乙女ゲーの世界で ケース⑤
キーワード。
乙女ゲーに転生(記憶持ち)・能力者(本編で微塵も出ない件について)・前置きが本編・前世は、オタク・愛キャッチシステム他
私・本庄瑠佳。
前世、女でオタク。転生ありの記憶持ち。乙女ゲーのヒロインとして生まれる。
前置き(設定など)
ファンタジー要素ありの現代学園もの。“能力者”と呼ばれる人間たちが住む世界。
“ヒロイン”は、能力者として特殊な力を持っている。
(他者の能力を奪い、自分にも他者にもその能力を移し、使用することが出来る。コントロールは完璧)
故に、“死神”と囁かれ、畏怖の存在となっているが、本人は気にしていない。
寧ろ、女たちからの嫉妬によるいじめにビクビクする毎日を送っているが、周りの女子は、ヒロインの力を恐れて手を出すことが出来ない。
なので、彼女の周りには、能力に長けた者。死神という噂に興味のない者。幼馴染や、その能力に興味を持った者が集まっている現状。
いきなりで申し訳ないんだけど、私の前世の話を聞いて欲しいの。
突っ込みは、なしの方向でね。勝手に喋るから、聞いてくれると嬉しいかな?
私の前世は、所謂オタクってヤツで、ゲームも漫画もアニメも大好きで、同人誌も買っているような人間だった。
中でも好きだったのが、“乙女ゲー”と呼ばれるジャンルのもの。
19歳のときにプレイし始めてから、私が死ぬまでの約10年は、乙女ゲーばかりプレイしてたんだよね。
それくらいはまっていた私は、色々な乙女ゲー関連のアンソロだって当然の如く買っていたし、ドラマCDだって気に入った作品のものであれば買っていたの。
だからなのかな?今世で乙女ゲーの世界に生まれた挙句、ヒロインになっちゃったのは。
……好きだったけど。乙女ゲーは、好きだったけどさ……ヒロインになりたいとか、乙女ゲーの世界で生きてみたいとか、そんな願望なんて微塵もなかったのに。どうして、こうなっちゃったのかな?
『乙女ゲーの世界で ケース⑤』
ひょんなことからプレイしたことのある乙女ゲーに、不本意にもヒロインとして生まれてしまった私こと、本庄瑠佳(デフォルト名)
これといって攻略対象者と仲良くなりたいわけじゃなかったんだけど、ヒロインの設定上どうしても周りから興味を持たれてしまうのはお決まりだったから、そのことに対して最初から抗う気はなかったのよね私。
あ、年だからとか言わないで!疲れた、面倒臭いってわけじゃないからね?
話の展開上、避けて通れないなら(ここへの入学とか、彼らとの接触についてとか。強制なんだもの)
せめて、選択肢でなんとか逃れたいわけなんだけど、どんなことを言ったら好感度が上がっちゃうのか覚えてない私にしてみれば、結構ハードルが高いと思うのよね。
何が引き金となって好感度が上がるのかが分かっていると、それと真逆なことを言っていれば、離れていってくれるかもしれないのに。
でも、前世で100本以上の乙女ゲーをしている私にしてみれば、覚えているわけがないよね?っていう話なのよ。
例え、どれだけそのゲームが好きだったとしても、私には無理。頭の中に焼き付くほどプレイしていないもの。
RPGだったら何週でもプレイ出来るんだけど、乙女ゲーだったらないかな!
一本のゲームで最低でも2人から始まって、多くても12人は攻略出来ちゃうでしょ?
それを、中身を覚えちゃう程繰り返すとか無理だもん。
基本的に、好きなキャラしか攻略しないし、一回見たらそれでお終い。
あとは、スチル回想とか、ゲームによっては存在する全シナリオを個別に分けた回想を、好きな所だけしか見ないし。
そんな私だから、自分の思ったことをてきとーに言っていたら、実はそれが選択肢に対する回答で、しかも割と回収してしまっているという現実に泣きそうよ。
どうして私が、フラグの回収をしているのが分かるかっていうとね、別に好感度システムがあるわけじゃないからね?
自分のスマホのアプリに搭載されているとか、そんなんじゃないよ?
ほら、あれ。乙女ゲーでお馴染みになりつつある“愛キャッチシステム”っていうのがあるじゃない?
ゲームに合わせた花とか、キラキラしたエフェクト表示されるアレ。
今の場合だと、可愛らしいお花がぱっと咲いて、花びらがひらひらと散っていくときに、キラキラと光っているの。主に攻略対象者の胸元で。
でもね、一人だけ年下キャラがいるんだけど、その子の身長が低いからなのか、それとも他の攻略対象者たちを基準にしているのか分からないんだけど……彼の場合、顔面にお花がばーん!するんだよね。
あれを初めて見たとき、恐怖以外の何物でもなかったから。咲き乱れているお顔とか、まじで心臓に悪すぎる。
こんなシステム導入しているくらいなら、履歴システムが欲しかったよ私!
もしくは、クイックセーブ・ロードでも可!巻き戻してやり直したい!今度は上手く回避するからさ!!
だからお願い!自分に見合った生き方を歩ませて欲しいの!!
『乙女ゲーの世界で ケース⑤』 了
今回は、システム面について触れてみました。ゲームをする際に大変お世話になっている、愛キャッチや履歴(またの名をバックログ)、クイック系とかです。
履歴システムについては、メーカーによって機能が異なりますので、今回は、過去の文章を読めるだけではなく、履歴に表示された部分であれば、自分で選んで戻ることが出来るという機能を前提としています。
(ちなみに。あるボタンを押している間の分だけ、巻き戻すことが出来る場合もありますし、中には履歴を見ることが出来ても、戻ることが出来ないタイプもあります)