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オタクな自分は打たれ弱いんです!  作者: TAKAHA
序章
1/16

非日常の始まる日1

始めまして&こんにちは。


この話は前に書いていました『 オタクですけど、何か? 』を書き直しております。

前を読んでなくても読んでいても、全て1から書き直していますので・・た、楽しんで頂けたらなぁと思っております。







「はぁ?!ちょっ、何を言って・・・ちょっと待ってって!」


叫んだあとに慌てて耳に当てていたスマホの画面を見るが、無情にも通話は終わっていた。

その上、すでに画面はホームに戻っていて―――――大好きなキャラクターが映し出されているのに、今は無性に腹が立つ。


「~~~~っ、もう知らん!!」


ガシガシと前髪辺りをかき乱して、不機嫌そのもので手にしていたスマホをベッドの上にたたきつける。

勿論スプリングのきいたベッドになんか叩きつけられたスマホは、案の定とでもいうように跳ね返って床に落ちるが・・・それすらも気に障るくらいイラついていた。


「これも、必要ないわ!」


今日は久々に親友が集合するし、明後日が友達あいつの誕生日だからと折角友達の好きなキャラをケーキに描いてもらったキャラケーキにしてもらったけど・・怒りにまかせて冷蔵庫から取り出し、そのままゴミ箱に投げ捨ててやった。


苛々した気持ちのままドサッとソファーに腰をおろし、鞄の中からシガーケースを取り出して煙草を口にくわえるが、はっとここが部屋の中だと気が付き、悪態をつきながら雑にコートと鞄を掴んで住んでいるアパートの部屋を出た。


別に部屋で吸ってもよかったのだが、借りてるものだし煙草の匂いや煙で天井や壁が変色したらやだと思ってベランダとか外で吸うと決めているんだ。




「ふぅぅ・・・・・さむっ」


鍵を掛けて階段を下りつつ火を着けた煙草を吸い込み、ため息と共に深く吐き出す。

自分の車はアパートから少し歩いたところに月極めを1スペース借りている為、寒さと朝が苦手な自分にはちょっと堪える。


また一年も最後の月だなぁとしみじみと思う今日は、太陽も厚い雲に隠れている為に肌を刺す様に冷たい空気に苛々していた気持ちも少しは和らぐ――――が、先ほどの電話を思うと再び苛ついて来てギリッと奥歯を噛みしめた。


「別にさ、あいつが悪くないのは知ってるけどさ」


仕事なんだもん、八つ当たりも同じだよな~・・って、頭の片隅では理解しているんだ。


でも―――・・


さっきの電話は、大親友の1人でもある今月が誕生日の友達から。今日本当はこれからそいつらと出かける予定があったから早起きしたのに、何度目かになるドタキャン。

今日遊びに行くのはぶっちゃけ2か月前から決めていたから、本当にずっと楽しみにしていたんだよね。


それにさ、仕事が忙しいのは知ってるし、急に時間変更になったからと言われたらそりゃ仕方ないねって思うし、朝っぱらからちょっと友達とは別に嫌な電話もあってイラってしていた自分も悪いけどさ。


『前から決まっててホントごめんだけど、仕事なんだから仕方ないじゃん!あたしだって楽しみにしてたけど・・・仕事のないアイトと違って私は忙しいんだから!!それに!さっき茜ちゃんにも連絡したからっ・・ブツッ』


仕方ないのは分かるけど―――――あの言い方はないと思う!!


因みに、“ ア イ ト ”とは自分の事。自分の名前である愛豊あいほう真琴まことを略して皆からアイトと呼ばれている。


てか!仕事がないわけじゃないっての!2つも掛け持ちして働いとるわ!

正社(=正社員)で短大出てからずっと勤続中の友達と違って、確かに今の自分は一応仕事しているけど・・フリーター。



今はね、今はフリーターなだけで、社会人になってからずっとフリーターだったわけじゃないんだ!私は!

高校を出てから専門学校に行き、専門学校を卒業後、ずっと一直線に目指していただけあってすぐさま先生おすすめの店へ就職した。

楽しかったけど、やっぱり理想と現実の違いに僅か3年ほどで挫折。


そこから暫くボー然としていたけど、仕事しないと生きていけないし・・・サービス業ってのは同じだったけど、まったく違う職種で働いていた。

何度か職を変えているけど、今現在に至るまではキチンと正社で働いていたとも!


だけど・・・夢は夢。


追いかけていた夢もあっけなく挫折し、その後務めた飲食店では副店長まで頑張ったけど・・・はぁ。

先代社長の考え方が好きで就職したお店も交代した社長とは全くかみ合わない上、子供が熱を出したというパートさんにぎっくり腰をやって出られないというバイトさんなどなど、休み返上で酷い時には連続2週間以上や1日20時間勤務が当たり前って・・・辞表叩きつけて気が抜けた時に、疲れが一気に来て1ヶ月間寝込んだのは嫌な思い出だ。


だからもういやだ!と思って・・・・まぁ、世間的に見てやばい年齢の癖にフリーターのまま。

それに、決まった休みとかって性に合わない。休みたいときに休んでいきたいとこに行くには、フリーターが気楽だし。


「もう、いいや。あいつにも会いたくないし・・・買い物行こう」


友達の事でのイライラも、今までの色々思い返していたりしたらちょっと空しくなってきた。

元々今日は遊びに行く予定だったし、あいつは今度行こうって事だろうけどもう知らん。


誰が信じるかあんな奴!!


