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水色のコラール  作者: 大路まりさ
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第二十三話 水色のコラール

春日の手を取りコラールの名を唱えた。

アドルフとエドワードは王を押さえつけた。


「王の権力をマンツィアリ家に戻してください。」

「エドワード、アドルフ、裏切るのか!?絶対に返すものか!!隣国を・・・・世界を手に入れるのだ!!」

「あなたはコラールに魅了されすぎた」

「本来王になるべきはマンツィアリ。つまりアルトとテナの一族です。」


僕はその言葉を耳に入れつつ、春日とともに歌った。

その瞬間、王国は光に包まれ暖かな日差しが包んだ。

冷害の寒さが消えていくように・・・・。

そして砂漠化していた大地には緑と水を。

精気を失っていた農民たちも承認も、目が覚めたようにスッキリとした顔立ちだった。






来たれ民よこの場所に集え

来たれ民よ天に祈れ


闇から黒い手が伸びるとき

民はひたすら逃げ続け

いつしか何も無くなる時

空は黒くなり果てる


天より降りし十二使徒

能力ちからを持って薙ぎ払え

天より降りし十二使徒

闇を払いて救うのだ



黒雲が世を包む時

泣く子を抱いて逃げる親

見て見ぬふりをしながらも

涙は頬を伝いゆく


天より降りし十二使徒

能力ちからを持って包み込め

天より降りし十二使徒

愛を人々へ救うのだ



目の前が何も見えぬ闇

光の歌が降り注ぐ

歌の名を知る使徒一人

我らが希望は異界から


天より降りし十二使徒

天空の歌を呼び覚ませ

天より降りし十二使徒

人を救うは人の歌



冷たく凍る風があり

かじかむ指に刺さる針

温もりを呼べ我の手に

人の心に火を灯せ


天より降りし十二使徒

風と一緒に力増せ

天より降りし十二使徒

心の炎解き放て



命の元の大地から

新たな命生まれゆく

水の潤い糧にして

世界を作る大地へと


天より降りし十二使徒

響け大地の動く音

天より降りし十二使徒

涙の流れる音を聞け



冷たく刺さる針の剣

大地の怒り聞こえてた

ひとつきの刃胸ささり

気づく頃には時遅し


天より降りし十二使徒

滅びは小さく音を立て

天より降りし十二使徒

近づいたとき我気付く



地に咲く花の命さえ

短き命尊たっとうに

小さな種に強き花

天に伸びゆく力あり


天より降りし十二使徒

天へとつなげ草の葉を

天より降りし十二使徒

太陽の日を花たちへ



欲に塗れた人の子ら

天の父より怒りの音

いかずちの音鳴り響き

涙と共に流れるる


天より降りし十二使徒

光さす場へ我を連れ

天より降り十二使徒

大地の恵みに感謝して



凍てつく大地冬の空

雹が降り出し破壊する

人は逃げ出し南へと

動物達は残されて


天より降りし十二使徒

人の心は凍りだし

天より降りし十二使徒

闇に飲まれ暗くなる



人の生まれは風の音

石がはらみ命生み

希望に満ちた大地には

夢を描いた神の子が


天より降りし十二使徒

闇を優しく包みこめ

天より降りし十二使徒

柔らかな風従えて



国に災い起きるとき

異界の扉開かれる

使徒を集えと呼び声を

叫んだその時動きだす


天より降りし十二使徒

集え今こそ立ち上がれ

天より降りし十二使徒

民を救うは使徒の歌



天に描くは空の星

安らかに眠る人の子ら

争いは消え空は晴れ

命輝く大地あり


天より降りし十二使徒

護れ未来の光たち

天より降りし十二使徒

平和の命永久とこしえ


来たれ民よ この場所に集え

来たれ民よ 我に力を







王国を光が包む。

王は民衆に捕らえられた。

長い歴史の伝説は終止符を打った。


『ありがとう・・・・・水色・・・・』


チェレステの言葉を聴きながら、光に包まれた王国を見た。

太陽の光が指し、青空が広がり、山がそびえまるで、別の世界にいるように美しかった。


「これが本当の王国なんだ・・・・」


テナはそうつぶやいた。


「テナ、マンツィアリ夫人だよ。」

「ニコール・・・・」


夫人はテナと、テナが支えていたアルトとソプラを抱き寄せた。


「ごめんね・・・・・ありがとう」

「夫人・・・・ご無沙汰しておりました。孤児院依頼ですね。」


夫人は三人を抱きしめた。

ニコールから事情を聞いていたテナは夫人を抱き返す。


「あなたが私達を逃がしてくださらなかったら光の溢れる国を見れなかったんですね・・・・・」


テナは空を見上げた。

テナは気づいた。

ずっと貴族の家で育っていたら、コラールを守ることも、民衆としゃべることもなかったのだ。

そして、僕らが共に旅することも。


「アルト、ソプラ、起きたらびっくりするでしょうね」


そう言って僕を見た。

涙が流れていた。


「知ってる気がするんです。この光を。

小さな頃に見た夢に似てるんです。

私とアルトはそれを大きな城から眺めている。二人で。

そこにソプラもいて、大地を見据えるんです。」


その言葉は、まさしく国の未来を見据えた王のように見えた。


僕はとなりにいた春日の手をとる。

春日は頷く。

夢のような物語が終わる。

時空と異界を越えた旅が終わる。


「水色君!?夜羽さん!?」


テナは僕らを見て目を見開く。

アルトとソプラを寝かし、夫人はテナの背中を押した。

ニコールとシモンがこちらに駆け寄る。


ステファンがラピスを抱えて連れてきた。

アメシスも。


「水色、帰るのか!?」


ステファンがはラピスを降ろすとポケットを探る。

ニコールは僕の手をとる。


「水色、夜羽、この世界に来てくれて本当にありがとう。」

「ニコール・・・・・」

「シモンとステファンとリオでね、錬成して作ったの。」


僕と春日の手に何かを握らせた。

ニコールは優しい笑みで微笑んだ。


「あたし達は歌よ。だから、忘れないで」

「うん」

「水色の世界にも、歌はあるでしょ?

コラールが揃った今、もう異界は越えられないかもしれないけど、私達は忘れない。

あなたが勇敢で、素直で、大切なものを大切にできる人ってことをね!」


ニコールの上から、次々にみんな手を重ねた。

シモンが夜羽の手を取る。


「夜羽さん、水色を頼むね」

「はい。」

「本当に短い間だけど、あなたの歌はとても素敵だ。水色が好きなのが良く分かる」

「・・・・・・はい。」


そんな会話をする間に、僕らの体は透明になっていった。


「ありがとう」


僕はそれだけ言った。

それだけで十分だ。


これからコラールが消えてしまうわけではないのだから。

きっとまた会える。

僕がコラールを忘れない限り、ずっと一緒にいるのだから。





僕は変われただろうか?


僕は自分の意思をちゃんと人に伝えられたのだろうか


元の世界に戻っても、


僕は僕でいられる?




「みずいろ」




隣を見れば、春日がいた。

春日は笑った。

そんな春日を見て、僕も口角が上がった。













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