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英霊の召喚士  作者: 息抜きおじさん
1章 英霊と少年
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第1話 呼ばれてますよ泣き虫さん

息抜きの様な感じで書き進めて行きます。

色々至らない所があると思いますが温かい目で見守ってください。

 ある日の放課後、斎賀宏太(さいがこうた)は教室の隅で泣いていた。


 友人達とゲームセンターに行く約束をしていたにも関わらず、あろう事か数学の小テストで最低点を叩き出し居残りをさせられていたのだ。

 自分以外にも数人が居残りをさせられていたが、仲の良い者は1人もおらず孤独だった。


 そんな情けない自分を呪い涙しながら居残り勉強に励む。

 そして最後の問題に取り掛かろうとした時だ。

 教室を激しい揺れが襲った。

 数人の生徒が驚き、そして戸惑い教室から逃げ出そうとした。


 その時だった。


 「扉が開かねぇっ!!」


 1人の生徒が叫ぶ。

 それに釣られる様に他の生徒達も扉を開けようと試みていた。


 「本当に開かないわっ!どうしてっ?!」


 教室中に怒号にも似た叫びが響き渡る。


 その中で只1人落ち着いた顔で席に座ってる男がいた。


 そう、俺だ。


 しかし決して落ち着いている訳ではない。

 恐怖で腰が抜けているだけである。


 これきっと駄目な奴だ、助からない奴だ。

 悪い考えばかりが頭を過ぎる。


 更に揺れは激しさを増していく。

 そして揺れに耐え切れなくなったら床は軋む音と共に崩れさる。


 恐怖に染められ、言葉にならない叫びを上げる俺達を飲み込みながら。




 「おはようございます皆様、良く眠れましたか?」


 透き通る様な声が聞こえ俺は目を覚ました。

 周りを見渡すと、さっきまで教室にいた生徒数人も目を覚ましたようでうつらうつらとしていた。


 だがそんな事はどうでもいい、此処は何処だ?

 周りをいくら見回しても白い空間の様な物が広がっているだけで、視界に入ってくるのはクラスメイトと1人の綺麗な女性だけだ。


 夢でも見ているのかと思い、頬を思い切り(つね)ってみた。


 目から大粒の涙が流れた。

 はい、これ現実です。


 俺と同様に周りの生徒達も現状を理解出来ていない様で、驚き戸惑っていた。


 「いきなりこの様な所に呼ばれて混乱している事でしょう、ですので少し落ち着いて私の話しを聞いてくださいませんか?」


 又しても透き通る様な声で言う。

 綺麗なブロンドの髪、琥珀の様な澄んだ瞳。

 そんな人に話しを聞いてと言われたら喜んで聞きますよ。


 少なくとも俺はね。


 「ふざけんなよっ!いきなり何だよこれ」


 いますよね反抗的な人って、でも今は話しを聞く以外どうしようもないと思いますよ。

 と言うより、反抗的な態度を取ったり発言出来る程俺は強い人間じゃないし。


 「ハハハハ………」


 そんな事を考えていると、自分の口から乾いた笑いが零れていた。


 「お気持ちは分かりますが、ほんの少しで宜しいので」


 女性の言続き葉に又反抗しようとした生徒を、他の数人が諭した。

 そして女性は語り始めた。




 何故俺達は今この様な真っ白な所にいるのか。

 それは此処が天界だからだと言う。

 何故天界に呼ばれたのか。

 それは別の世界から俺達を召喚しようとしている人物がいるかららしい。

 なら何故別の世界では無く天界にいるのか。

 それは天界が世界と世界を繋げるゲートの様な物だからだと言う。


 要するに俺達は今から別の世界、いや…異世界に送られるって訳ですね。


 「あの、元の世界に戻して貰う事は出来ないんですか?」


 1人の生徒が口を開いた。

 確かに、今が送られる前なら戻る事も出来る筈だ。


 「残念ですが不可能です。天界から元いた世界にゲートを開く事は出来ません。一方通行の様な物なので。戻りたいのであれば、召喚された世界から元いた世界に帰る為のゲートを開くしかありません。」


 その言葉を聞いた生徒達からは悲痛な声が次々に上がった。

 勿論その中には俺もいる。

 最悪だ、行かなきゃ帰れないなんて。

 行った先の人が帰してくれるのかも分からないんだぞ。


 「只別の世界に送られるというのは、流石に理不尽ですよね。向こうの世界には魔物もいますし」


 その言葉に、悲鳴の様な声さえ聞こえた。


 異世界に送られるだけでも怖いのに、更に魔物までいるだって?

