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英霊の召喚士  作者: 息抜きおじさん
1章 英霊と少年
9/9

第9話 勇者達のあれから

めちゃくちゃ短いです

 この世界に来た時は色々悩んでたけど、こっちはこっちでそこまで悪いもんでも無い。

 テレビやネット、ゲーム何かが無いのはちょっといただけないけど、それ以外は素晴らしいもんだ。


 ご飯は美味しいし、城の皆は優しい。

 何かあっても自分達の力で解決出来るってのが良い。


 ってな感じで今日も俺達勇者四人は、気ままにダンジョン探索をしながらレベルを上げてる最中だ。


 何時か来る災厄に備えてってのもあるけど、実際に魔物を倒してレベルが上がるってのはなかなかに楽しいもんだ。

 暇さえ有ればダンジョンに潜ってレベルを上げ、アビリティの習得に余念が無い。

 今の目標は、騎士団長から1本を取る事だ。

 あの人は色々とおかしい、動きが人間じゃない。


 近い内に、あの動きには追い付けると思うけど、倒せるかと言われたらNOだ。

 幾ら俺達が勇者と言っても、そんな直ぐに強くなれる訳じゃないって事だな。

 時間はまだまだあるんだ、頑張ってレベルを上げるだけだな。


 「拓磨(たくま)!また一人で先走ってる!大事なのは連携って話でしょ」


 「うん、拓磨は何時も一人で先に行っちゃう」


 「悪かったよ二人共、ついつい気分が乗っちゃってさ。」


 又何時もの様に二人から説教を受けている。

 最初に声を掛けてきたのが、水樹(みずき)で俺の幼馴染だ。


 そして次に声を掛けてきたのが、晴香(はるか)で水樹の親友って所かな。


 あの居残り補習の時、二人共俺を待っていたせいで巻き込まれたんだけど、そこは全く気にしていない様子だった。


 最初は何を言われるかビクビクしてたんだけどな。


 「俺的には拓磨がバンバン倒してくれるお陰で楽が出来るから有難いけどねー」


 「(すぐる)はそればっかだな、たまには自分一人で前に出てみたらどうだ?」


 コイツは俺の親友の秀、スポーツは出来るが頭は俺と同じで良くない。

 後は怠癖が付いてる。


 「無理無理〜、琢磨が倒しても経験値入るんだからわざわざ俺が無理しなくても良い感じだし〜」


 何時もこんは感じでやる気を見せてくれない。

 本気でやれば、かなり強いとは思うんだけど……




 俺達は、何時もこんな感じに四人でダンジョンの探索を行っている。

 そろそろ最下層に辿り着けると思うんだけど、思っていたよりも深いみたいだ。


 「これで十五階層の探索は終わりかな」


 「そうだね、そろそろガーディアンとの戦闘かもしれないから皆気を付けてね」


 水樹の言葉に皆が反応する。

 ガーディアンか、このダンジョンに潜る前に、実は一つだけダンジョンの攻略を終わらせている。

 そのダンジョンは10階層にガーディアンがいたんだけど、思った以上に強くて苦戦してしまった。


 その時は秀がやる気を出してくれたお陰で勝てた様なものだった。

 三人だけだったら正直やられていたかもしれない。


 だけど今は違う、アビリティもかなり習得したし、レベルも大分上がって、ステータス何て前と比べ物に成らない位に強くなった。


 今回のガーディアンを舐めているわけじゃ無いけど、前回よりは楽に倒せると思うんだよな。




 「言った側から最下層何て不思議な話よね」


 「ハハハハ、皆気を付けてね」


 魔法陣に向かってそれぞれが武器を構える。


 そして魔法陣が光を放ち始めた。


 現れたのは三つ首の鋭い牙を持つ、5mは有りそうな犬の様な魔物だった。


 「晴香!鑑定宜しく」


 「任せて!」


 俺の言葉に晴香は直ぐに動く、俺達の戦いに置いての役割分担はこんか感じだ。


 前衛は俺と秀で、俺が剣で秀が槍だ。

 そして中衛はアビリティの炎操作と水操作をつかって戦う水樹だ。

 後衛は弓を使う晴香だな。

 それぞれの役割をきちんと果たせば、今の俺達に倒せない魔物はいないと思う。




 っと、案の定苦戦する事無く相手を倒す事が出来た。

 ただデカイだけの魔物だった。

 うん、思った通り俺達は確実に強くなってる。

 この調子で行けば災厄が訪れても問題無く解決出来そうだな。




 二つ目のダンジョン攻略を終えた俺達は、意気揚々と城に戻った。

 だけど、今日の城は何時ものにこやかな雰囲気とは違っていた。


 何かあったのか騎士に尋ねると、「敬愛様と楓様がお戻りになられました」と言っていた。

 別に二人が戻ったからって、何でこんなに変な雰囲気になってるんだ?


