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水色のコラール  作者: 大路まりさ
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第十七話 散りだす火花

「刺客か!?」


全員臨戦体制に入る。

しかし、そんな間もなく飛んできたのは草の刃。

そして、鋭い剣先。

慌てて二手にわかれた。


「葉っぱ?」

「いや、葉っぱにしては危険過ぎるぞ!?」


「最悪だわ。鉄同士なんて。鉄より硬いかも!」

「それは籠手ガントレットですかね。しかも鉄じゃない!鋼です!」


それにしても、僕らは可笑しいと気づいた。

普通の人間がこんな技を使える筈がない。


「錬金術師ではなさそうだな、てめぇら。」

「いかにも。」

「まさかですが、十二使徒とかいいませんよね?」


テナが真面目に聞くと、二人の刺客は笑う。


「十二使徒と言ったら?」

「それは困りますよ。戦うのは避けたいです。」

「残念だな。俺たちはお前たちを殺す!!」


その言葉を合図に再び戦いが始まる。


「草は私とアルトに任せてください!焼きます!」

「鋼の方は僕とニコールで!」

「承知!アルト!」

「まかせな!!」


凄まじい攻防が始まる。

ニコールの能力は「針」

針の太さは自由自在で、流石はピエロとばかりの凄まじい投げ方である。


「鋼の弱点とかないの!?」

「鋼でしょうね!」


僕は咄嗟に刀をイメージをした。

鋼の剣。

腕から光だす聖跡から何故か日本刀が出てきた。


「え!?」

「すごいすごい!!なにそれ!?」


ニコールがはしゃぐなか、籠手からつきだす刀が凄まじい。


(なんで日本刀!?てゆーか剣なんか使ったことないし!!)


そんな思いもあるなか、なぜだか上手く扱えた。

なにも考えていないのに剣が扱える。体が動く。


「くっ!」


ガチンと、金属のぶつかる音がした。


「なかなかやるね、アンタ!」

「君もね!」


戦いのさなかの短い会話。

しかし、止まない金属音。


「名は?」

「天草水色!」

「は?変な名前。水色が名前でいいわけ?」

「そうだけど」

「ふーん。俺はエドワードで、あっちのがアドルフ。」

「へー。」

「楽譜くれたら、こんな戦いはしないね。

アンタには殺されたくないな。

アンタほど強ければ、ダチのほうが面白いだろうし」

「奇遇だね。僕も同じ気持ちだよ」


止まない金属音と、飛び交う針。

一方、アルトとテナも戦闘は止まなかった。


「兄さん、大丈夫ですか!?」

「平気だ!お前強いな」

「それほどでもない。正直、お前たちが強いから気が抜けない。それだけだ。」

「言葉が上手いな!俺はアルト。んで、こっちはテナだ。お前が十二使徒なら、俺らの仲間になったほうがいいぞ!」

「アドルフだ。

申し訳ないが、お前たちの要求は聞けないな。

逆なら別だがな。」

「は?つーか、お前は王様の仲間なのか?」

「そうだな。」

「あっそ。悪趣味だな。」

「いずれはソプラ様が王になるのだ。」

「もっとわけわかんねぇな!」

「そのためには楽譜がいる。さあ、よこしたまえ!」


会話は絶えず、さらに戦闘も絶えなかった。


「テナ、まだ平気か!?」

「ええ!問題ありませんよ。おかげさまで!」


テナの炎はますます出力が上がる。

しかし、相手もまた蕀を鞭のように扱い、さらには長さや太さが変幻自在である。

時にナイフのような葉が飛んできて、アルトが慌ててはらうのであった。


「くっそ!ホントにお前ら十二使徒なのかよ!?」

「本来ならば敵にはなりなくありませんでした。

ソプラだって、ソプラはずっと私たちと共に暮らしていたのに!」

「お前らとソプラ様の関係は知らないが、ソプラ様の命令は絶対だ。」


戦闘は絶え間なく続いた。


その時だった。

歌が聞こえた。

アルトとテナは、その歌声を知っていた。


「ソプラ・・・・?」


すると、アドルフとエドワードは戦闘から離れた。

そして、二人の間には、実体のない映像から流れているような美しい少年の姿があった。


『やあ、元気?アルト、テナ。』


長いサラサラとした髪を後でリボンで束ねていた。

貴族のような美しい服を着ている。

白いブラウスに鮮やかな赤色のベスト。

半ズボン。

胸にはエメラルドのブローチを着けていた。


『見てよ。僕もね、貴族みたいになれたんだよ、

しかも今は宮廷音楽家の一人になれた。

あとは楽譜が揃えば完璧だよ。』

「マジでいってんのかよ、お前」

『君たちが貴族じゃなければ、僕はこんなに無理に這い上がろうなんて思わないよ。

ただね、君たちは世の中は上手くいくことだけじゃないことを知るべきだよ。』

「どうゆう意味だ・・・・・!?」


すると、今度はソプラの隣に人が見えた。

それは、両手を縄でくくられたラピスとアメシスだった。


『まだいるよ。』


さらにシモンとステファンまでもが捕まっていた。


『水色!』

「ステファン!どうして・・・・!?」


僕は目を見開いた。

そんななかで、ソプラは続けた。


『君たちをお城に招待するよ。

これらを迎えにくるといい。

盛大な祭りをしようじゃないか。陛下もきっと楽しんでくれるに違いないよ。』


そう言うと、ソプラは消えた。

それを追うように、アドルフとエドワードも消えていった。


「うわっ、テナ、大丈夫かよ!?」

「平気です。ちょっと能力ちからを使いすぎただけで」


戦闘が終わると同時にテナは膝を地面につけた。

汗がしたたる。

腕や手が真っ赤になり、焼け爛れていた。


「絶対大丈夫じゃねぇよ!」

「平気ですってば。これくらい少し痛むくらいでなんともありますせんから」

「我慢できるかどうかを聞いてるんじゃねぇ!」


アルトは鞄からクスリと包帯を出してテナの手に巻き付ける。


「馬鹿野郎・・・・」


テナは何も言わずに目をふせた。


「わかってはいたんです。

能力ちからを使いすぎるこうなるって。」


しかし、後悔の様子はなかった。


「行きましょう、ソプラのところへ。私たちが止めなくては、この世界はただの欲にまみれた世界になってしまいます。私は兄さんや孤児院の皆が一緒にいてくれればそれでよかったのにまさかソプラがあんな考えを持っているなんて知りたくありませんでした・・・・。

私の能力は(ちから)はそれらをとめるものです。

選ばれた力であり、力を使うのに失うものがないほうがありえないことですから。」


テナがそういうとアルトは黙ってテナの火傷に薬をぬった。


「兄さんだって、本当は相当疲れているでしょう?」

「馬鹿言ってんじゃねえぞ。」

「馬鹿なんていってませんよ。兄さんこそ気をつけないと」

「わかってる。」

「そうですか。」

「ああ。」

「きっと一緒ですよ。その時は。そうですね、ソプラも一緒に。」


二コールは二人を不安そうに見つめていた。

そして、僕を見た。


「水色がどうするか決めなよ。直接楽譜を集めて欲しいっていわれたのは水色なんだから。

水色がどんな選択をしたって、シモンもステファンもそんなにやわじゃないんだから。」


二コールのその言葉にアルトとテナはうなずいた。

僕の選択はひとつであった。


シモンとステファン、そしてラピスとアメシスを救うためにも


「行こう。ソプラのいる宮廷へ」


僕は決意を固めた。








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