 もう終わりだ、詰んだ。


 「ですから此処で貴方達に少し贈り物を、と言いますか戦う為の力の様な物を贈ろうと思います」


 彼女が右手を前に突き出し、横にスッと振った。

 すると目の前に半透明のモニターが浮かび上がった。


 「今貴方達の目にはモニターが映し出されていると思いますよ。それは貴方達の能力、言い換えればステータスを数値状に表したものですね。まずはそれを見て下さい。」


 彼女に促されるまま俺達はモニターに目をやった。


 Name:斎賀宏太(さいがこうた) Age:16

 Job:学生 Birthplace:日本 Lv.1

 HP:250 MP:80

 Strength:30

 Defense:20

 Vitality:25

 Quickness:20

  Magic:30

 Ap:5

 〈Ability〉

 NoData


 何だこれ?

 目の前には、ゲームの世界で見ていたステータスがあった。

 日本語表記に英語表記、めちゃくちゃだなこれ。

 ステータスが高いのかどうかも分からないし、アビリティのNoDataってのが何か嫌だわ。


 「確認して頂けましたか?それが現在の貴方達のステータスとなっております。個人差は有りますが、殆ど気にならないレベルだと思います。それではステータスの説明を詳しく行っていきますね」


 そうして一通りの説明を受けた。

 力や体力何かの数値化は良く分かったけど、アビリティってのは何なんだろう?


 「これにてステータスの説明を終わります、それでは次にアビリティの説明を行いますね」


 まるで何かの講義を受けているよな真面目な時間。

 眠そうな顔をし始める人までいる。

 集中だ集中!


 アビリティとは特殊な力の事。

 武術や魔法とも違う、異世界には無い力。

 世界の(ことわり)の外側に存在する物。


 要するに、別の世界から召喚される俺達にしか使えない力らしい。

 何かチートみたいで良いな。


 そしてアビリティはApを消費して覚えたり、鍛えたりする事が出来る。

 Apはレベルが上がる度に5づつ増えるらしい。

 説明が至れり尽せりだな。


 「そして別の世界に旅立つ貴方達に私からの贈り物と言うのは、そのアビリティの事です。先ずは別の世界でも言葉や文字の読み書きに困らないアビリティを贈りますね」


 彼女の指先から光が溢れ出し、それが俺達の身体の中に吸い込まれていった。


 ステータスを開くと、アビリティの覧に【異世界言語時点】と言う物が追加されていた。


 これだけで言葉の壁を感じずに済むのか、凄いなアビリティ。


 「そしてもう一つアビリティを贈ろうと思うのですが、それは貴方達に選んで貰おうと思います。このアビリティ一覧の中から好きな物を1つ選んで下さい」


 そしてまた指先に光を集め、解き放った。

 目の前に数え切れない程のアビリティ名が浮かび上がってくる。


 この中から選ぶのか、それだけでも骨が折れそうだ。


 最初はギャーギャーと騒いでいた生徒達も、既に諦めたのか真剣にスキルを選んでいた。


 結構大事だよな、最初の1歩ってのは。


 しかし多過ぎる、しかも仰々しいアビリティ名が書いてあるだけで、どんな能力なのか書いていないのが頂けないな。


 俺と同じ様な考えを持つ生徒もいたらしく、アビリティの内容を聞いていたが教えて貰えなかった。

 そこには干渉してはいけないとか意味の分からない事を言い出す始末だった。


 周りは次々とアビリティの選択を終え始めた。

 優柔不断、典型的なA型。

 そんな俺には余りにも酷な時間ですよ。


 焦りが募る中、1つのアビリティに目が止まった。


 【英霊召喚(えいれいしょうかん)

 何だこれ、名前だけなら凄くカッコイイ。

 中二心を擽られるようだ。


 クラスメイト達の視線も痛いしこれにしよう。

 【英雄召喚(えいゆうしょうかん)】何てアビリティ名が付いてるんだ、きっとチートだよチート。


 英雄だよ英雄、呼んだだけで世界救ってくれそうじゃないか。


 「遅くなりました!これにします!」


 自分の中の目一杯のボリュームで叫んだ。

 他と比べると小声レベルだが。


 「分かりました、斎賀宏太さんは【英霊召喚(えいれいしょうかん)】ですね。それではどうぞ」


 ん?何か今聞き間違いかな?

 名前が違って聞こえたんだけど。

 まぁ気のせいだろう、色々あって少し耳がおかしくなってるだけだ。


 「はいっ!有り難うございます」


 最後までアビリティを決めかねていた俺が決めた事により、全ての準備が終わった。


 「それでは今から貴方達を別の世界へと送るゲートを開きます。不安も有るでしょうが、皆で手を取り合い、励まし合い頑張ってください。それでは良き旅路を」


 彼女が目を閉じて、何か呪文の様な物を口ずさ見始めた。

 すると白一色だった世界に歪が現れる。

 それは少しづつ広がっていき門になった。


 クラスメイト達は恐る恐る足を進め門を潜って行った。


 そして最後まで残ったのは勿論俺。

 ………行くしか無いよね………


 これから起こる事への不安を抱えながら、俺は門を潜った。

誤字がありましたら教えて下さい(_ _)

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