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オタクな自分は打たれ弱いんです!  作者: TAKAHA
序章
2/16

非日常の始まる日2




モールへ足を踏み入れるや否や、取りあえず目的地の1つへと足を進める。


「へぇ~、ひっさびさに来たけどだいぶ中身変わってるなぁ」


あった筈のアイスクリームの店が無くなって、店舗改装か無機質の壁で囲まれている。

反対に別の方向には前に来た時にはなかったケーキ屋さんが入っている。


「お、あのケーキ屋さんチーズ系メインだ。ラッキー!リリ好みのあるかな」


後でよろ~と思いつつエスカレーターで上の階に上がり、しばらく歩くとまず1つの目的地。好みの香りの石鹸を大きめで2つと、リリに頼まれた前買ったモノと同じやつ1つと母さんの好きな奴を1つ。


そのあと下の階に行きもう一つの目的地で紅茶の茶葉と、その近くにあるお店で母さんの好物のチョコの入ったドーナッツの様なパンに、季節のクリームのシュークリームやさっき見た店でチーズケーキを買い込んだ。


「あ~、買った買った!」


当初の予定とリリにお願いされた物をとりあえず買って、通路にある椅子に座って周りの店を眺める。

そこまで遠出じゃない予定地だったので、やっぱり1人でもいいから遊びに行けばよかったと思わなくもないが、久々にパーッと買い物するのも気分がいい。


あぁ、でも愛しの彼らに会いたかったのも事実!ちょっと後悔があるのでゲーセンにもよって新しい景品があればゲットしよう。


「あ、そういえば・・・コーヒー豆も買ってこっかな?その前に一度荷物を置きに行くか」


そうと決まればと座っていた椅子から立ち上がって、近くにあるエスカレーター方面へと向かう。


「さっき見た感じセールって書いてあったし~、細口ポット安いといいな!もし手に入るなら豆で買ってミルも買っちゃおうかなぁ?」


ミルは実家にはあるのだが、ちっちゃいころあれの意味とか分からずに姉妹でクレヨンだとか色々突っ込んで遊んじゃったから・・・うん、マジですみませんでした。


それは置いといて、いつもは引いた豆を買って冷凍保存で使ってるけど、やっぱり引き立ての香りには敵わない。

ふっふっふっふ~とニヤニヤしながら一度車に戻り、私が帰ると見越して近くでハザードを出している車を敢えて無視してもう一度モールの中へと戻る。


「わりぃな!貴様らの思い通りになると思うなよ、あはは」


性格悪いのは自覚してるけど、別によくね?荷物を一度置きに来て買い物に戻ったってさ。

恨めしそうな視線を背中に浴びつつ・・・ガラスハートなためにちょっと気まずくなってさっきとは違う別の入り口から店内に戻ってゲーセンに直行!


目に飛び込んできたのは新しく入っていたクオリティーの高い愛し兄弟の兄2人を手に入れて、うっきうきな気分で1階に下りてきた。

お1人様1個の個数制限ないって素敵!!


すると・・・


「お?」


視界に飛び込んできた1件のお店。そうだ、あのお店は―――


「お店・・・閉めちゃうんっすか?」

「え?」


まだ正社として働いていて、金銭的にとっても余裕があった時にちょくちょく通っていた自称常連客として来ていた天然石アクセサリーのお店だ。

専門店街の一角にあって、1つ1つ好きなものを組み合わせて自分好みのブレスやピアスを作れるって感じね。


石の意味や色合いに拘ったり、垂れ下がってぶらっとするピアスは髪に引っかかって耳が引っ張られて痛い思いを良くしたために苦手になったため、無理だよって言われたところを何かとわがまま言って作って貰ったりと・・・まぁ、マジで迷惑な客だったよね。


「あ!わぁ~、いらっしゃい!お久しぶり~。相変わらずかっこいいわぁ」


一瞬『?』って顔をした店長さんだったけど、すぐに驚いたような顔をして作業していた手を止めて奥から店先にすぐに出てきてくれた。


正直覚えてくれているとは思わなかった。


まぁ、無理って言ってんのに作ってくれっていったり、これは?これは?と鬱陶しいくらい石言葉ってなんですかーー?!って聞きまくったりと―――・・迷惑過ぎてそりゃ印象深いっちゃ印象深い客だよな・・自分。


