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乙女ゲーの世界で ケース⑦

キーワード。

乙女ゲー転生トリップ・ヤンデレ・輪廻転生・設定が杜撰


私・神威楪かむい ゆずりは

“廻る輪の中で”というゲームの主人公。転生者である女性の魂が、その器に収まっている。

僕たちは。

俺たちは。


君に逢うために。

お前を愛するために。


巡り会うんだ。

この世界で。



【廻る輪の中で】



―――たとえ、死が二人を別とうとも、逢えると信じているから。



『乙女ゲーの世界で ケース⑦』



廻る輪の中でっていうゲームはね、私が2個前の前世でプレイしたゲームのタイトルで、なんでいきなりそんな話をし出したかって言うと、その主人公として“私”が生まれちゃったからなのだ!

あ、やめて。白い目で見ないで!目をゆっくりと逸らそうとしないで!地味に傷つくからね!?

とと、一人でノってる場合じゃなかった。とりあえず、ここがゲームの世界っていう前提で、お話をさせてもらうよ?

このゲームはね、私の前世のときの呼び方で言うところの、“乙女ゲーム”っていうジャンルのものになるんだ!

あ、乙女ゲームって分かるかな?ヒロインが色々な男の子と恋愛をするっていうもので、そのゲームはプレイヤーによって見方が変わるかな?

人によっては、ヒロインに自分を投影して、疑似恋愛を楽しむ場合もあるし、中には恋愛小説のように第三者視点で楽しむ人もいるよ。


ゲームを進めていくと、選択肢と呼ばれるものが出現して、プレイヤーがこれだ!というものを選択していくんだ。

その選んだ回答によって、攻略対象者である男性の好感度に変化が現れるの。

大概の人は、一途プレイしているんじゃないかな?あっちこっちとつまみ食いばっかしていると、最悪個別ルートに入らないこともあるし。

個別ルートっていうのはね、共通ルートって呼ばれる、どのキャラを攻略するときにも必ず通るルートにおいて、好感度が最も高いキャラ専用の物語のことなんだ。

それに入ってしまえば、その人しか攻略出来ないことの方が多いかな?ゲームのシステム上、三角関係といった変わったシステムがない場合は、概ねそんな感じ。

だから、共通ルートで“あんなにも仲良くしていたのに!?”っていうキャラも、最悪フェードアウトしていることがあるんだよね。そこが、謎っていうか。扱いが雑というか。

中には、ちゃんと皆が絡むゲームもあるんだよ?まぁ、個別に入っちゃったら、一人の人しか好感度が上げられないんだけどさ。

とと、乙女ゲームっていうものが、どんなものか簡単に説明しちゃったけど、ちょっとは理解して貰えたかな?して貰えていると嬉しいなっと。


そんな乙女ゲームの主人公として生まれちゃったのが、この私!

いやはや、驚いちゃったよ。自分の名前が“神威楪”って聞いたときに、びびびっときたもんだ。

まぁ、思い出したといっても、うすらぼんやりとした記憶しか思い出せなかったけどね!

いや、だって聞いてよ。さっき、2個前の前世でって言ったでしょ?

その言葉の通り、1つ前の前世ではゲームとかそういったものがない、ファンタジー要素を詰め込みました!魔法だってあるよ?な世界で80歳まで生きてたんだもの。

そりゃあ、そんだけ生きていたら、それよりも前の記憶とか、あやふやになっても仕方がないよね?

これはもう、仕方のないことなんだよ。少しだけとはいえ、概要を思い出すことが出来た自分を褒め称えたいくらい!


とと、そんなわけで、あんまり覚えてないんだけど、タイトルとゲームのちょっとした設定くらいなら分かるよ!それと、肝心の攻略対象者のことも!

目覚めた人・ブッダや神の子・イエスに独眼竜・伊達正宗、英雄・ナポレオンなど、偉人達の魂を持って生まれ変わった彼らと巡り会うこの世界で、愛を育むのがゲームとしての設定なんだ。

このゲームは、他にも印象的なものがあって、悲劇の少年王・ツタンカーメンとその妻、アンケセナーメンの魂を持った二人がこの世界で巡り会って、仲睦まじい姿を見ることが出来るんだよね!

だから、ついつい微笑ましい気持ちで見てしまうんだよ。


前世の私はね、それなりに歴史が好きで、よく歴史番組を見ていたから特にね!

ピラミッドの秘密とか、ツタンカーメンの謎の死とか、戦国大名についてとか、真珠湾攻撃や神風特攻隊、アウシュヴィッツの強制収容所などなど、これといったこだわりもなく、ただただ見ているだけだったけど。

その中でも、少年王とその妻となった少女の話は、テレビで見た時ほっこりとなったの。

あの当時は続かなかった幸せが、この世界で続いているのかと思うと、例え想像の世界だとしても嬉しいものがあったから、ゲームが開始される2年生になる前に彼らと友達になれて嬉しかったな。

あ、彼ら以外にも友達は出来たんだよ?マグダラのマリアちゃんに聖女・ジャンヌダルク、それにマリー・アントワネット!