自分だって基本平日休みの所を、無理言ってあいつの休みに合わせて休日に休んだってのに!


「もう期待しない・・・・遊びに行くために溜めてたお金はパッと使ったる」


短くなった煙草を踏み消して、むしゃくしゃして投げつけたケータイを家に放置したまま車のエンジンをかけた。



――――――――~~~・・・あぁぁぁ!!!でもっ!!行きたかったっ・・・折角、折角今日の為だけに新しいコス衣装を買ったんだぞ!ずっとずっと・・・行きたかった某海賊漫画のイベントだったのにぃぃっ!!!






「ふぅーーーっ」


肌に刺さるような寒さの中で、それでも窓を開けて車を走らせていた自分は深く吸い込んだ煙草の煙を流れる景色の窓の外へと吐き捨てた。

買い物に来たのはアパートからほぼ国道を一直線で、大体一時間くらいでいける大型のモール。

右を見ても左を見ても、どこも空いている駐車場はない。


「ちっ・・・まだ早い時間なのに!」


やっぱり近場の駐車場はどこもいっぱいで、ちょっとイラッとしながら短くなった煙草を灰皿に押し付けた。


~~♪  ~~♪


「ん~?」


込み合っている駐車場の中に漸く空きを見つけ、車を切り返そうとしたときに鳴った音に驚いて助手席見ると、昨日車に放置してしまったらしいタブレットが助手席とドアの隙間に落ちているのを見つけた。


「あぁ、無いと思ったら車にあったんだ・・・何だろ」


鳴った音は設定していたラインの音。基本スマホで連絡を取っているが、本当に極僅かの人にだけタブレットでとったラインのIDを教えている。


「あいつか?まだ何かあんのかよ」


ちょっとイラッとしながらも、車を漸く停めてからからタブレットを開けば、案の定ラインのメッセージが届いていた。

ただし、予想とは違って今現在のイライラの原因の友達ではなく私のかわいいかわいい妹からの連絡だった。


「あー・・どうしたんだ?」


今日は何かあったか?と思いながらもラインを開けば、スタンプも含めて何個かメッセージが届いていた。


≪おねぇ今いえぇ~?≫


≪ケータイに電話しても出ないって寝とんの~わら≫


ふっと口元に笑みを浮かべながらも返信で打ち返す。


<ん~ん、ちょっと久々に買い物で隣街。ル●シアやラ■シュにいきたくってさ>


<ケータイはうっかりおいてきちゃった。わり!>


アンドロイド系のタブレットだから設定すれば電話機能もあるらしいのだが・・・こんなでかいので電話などしていたら明らかに不審者や好奇心の視線の嵐間違いなしだろう。

返信を打ってほぼすぐに、既読マークがついて妹からの返事が表示される。


≪あ~!あそこね!うちにも前買ってきてくれた石鹸買ってきて!≫


<おけー!ついでにリリの好きそうなチーズケーキとか美味しそうなものあったら買ってくわ>


≪まぢでぇ~!おねぇサンキュ~!≫


一応近くに住んでいるけれど、連絡しないときは本当に連絡取ったりしないくせに、特に何もない時に突然連絡をしあったりする妹のリリナ。

因みに自分の住んでいるアパートから車で5分ちょっとの距離の市営に住んでいたりする。


≪そーそー、うち今実家!おとんが釣りで大物つったってぇ~!おねぇも刺身いる?って聞いとるよ≫


自分でも無意識に口元に笑みを作ってリリからのメッセージを読んでいると、山に住んでいるくせに海釣りが大好きな父さんがまた今週も行ったらしい釣りで―――珍しく坊主・・(まったく魚がつれない事)や小物ばっかりではなく大物をつってきたらしいことに苦笑する。


<はぁ?とーさんまた行ったの・・・まぁ、あるなら食べるけどさぁ>


相変わらずだなぁ~と思う反面、最近色々と気が進まなくて実家に一切帰ってなかったなぁと頭の中で日数を数えつつも返信をした。


≪わかったぁ、そー伝えとくわ~≫


妹だが、好きなものは好きで嫌いなものは嫌いと自分の意見がはっきりしていて、口の悪さや派手な見た目ではあるのだけど、それに反して皆から好かれる。自分もこれで身内じゃなかったらあの見た目で近寄りもしなかっただろうけど、自分の妹で本当にありがたいと思う。