「前もかっこいい髪型してたけど、今回はなんかホストっぽくていいよ!」


前と印象違ったから分からなかった~という店長さんに、思わず苦笑。


前はとことんボーイッシュなショートヘアで、耳上と襟足をツーブロックにして上から髪をおろして前髪を右側長め~左短めで耳に掛けると言うアシメ(左右非対称=アシンメトリー)にしていた。現在前髪はアシメのまま長さを伸ばし耳周りは切って耳をハッキリと出し、天頂部トップはワックスで立たせて襟足も少しレイヤーを入れた軽めなウルフスタイルで伸ばしている。


元美容師ってこともあって ――ジュニアスタイリストまではやったけど、そこで挫折した―― 結構髪型にはこだわってる自分。最初は先輩のお遊びで始まったアシメのボーイッシュスタイルだけど・・・髪質的なこともあって、あまり女の子らしい髪型って似合わない上に自分でもしっくりきちゃったからこの路線を貫いている。


唯一ついうなれば、10キロ・・いや、せめてあと5キロは痩せたら多少なりとも見目良くなるんじゃないかとっ!!

運動めんどいくさがって自業自得なのは理解しているけど、最近腹の肉がやばいの!


「ははっ、大半のみんなに格下ホストって言われました。お久しぶりです」


てか、なんだよ格下ホストって・・・ホストに居そうだけど人気はなさそうってか?なんだ?悪口だったのか?


「それより、・・・セールってどうしたんっすか?やめちゃう感じです?」


そこまで広くはないブースだけど、その店のいたるところにはセールと書かれている紙が張ってある。

でも、全部ってわけではなくて一応一部のスペースだけみたいだけど、結構広い範囲がセールになっている。


「ふふっ、違うよ~」


きょろきょろと店内を見回しながら思わず出た私の声に店長さんは笑いながら否定する。


「前にデザインして作ったのとか古いのとかをね、入れ替えするの」

「へぇ~、そうなんだ」

「タイガーアイとか好きだったよね?それもあるよ、良かったら見てって!」

「へ、覚えててくれたんですか?」

「勿論、私結構記憶力いいのよ!」

「記憶力悪い自分には羨ましいっ!その能力」


物覚えが良いって羨ましい限りだ・・思わずちょっと遠い目をしそうになったけど、ニコニコしている店長さんに自然と私も笑みがこぼれる。

折角だしという事で、ちょっと寄り道決定。


店内に足を踏み入れて、よくよくセールのPOPに目を向けると最大50%OFFとか書いてあって、やっぱりあれもこれもと欲しくなってくる。


「お、ラピスラズリまで」


私が店内を物色し始めると、買い物中は話しかけられる事が苦手って事も覚えていてくれたのか、店長さんは奥のスペースに戻って作業を始めている。

一番好きなんだけど、そこそこお高い深い蒼色の綺麗なラピスラズリもお手頃価格・・・まぁ、今の自分にはそれでも高いっちゃ高いけど。


「早めに来ればよかったなぁ・・・結構使っちゃった後だよ・・」


手持ちのお金はまだまだあるけど、やっぱり見てるとどれもこれも欲しくなってくる。収集癖があるっていうのも困りものだよ。


丁度今も自分の左腕には大粒の水晶ベースにアクセントとして3色のタイガーアイが付いたブレス1つと小粒のガーネットベースに水晶がアクセントの ――大好きな某海賊漫画の主人公の兄モデルの―― ブレス1つ合わせて2つのブレスが収まっている。