「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」という発言で有名だよね?

といっても私が生きていたときに、それが彼女自身の言葉じゃないっていうのも分かったし、今の彼女からしてもそんなこと言いそうにないもの。

天真爛漫で、ハープの演奏が得意で、羨ましいったらないわ。

今紹介した彼女たちは、私が入学した“輪廻”と呼ばれる学校で、1年生のときに仲良くなった友達。


このときは、まだ攻略対象者である彼らには出会ってないよ?出会うとしたら、2年生になる今年かもしれないんだ。

主人公である“神威楪”という存在が、ゲームと同じように出会ってしまうのかは分からないけど、ここは回避という選択を選びたいよね!

だって私は、ゲームと同じような出会い方を求めていないもの。

1年生のときに出来た友達だって、ゲームと同じように動いて出来たわけじゃないしね。

ゲーム開始時の主人公には、友達が一人もいなかったから。そんなの寂しいじゃない?

ここは、ゲームを舞台にした世界なのかもしれないけど、そこでどう生きるのかを決めるのは自分だもの。

誰かに操られてだとか、わざわざうろ覚えのゲーム展開にする必要もないよね?ってそう思っちゃったんだ。

人との出会いは、一期一会のようだって思うから。


だから私は、このゲームの世界に生まれて良かったなって思っているの。

このゲームって、プロローグの後に個別ルートを選らぶタイプのゲームなんだよね。

自分、すっごくついてるって思うよ。誰かの個別ルートに入るための選択肢が、出現するような流れにしなきゃいいってことだからね。

口では、ゲームと現実は違うんだって言っていても、それはそれ。これはこれなんだよ。

不安要素はなるべく取り除きたいもの。誰かを選ぶような流れにならなければ、それで良し!

最初の選択肢さえ無くなってしまえば、自分の中で“廻る輪の中で”っていうゲームに縛られなくてよくなるもの。

その後で彼らと出会っても、出会わなくてもどっちでもいいかなって思ってるんだ。

それはそれで、そういう運命だったっていうことだし、1年生のときに出来た友達と仲良く学校生活を送るのも楽しいと思うんだ。


だからね、早く“私”を縛り付けるゲームという概念を払拭して欲しいの。

その存在が、私の心の中を少しだけ蝕んでいくのが怖いから。

主人公という存在が、彼らにあったであろう未来を狂わしていくんじゃないかって。

彼らと“楪”がどんな恋をしていたのか覚えていない私は、それが怖いの。

壊したいわけじゃない。狂わせたいわけじゃない。ゲームと同じ彼らになって欲しいわけじゃない。

誰もがこの世界で生きている。私も私として生きているもの。

だから彼らにも、彼らが思うままに生きて欲しいから。



早く時が過ぎればいいのにね。その選択が現れなければ、私は囚われることなく生きていけるのに。



『乙女ゲーの世界で ケース⑦』 了



折角、巡り会うことが出来たというのに逃す筈がないだろう?

愛するために。もう一度逢えると信じていたというのに。

なぁ、***。―――いや、この世界では楪、か。

最初考えていたものは、プロローグを終えた後、個別に入るということを思いだした私(楪)が、おっしゃ、おっしゃーと握りこぶし作って喜び、自分ついてる、ついてるよまじで!と喜ぶ。

最初の選択肢さえ逃れることが出来れば、人生を謳歌出来るんじゃね!?と大興奮する。

そんな少女の姿を書きたかったのに……。


それと、ブッダが転生したら駄目じゃん!って話なんですよね。

その辺り毎度のことながら、てきとーです。解脱しているというのにね。

あ、イエス・キリストはその点、大丈夫ですかね?(調べろよって話ではありますが)

誰の魂を書くかで悩んじゃって、その辺り雑な仕様になってしまい、申し訳ないです。



ここからは、システムについて。

今回は、プロローグ後すぐに個別選択出来るものにしました。

中には、プロローグもなくゲーム開始の段階で個別に入れるものもありますが、プロローグを経てからの個別ルートの方が多いかな?と思いまして。

ただし、ゲームと違うのは、制限付きのキャラが既に解放されているということ。

一回きりの人生なので、ゲームのように周回が出来ない分、自分の中での裏設定としては、誰でも攻略可能ということになっています。

また、それと同様に現実の世界では、攻略出来る人間に制限がないので、“私”が望めば、誰とでも付き合うことが出来ます。


そう考えると、乙女ゲーのヒロインもヒロインで可哀想な存在ですよね。

沢山の人がいるというのに、限られた人の中からしか選べないというのが。

いつか、そのネタでお話なんかを書いてみたいものです。

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