乙女ゲーの世界で ケース⑩
キーワード。
背景・音楽・方言
うち。
“ お伽話”というゲームの世界に来てしまった女性。
現実の筈なのに、生きている実感がしない。
まるで、この世界の全てが幻のように。
淡い幻の中で育む恋の調べ。【 お伽話】
きっと、私はもう戻れない――。
『乙女ゲーの世界で ケース⑩』
この世界は、“ お伽話”という乙女ゲーム作品とよく似ている。
それは――って、こんな真面目口調で喋っとられんげんけど!これから、どんだけ喋ると思っとれんて!?
面倒やし、いつも通りの口調でいくわ!ちょっと分かりづらいとこもあるかもしれんけど、聞いてたいま。
……え?大丈夫がん?そっかぁ、あんやとね!
この世界が、お伽話やって分かったんは、背景としてよく見とった建造物と、登場人物によく似た人間がおったさけ、分かったもんやぞいね。
と、言ってもやぞ?登場人物は、流石にリアルになっとる分、それっぽい人がおるな~程度やったんやけど、背景でよく見とった建物が、実物大で建っとるげんよ?
限定版同梱の設定原画集にはラフスケッチがあって、公式ビジュアルファンブックには、全部の背景が載っとるんやけどぉ、これがまんで綺麗ねんて!
あの背景に惚れ込んで買ったもんやしねーこのゲームは。
ほやさけぇ、この世界に来て実物を見れただけでも、めっちゃ得した気分やったわ!
んで、肝心のゲームのことなんやけど、……知りたいけ?
なーん。別に言いたくないってわけやないんやけど、……しゃーない。説明すっけど、あんま覚えとらんから、詳しく説明出来んげんけど、いいけぇ?
このゲームはなぁ、めっちゃ後味の悪いゲームやってんてねー。でも、本編自体は、悪く言えばご都合主義展開。
良く言えば、王道展開満載のゲームやったから、物語だけを見れば可もなく不可もなくな、安定感のあるゲームっていうのが、うちの感想やね。
そやけどぉ、その感想が一瞬にして覆されることがあってんて!
メインヒーローとヒロインがくっついた後、EDが流れて、後日談を挟んで、画面が暗くなったさけぇ、これでタイトル画面に戻るんげんろ?って思って待っとったら、いきなりガガガってゲーム機から、なんか読み込む音がしたと思ったらぁ、
「あーあ、つまんね」
って、一言囁いてからのタイトル画面。
ヲイ。マテ、コラ。まさかとは言わんけど、このためだけのダミーヘッドマイク仕様とか言わんやろね?
ぬおおおお!!誰か嘘だっと言ってくれんけ!?あれは、本当にないぞね!
かといって、全員がそんな感じじゃないげんけどね。
ヤンデレ風、純愛のままで終わるもんもあって、ギャップ萌えを狙っとるんかどうかも分っからんげんてぇ。
なんなん、このゲーム?って思ってんけどぉ、そういう仕様やったんかなぁって思うことにしたわ。
やけどぉ、初々しいメインカップルに癒されたままで終わるんかと思ったら、まさかのアレやよ?
あの台詞が一番衝撃的過ぎて、後味の悪いゲームやったっていう感想しかないわー。
え?肝心の話の内容は、どんなんやったかって?
あー……覚えとらんげんてねぇ。あの最後の言葉のせいで、かき消されたもんやって!あんなん。
せいぜい覚えとったんがぁ、王道的だったなーっていう漠然とした記憶と、めっちゃ綺麗な背景に、これまた素晴らしいBGMやね!
あれも最高やったぞいね!やけどぉ、なんでサントラ発売してくれんがん!?
ゲーム内でしか聞けんとか、ないぞいねぇ。どの曲も聞きごたえのあるもんやったけど、好きな曲をまとめて聞きたいときもあるやろ?
そんなときに、一曲再生・一曲リピート・全曲リピート・ランダム再生だけとか、嫌やぞいね。
しかも、携帯機やけど、持ち歩いて聞けんし!うちが住んどるとこって、田舎やしぃ交通手段ってなると、車になるげんてねぇ。
やしぃ、仕事から帰ってきてから寝るまでの間でしか聞けんげんてねぇ。
そやけどぉ、やっぱ会社の行き帰りに車で流したくてしゃーないっていうか。
いつでもどこでも聞きたいって思っとったんにやぞ?
まさかゲームの世界にいるとか、なんなん!?こんなことになるなんて、夢にも思わんかってんけど!
夢なら早く覚めてくれんけぇ?元の世界で音楽聞きたいげんけどぉ……。
だってさぁ、いきなり音楽がゲームのように流れたりする筈もないやろ?寧ろ、なった方がおとろしーわ!
今まで家に帰れば聞けたもんが、聞けんくなるげんよ?しかも、その音楽自体が、この世界にないとか、ほんとにやめてくれんけ!?
うおおおおおお!!神様、仏様、お母様ぁ!うちをお家に帰してくれんけええええええ!!!!
『乙女ゲーの世界で ケース⑩』 了
**一部訂正**
「設定原画集→限定版同梱の設定原画集」
上記の内容にて訂正しておきました。
※設定原画集・ビジュアルファンブックについては、活動報告(11/18分)にて説明させて頂いております。
**一部訂正終了**
今回は、システムというよりは、特典にある(ない場合もありますが)音楽鑑賞について、少しだけ触れました。
それと、背景絵について触れる際に、設定原画集とファンブックを出してみました。
このお話しを書くにあたり、方言を少し使ってみたんですけど、中々に難しいですね。
普段無意識に使っているものを、あえて意識して書くというのは。
そこまで多くの方言を使用したわけではないので、大丈夫だとは思うのですが、少しだけ意味や使い分けについて書いておきますね。
・~たいま→~ください。この場合、「聞いて下さい」になります。
・~がん?→~なの?この場合、「大丈夫なの?」になります。
・あんやと/あんやとね~→ありがとう。
・~ぞいね/~ぞいや→女の人が使う場合には、ぞいね。男の人が使う場合には、ぞいやとなります。
・まんで→もの凄く。
・~さけ/~さかい→~から、~だから。
・うち→私。
・おとろしーわ→恐ろしい。
細かいところだと、~け?~げん、~ねん、~てん、~れん、~や等々。