左腕に付けているブレスを見つめながら、並んでいる既成のブレスに視線を這わす。


ここ数年は新しいブレスも買ってなかったし、ピアスも前作って貰ったやつから新しくしていない・・。


「んん~~・・これも、こっちも欲しいけど、こっちのにするともう少し量が買える・・・でも、これよりはもう少し大粒な方が・・・」


頭の中で考えているつもりだったのに、うっかりとブツブツと呟いていたようで・・・店長さんが温かい目で見守っていてくれていることには一切気が付いていなかった。


「あ、すみませーん!いいですかぁ~?」

「はーい、決まった?」

「はい!お願いします」


どのくらい時間が経ったかは知らないが、奥が結構すっきりしているところを見ると、結構な時間悩んでいたんだろうなとちょっと気まずい気持ちも心の奥に湧き上がる。


「石は大粒のタイガーアイ1種類1つづつと、こっち小粒の水晶とガーネットで1つコレ・・(自分の腕にあるブレス)と同じように作って貰えますか?」

「うんうん、ブルー・レッド・イエローで1つづつね?えっと・・ガーネットベースに水晶2個っと、この量だとちょっと小さくない?」

「自分のじゃなくてプレゼントなので。あ、あとラピスラズリと水晶でコレの色違いとオニキスと水晶で作ってください!で、最後にこのブレスとピアスください」


普通こだわってブレス1つ作ろうとすれば1つで大体5千円前後。既製品のモノだって石の大きさやランクで普通に高い物は高いのに、ブレスだけでも既製品10個以上とピアスペア1セットで4つ買ったとしても、何とこれだけで2万を多少超えた位。

まぁ、ブレスは大半小粒の物だし。形そろっていれば後々ばらしてデザイン変えたっていいしね~。


「ありがとう、でも・・・そんなに大丈夫?」


だよね、ちょっと買い過ぎだって思ってる・・・心配そうな顔をする店長さんに、私はちょっと大げさなくらい頷く。


「勿論!―――カードで!」

「あは、畏まりました」


この後まだちょっと買い物するつもりだし、現金は取っておきたいと、大げさなほどに私がカードを人差し指と中指の間に挟んでびしっと出すと、どちらともなく笑ってしまった。


「ありがとう、すぐに作るね。タイガーアイにはオマケで、アクセントとしてちょっとつけてあげるね」

「え・・いいんですか?!」

「勿論。20分程度待っていてくれる?」

「了解です」


カード支払いの為に出てきたピンク色のレシートにサインしながら了承の返事をすると、店長さんはすでに色々と準備してくれていた。


「これ、お願いします」

「はい、確かに。お控えとレシートのお返しです。時間までここにいる?」

「ん?いえ、まだ買いたいものあるんで」


書いたレシートを渡すと、カードの控えのピンクのレシートと普通の白色のレシートを渡される。それを財布にしまいながら返事をすると、店長さんは了解ですと笑みをうかべた。


「コーヒー豆買うつもりだったんでまだそのあたりブラブラしてきます。ちょっとオーバーしてもいいですか?」

「大丈夫だよ。作って待ってるね」

「お願いします!」


店長さんにそういって店を出ると、ここから少し離れた所にある珈琲豆と輸入雑貨のあるお店に一直線!

細口ポットはちょい高いけど通常価格よりは安く手に入ったし、珈琲豆は現在増量キャンペーン中!コーヒー豆は挽きさえしなければ暫く持つし、ちょっと多めに引いたとしても冷凍庫で保管すれば香りも長持ちだしこの機会に買ってしまおう!


―――・・・と、店に入ってほぼすぐに決めてやった。


取りあえず説明書きと店員さんの話を聞いて、酸味の強いコーヒーが苦手なのでハワイコナやキリマンジャロ等はいつも通り排除した。

一番好きなのは炭焼き珈琲!これはコクがあってそのままでも美味しいし、今の所だけど自分の中ではカフェオレに一番最適だと思っている。といっても、普段の私は珈琲はブラックで紅茶は砂糖も無しのストレート派だ。

後は、多少酸味はあるけれどブラックで飲みやすいグァテマラに、少し苦みのあるブラジルやまろやかなモカやこの店のオリジナルブレンドなどを色々と。


豆の種類はとても多い。例えばグァテマラだって“グァテマラ○○”とかってついただけで本当にまったくべづ物の味だし、焙煎の仕方で変わったりもする。

利き珈琲が出来るって本当に最高だ。物覚えの悪い自分には似た名前に変わった名前の珈琲豆は一切覚えらんないしね~。


今、もう一度飲んでみたい珈琲ナンバーワンはトアルコトラジャコーヒー!確か、どこだったっけ?旅行の帰りがけで寄った道の駅のとこにある喫茶店で飲んで気に入ったんだ。


また行きたいな・・・。


「ん~、満足満足!」


何時もは1つ1つ小分けパッケージされてるドリップを買うけれど ――てか、今日も一応買ったけども―― 、ポットにペーパー&ドリッパーにミルもワンセットで買ったし暫くは自分ドリップを楽しもう。