根暗でオタクでどうしようもない自分なんかでも、その趣味を理解してちゃんと姉として慕ってくれるんだからさ。


<ばーちゃんが朝っぱらからうるさい電話くれたからさぁ、帰んの気がすすまんけど・・・リリには久々に会いたいしなぁ~・・母さん達にももう3か月近くあってないや>


≪まぢでぇ~また?もーあれがあいさつみたいなもんじゃん わら≫


≪ってか、おかんも久々に来いってゆっとるし決定ね~≫


<そりゃそーだ!それじゃ、後で>


≪おけー!楽しみにしとるね~≫


<りょ!>


自分の買い物は本当に目的が決まっていてすぐに終わる事を知っている妹は、急かすこともなくそんな言葉の後に了解という好きなキャラのサムズアップのスタンプを押してラインを終えた。


実家は自分の住んでいるアパートから20分ほどの近場だけど、いつでも帰れると思うとなかなか足が向かわない。だってばーちゃんやたまに遊びに来てるばーちゃんの妹とかの「恋人はいないの?!」「結婚は考えてるの?!」「良い人いるのよ~!会ってみない!」という攻撃に辟易しているから・・・。


結婚や男になんて興味はないが、一応これでもかろうじて20代だ。

だからおばちゃん・・両親よりは下だろうが、頼むから性格よくってお金持っていようとも50代間近の人を勧めてくれるな!自分の事にもいっぱいいっぱいの私に介護は無理だし微かにある夢を壊してくれるなよ。


因みにいえば、朝の恒例とかしているあの電話も、そんな内容。


年齢=彼氏なしを突き進む徹底ぶり。というよりは、保育園から小学校の高学年までのずっと少人数の持ちあがりの弊害か、いや、都会の1学年数クラスってとこでも変わらないんだろうな・・虐められる運命だと。


何度か考えたけど・・・自殺せずにここまで来たのは、物心ついた頃から嫌われていじめられていたから、“私は皆に嫌われる存在”って自分にとってはそれが当たり前ってどこか頭の片隅にあったから。

それと、いっぱいいっぱいだった頃に転校してきてくれた今でも友達付きあいのある親友の1人と、自分を空想という世界へ導いてくれた本のお蔭だろう。


もう本当に・・・フィギュアを崇めつつ2次元以外の男なんて男じゃねーよ!っていうくらい現実の男にときめかないですから!を、真面目に地で行く思考回路を持っておりますさ。

今のマイブームは数年前からどっぷり嵌っている漫画のコスプレ ――基本は男装だが、女装もたまにする―― にフィギュア集め・・・●番くじの為に食事費にすら手を付けて、暫く白米のみで過ごそうとも自称ライトなオタクですと言い切ります。


何と言っても自分、本気でコスプレ好きのコレクターオタクですからね。


外では勿論ばーちゃんに愛想よくって徹底されて言われていたから、その通りに人と話すときは愛想良くって気を付けてやっているけど、他人ひとが怖くてたまらないんだよね。

徒党組んでる同い年位や如何にも今時の子って苦手以上に恐怖すら感じるしさぁ。


・・・コスプレ好きなのは楽しいからだけど、その根底にあるのは違う自分になれるっていう快感と素の自分を隠して沢山の人と関われる楽しさから。

他人は怖いし1人が楽だけど、否定されるのが嫌な寂しがり屋・・・むちゃくちゃだけど大体そんなもんでしょう。


当たり前の様にモテたこともないけどさ、それ以上にホントーーーーーー・・・っに興味ないんですよ!2次元以外には!――――って、はっきり告げると100%の確率で「そんなんじゃダメ!」っていう説教をいろんな人から受けるんですよね。


なんでだろ?


年が28歳って微妙なお年頃なのがいけないのだろうか・・・いや、30歳過ぎてもこの性格は絶対に変わらずに悪化している予想しかつかない!

はぁぁ、おば様方とお話しするのは嫌いじゃないんだけどねぇ?あの話題さえなければさぁ。


「ぷっ、もー・・・ラインなのにリリと接するとイライラが無くなるから不思議だよ」


ま、折角だし帰って野菜とか貰うかな!今の時期は大根と白菜があるだろうし~・・。

あ、今無性に大根おろし食べたくなった!よし、今日の晩御飯はおろしツナスパ食いたい気分だけど、作んのめんどい!


イヤ、食いたいから頑張って大根をおろす!!


そうと決まれば折角実家に行くんだし、お金もある事だし手土産どーしよっかな?みんなの好きなものを買うのに偶には趣味にではなく、みんなの為にどどんとお金を遣ったろう。

あ、ツナ缶と和風だしはあるけどポン酢がなかったから買い忘れない様にしなくては。


「よっし、行くか」


思い出すとまた苛々してくるし、タブレットを閉じて鞄に突っ込んで車から降りた。










ツナおろしスパは大根おろしとツナ缶。彩にカイワレ大根で、和風だしをお湯に濃いめにといてポン酢と合わせたものが好きです。


読んで頂きありがとうございます。

次話もよろしくお願いします。

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