 取り敢えず、俺達四人は玉座に向かう事にした。


 「おぉ、ソナタ達無事に戻ったか。良かった良かった」


 王様は何時もの様に優しく出迎えてくれた。

 「有難うございます王様、それより敬愛と楓ちゃんが帰って来たって聞いたんですけど?」


 「あぁ、先程戻って来たんじゃがな。二人共かなり消耗している様じゃったので、今は休ませておる」


 「消耗?それよりも敬愛と楓ちゃん以外にもう一人いたと思うんですけど?」


 「うむ、何故分からんが戻って来たのは二人じゃった。今はゆっくり休んでもらい、体力が戻ったら説明してもらおうと思っておる」


 「そう……ですか。なら分かりました、二人が起きたら教えて下さい」


 一体何があったんだ?

 消耗仕切っている?

 帰って来たのは二人……

 こんなの絶対良くない事が有ったって事だろ。


 「琢磨、あんまり顔に出しちゃ駄目だよ」


 「水樹……」


 「琢磨は不安な事があると直ぐに顔に出るんだから、今は考えても仕方無いよ。二人が目を覚ますまで待ちましょ」


 「あぁ、そうだな。有難うな水樹」


 水樹ニコッと笑い優しく俺の頭を撫でた。

 ドキッとするからやめて頂きたいんだが。




 二人が城に戻ってから二日が経っていた。

 いったい何時になったら話しが聞けるんだかな。


 色々と考え事をしながら歩いていると、目の前を歩いていると敬愛が目に入った。


 「おいっ、敬愛ー!」


 「んっ?あぁ、琢磨か」


 「一体何があったんだ?」


 「ストレートな質問しやがって………まぁ良いか。実はな、城の外で人間に襲われた」


 「どう言う事だ?何で勇者の俺達が襲われるんだよ」


 「知らねーよ!俺が聞きたい位だ。取り敢えず襲われたのはあれなんだが、宏太が俺と楓を守る為に………」


 「宏太って二人と一緒に冒険に出掛けた奴だよな?何があったんだソイツに」


 「消えちまったんだよ、俺達を守る為にランダムってアビリティを使って、敵と一緒に空間の裂け目に飲み込まれた」


 話している敬愛は悲しい顔をしていた。


 「空間の裂け目……それからどうなったんだ?」


 「楓と二人で毎日毎日日が暮れるまで探したよ、だけど何処にも宏太は居なかった。街や村の人にも聞いたがそんな子見た事無いって言われちまうし。楓は宏太の事でショックが大き過ぎたみたいでどんどん弱っちまうしよ……クソッ!!」


 「それで城に戻って来たのか……もしかしたら宏太って子もう……」


 「それ以上言うんじゃねえ!!」


 「悪いっ……怒らすつもりじゃ無かったんだ」


 「楓と二人で、この後王様に話すつもりだ。何なら他の三人も連れてきてくれないか?」


 「分かった、皆には声を掛けておくよ」


 そうして敬愛とは別れた。

 歩いている敬愛の後ろ姿には、昔の様な覇気は全く感じる事が出来なかった。

 楓ちゃんだけじゃないじゃないか、敬愛……お前も十分弱ってるよ。


 しかしどう言う事だ?

 何故勇者である俺達が人間から襲われる?

 勇者と知らずに襲って来たって線が一番濃厚だよな。

 だとすると襲って来たのは、盗賊か何かか?

 でも、あの二人が盗賊何かに遅れを取るとは思えないしな。


 あー、もうっ!幾ら考えても分からない。

 取り敢えず、もう一度話しを聞くまで考えるのは延期だ。




 そして玉座の間に皆が集まり、敬愛と楓ちゃんの話しが始まった。

 話しの内容は、さっき俺が聞いた話しと殆ど変わらなかったが。

 どうやら相手は、三人が勇者と知って襲って来たらしい。

 襲った内容も攫う為だとか、どう言う意味だよ。


 「ふむ、何やら良からぬ事が起きておる様じゃな。まさか勇者様方を狙うとは……」


 「王様……宏太君を、宏太君を探してください!無事でいるなら早く助けてあげないと!宏太君はこの世界で生きていける程強くないんです!お願いです!宏太君を……宏太君を…………」


 楓ちゃんは泣いていた、膝から崩れ落ちて何度も宏太を助けてと、泣き叫んでいた。


 「うむ、直ぐに捜索隊を組ませよ!宏太殿を探すのじゃ!」


 王様の一言で、捜索隊は直ぐに出かけていった。

 果たして宏太無事なんだろうか?

 もしかしたらもう……


 「琢磨……また表情が……」


 「あっ………うん、ごめん」


 やっと理解した、この世界は優しいだけじゃない。

 俺達には見せていない、恐ろしい一面があるって事を。

 二人は一足先にそれを体感してきたんだ。


 何れ俺達に訪れるかも知れない、恐怖を。


 もう一度気を引き締めなければいけない。

 敵は魔物や災厄だけじゃ無いって事を、肝に銘じておこう。

誤字がありましたら教えて下さい。

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