そんな感じに色々と考えながらうきうき気分で天然石のお店まで戻ると、店先で子供が詰め放題の石で遊んでおり、2人組のお客さんが丁度会計をしていた所だった。


「ども、出来てます?」


会計の終わった2人組とすれ違いでレジまで行けば、「できてるよー」といって小分けされた袋とプレゼント包装された1つの包みをカウンターに出してくれた。


「良かったらついでに詰め放題やっていかない?今なら税込500円で、入れ物一回り大きくしてあげる」

「ほんとですか?じゃぁ・・やろうかなぁ?」


お金を払って容器を受け取ると、さっそく不揃いの天然石が入れられたケースの前にしゃがみ込む。ちょっと吟味しつつもじゃりじゃりと容器にぎっちぎちに石を詰め込んだ。


店長てんちょ・・・」


何とか蓋もしまったので店長に声をと思ったのだが、いつの間に入ったのか店長さんはお客さんの対応をしていた。


「ありがとうございました」


店長さんに見えるように容器を指さしながら口パクでそういえば、気が付いた店長さんは対応しているお客さんに分からない様に手を振ってくれた。




「・・・・ちょぉっと・・買い過ぎだなぁ・・・ハハハ」


また車まで戻った私は、さっき適当に後部座席に入れた荷物と今買った荷物を前にしてちょっと苦笑してしまった。

買ってるときはそんな気はなかったのに、こう見ると色んな店の袋が山積みになっている。


「えっと・・これが自分の~・・服類はトランクで、こっちがリリのと母さんの~・・は後部座席でいっか」


選り分けながら、自分の物を助手席に乗せ、リリ達のお土産は後部座席に乗せる。

季節のシュークリーム1つとプレゼント包装された以外の天然石、石鹸と紅茶と珈琲セット・・・と、随分多くなって助手席は山盛り状態。


「にしても、きょーのせんりひんちょーーーーすてき!!」


ゲーセンでとった大好きなキャラのフィギュアを前に、身悶えるのを何とか堪える。日々進化していてクオリティーが高くなっている品々!今日は調子が良かったから1種3個づつも取れるなんて・・・なんて幸せなんだろう!

取りあえずセットの兄2人1個づつと女帝1個を目に付くところに出して満足する。


「ふふふっ。イベントは残念だけど、これはこれでトキメクからチャラでいいや」


席に座ってエンジンを掛ける。そして、荷物の山の中からつぶれない様にしておいたシュークリームを手にして大口で頬張った。


「むぐむぐ。ひょーひぁ・・・(ごくん)ん~、天然石詰め放題のは・・・あんま使い道ないからトイレの水のとこにでも置こうか・・・むぐむぐ」


エンジンをかけた後で流れの様に窓を開ける。


「いや、そりゃもったいない気がしなくもないな~・・・あ、珈琲のみたい・・・けど、次の車が待ってるか。エンジンも欠けちゃったしコンビニでいいや」


取りあえず一口で食べるにはちょっと大きかった残りのシュークリームを口に放りこみ、ハザードを出して止まっている気の良さそうな老夫婦の為に急いで車を動かした。


あ、会釈したらし返してくれた・・・良い人や・・。



モールから出てすぐにあるコンビニの中でも特にお気に入りの珈琲と、ついでに煙草の予備を数箱買って鞄は後部座席に放り込んでコンビニの袋を、さっき鞄を置いていた助手席の足元に置く。


<今、モール出た!ちょいちょい寄り道すっけど、3時前には家いけると思う!>


そんな感じにラインを打って、タブレットも後部座席に放り込んだ。

実家への道を走りつつも、突如思いついた行きたいお店に行こうと思って大好きな歌い手さんの歌を口ずさみながらハンドルを切った。





――――――――・・・だった・・・のに・・???




目の前に広がるのは折り重なるような木々に、目に染みるほど眩しく光る湖面。



「・・・・え?」




私は唖然として目の前に広がっている光景を見つめていた。









なんかちょっとぐだぐだって感じでしょうか・・あと、色々とお店に関わる事は適当な感じです。すみません・・雑貨店とか、経営とかわからないので・・。


次回から異世界に飛びます。よろしくお願いします。


誤字脱字等ありましたら教えて頂けると助かります!



トアルコトラジャコーヒー・・・確か、奈良井宿っていうところの道の駅の所の喫茶店だったと思う。数年前だけど、そこで飲んだアイスコーヒーがおいしかった!

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