言えば、あの覚悟はなんだったのかというくらいあっけなく私は水を汲んで戻って来れた。

ビニール袋2つとポットのお蔭でちょっと服がぬれて手が千切れそうなほど痛かったが、それ以外では可愛らしいウサギっぽい動物やリスっぽい動物がちらほらと私をビビらせてくれた以外特に何にもなかった。


「今日も1日おわりかなぁ・・・」


あの後、ビビりながらももう一度湖まで戻った私は虫たちが苦手にしていたっぽい木から、申し訳ないが小ぶりの枝を1枝折らして貰って、今は乾燥させるために遺跡の壁につるしてある。


「ん~・・夕方の気配におい


今は漸く日が傾き始めたらしく、先ほどよりも涼しくなってきた空気と夕方の気配に、覚めない夢への絶望感が胸を締め付ける。


今日の宿替わりは、遺跡の中でもちょっと入った所にあった元貴族の御屋敷跡っぽいところの離れ。

建物の陰に隠れるように会った何とか使えそうな井戸があって、何度か動かしてみたが枯れ井戸だったのか水は出なかった。が、子供の前にだけ現れるでっかい精霊(?)が出てくる良く見てたある映画を思い出し、勿体ないと思いながらも手押しポンプに汲んできた水を入れると――何と水が出た!


「ありがとうジ●リ!万歳記憶!」


恐る恐る水を口に含んでみた所特に問題もなく、普通に甘い感じの美味しい湧水の味。ちょっと飲んでみたけど、あの泉の水よりもおいしい水で大丈夫そうだった・・・うん、今の所腹は壊していない。


「昨夜の所よりもここがいいや!森から離れたし、屋根も水もあるもんな」


何より屋根が8割以上も無事で残っている所がここに決めた決め手だ。

人ひとり寝られそうな石でできた箱型の収納があったのでそこに荷物を詰めて、綺麗そうな丈夫な板を洗って乾かしておいたのでそれを乗せて、その上には大きな葉っぱを沢山敷き詰めて地べたで寝るよりはまだましなベッドを作った。


「あ、焚火の木を今の内に集めておかないと」


森の中に入らずとも、木々に囲まれたこの遺跡は風で飛ばされた枯れ枝が遺跡の外れ辺りで沢山落ちている。

一抱えある焚火用の木を運び、また葉っぱ鍋で水を沸かしている間にもう一度拾いにさっきとは違う場所へいく。


「集めるだけ集めといてまた運べばいいかな」


取りあえず今は一晩もつ位の木は運んである。


「・・・ひぃ?!」


自分に言い聞かせるようにそう呟いて、集めた焚火用の木の山の中から小脇に抱えられるだけ持って立ち上がった私は、声にならない悲鳴を上げて持っていた木をその場にばら撒いた。


「・・・?・・・?・・?!」


何・・何、なになになに・・・何なんだよ!!?


心臓がうるさいくらいドキドキいっていて、足はその場に根が生えたかのように動かない。

手が小刻みに震えているが、これは夢夢夢と念じるように目を擦ってからそっと先ほどの方へ視線を向けると・・。


「・・!!?(夢じゃねぇ―――――っ)」


ゆっ、ゆーれーでたぁぁーーーー!!!!って叫びたかったけど、私の口から出たのは引きつったような小さな声だけ。

そんな私の視線の先には、ぼろっぼろのを身に纏った2人の子供が青白い顔をして立っていた。


「・・・・」


暫く私と子供たちはじっと身じろぎもせずに見つめ合っていたけど、じっと見ていた私からは徐々に恐怖心は抜けて行って・・・取りあえず、子供でも人に会えたことへの安心感が湧きあがった。


「?」


そして気が付く違和感。


2人の子供たちは姉妹だろうか。日が陰りつつあるうえに木の陰にいるから良く分からないが、同じような色彩の髪をしていて、10歳にいったかいってないかなってくらいの女の子の方は3歳くらいの脅えている女の子を庇うように抱きしめて、何かを警戒するように視線を忙しなく動かしている。



そして、何より不思議なのは2人の身に纏っているその衣装。服装ではなく衣装と思ったのは、本当にそう感じたから。



何世紀ごろだろう?16~18世紀かそのあたりだったかは良く分からないけれど、確かヨーロッパの方で胸の下で切り返しがあるこんなドレスが流行っていたはずだ。

歴史資料で見たのよりは明らかにしょぼいけど、ネグリジェよりはそっちの方がしっくりくるようなそんな服装だ。


そして、そんな2人は明らかに森を彷徨っていましたと言わんばかり。スカートの裾は破れて解れ、覗いている足や腕に頬の辺りは切り傷や血が出た様な跡がある。

森にはあの虫たちが居たはずだ、もしかしたら他にも色々な動物だっているかもしれない!


「ど、どうしたの?大丈夫?」


思わずそう言って一歩私が近づくと、2人は脅えたように一歩後ろに下がる。


「あ、言葉通じない?どーしよう・・・私、英語とかからっきしだしなぁ」


というか、日本語自体が危うい気もする。

やっぱり地球の中の海外か別世界なのかと、私がその場でおろおろしてしまった。


「・・・ぁ・・・っ」

「お腹、すいてるの?」


どのくらい時間が経ったのか、私も動くことが出来なくてその場にいると、女の子たちの方からぐ~と、何とも可愛らしいお腹の鳴った音が聞こえてきた。


「わ、私の言葉・・・わかるかな?不審者だとは思うけど、危害加えたりしないからついて来て。お腹すいてるんでしょ?」

「・・・」


恐る恐る出来る限り優しく問いかけてみると、少し間をあけて顔を真っ赤に染めた女の子がこくりと頷いた。

フランス人形みたいな可愛らしい子達だけど、言葉が通じるみたいなことが今日一番ほっとした。







ようやくこの世界の住人と遭遇しました。

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