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水色のコラール  作者: 大路まりさ
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第十話 おそろいは、宝石の名前も

そこにいた少女は紫色の瞳をしていた。

長いミルクティブラウンの髪。

そして、お針子の作業着であるエプロンドレス。

手には草笛。

見つめる先には目の光を失った召使達がいた。


「なんてこった・・・・」


アルトは唖然としていた。

そして、召使たちに駆け寄る。

すると、召使達はアルトに言った。


「あの少女の機嫌を損ねてはいけません」

「はあ!?」

「あの方は空を支配しておられるのです。」

「どうゆうこと!?」


僕は話に飛びついた。


「あのお方をここへ連れてきてから、空が晴れないのでございます。」

「それで、なんで彼女をここに連れきたの!?」


僕達には、それがとても重要だった。


「あの方は十二使徒様でございます。」


十二使徒!僕は草笛の意味がわかった。

あの草笛はラピスのものではなく、彼女のものだったのだ。

その瞬間、外に雷が落ちた。

その音はとてもすさまじく僕は見たことのないような大きな雷だった。


「誰?」


少女は喋った。

その声は凛としていた。


「あなた達も、私を捕らえに来たの?」


そういって彼女は僕達に手のひらを向けた。


「やべえ!!テナ!!」


とっさにアルトはラピスを抱えた。

テナはあわてて僕の腕をつかむ。


「水色君!!」


そして焔を出した。

そう。少女は雷で僕達を攻撃してきたのだった。


「私の味方なんていないの。雷で焼き尽くすの・・・・」


テナがいなっかたら、本当に危なかった。


「マジでやばいんじゃね?これって。」

「本気モードですよね。」

「僕達が仲間ってわかれば収まるかな??」

「そうかもだけど、かなりキテんぞあの女。」


そんな風に話している時、僕らはうっかりラピスを忘れていた。

ラピスはすっかり怯えていた。

瞳には涙を浮かべて今にも声を上げて泣いてしまいそうだ。


「おいラピス、お前巻き込まれたくなかったらさっさと逃げろ!」


アルトはそう言ったがラピスは首を横に振った。


「やだやだ!!僕はおねえちゃんと一緒に帰りたいんだ!!」


僕は引っかかった。

なぜラピスはそんなにも彼女が大切なんだろう。


「おねえちゃんしかいないんだ。

僕に優しいのはお姉ちゃんだけだったんだ!!

お姉ちゃんの草笛は僕をいつも元気にしてくれたんだ!!

だから一緒に帰りたいんだ!!」


そんな会話をよそに、電流は僕らを襲う。

アルトは慌ててラピスを抱き上げる。

テナの焔で打ち消す。

あっという間にガラスは割れて、部屋の中はめちゃくちゃになった。


「水色!あの女気をつけろ!」

「うん」

「コラールにとりつかれてんぞ!あれは!!」

「ええええ!?そんなことあるの!?」

「ある!現に王様がそうだろ!能力ちからの使い方を間違えると自我を持ってかれる!!

力で人を押さえつけてる!こいつの場合空もだけど!!」


アルトはラピスを下ろす。

僕はラピスに訪ねた。


「ね、彼女に家族っているの?」

「わ、わかんないよ。この街に来たのは最近なんだよ。」

「え!?」

「最初にお姉ちゃんがいたのは僕がいた場所だよ。

どこかからずっと歩いてきたような感じで、靴とか履き潰れてたよ。」


そう話している時だった。


「ね、兄さん。あのブローチの紋章見える??」

「ん??え!?」


アルトとテナが何かに気づいたようであった。


「あれ、ハルトマンの家紋か!?」

「・・・・でも、貴族の中では有名じゃないですか。

それに、ハルトマンでは最近娘が一人行方不明でしたよね??」


僕はそれをきいてまさかと思った。


「彼女は貴族の娘で、どこからか逃げてきた・・・・??」


しかし、彼女は暴れるのをやめなかった。


「何か理由があるはずだ。ここまでなんで逃げてきたのか。

なんで逃げた末に捕まり機嫌を損ねているのか。」


僕がそういった時、アルトはため息をついた。

そして話を続けた。


「売られたんだろ。」

「え??」

「ハルトマンって言えば王宮に出入りしている貴族の一つだ。王様に自分の娘を売ったんだろう。十二使徒だからな。

王様はその家を大切にするだろうし、多くの褒美だってやるだろう。

俺らにだって賞金がかかってるくらいだ。貴族に対しての褒美なんて痛くも痒くもないだろう。」


それを聞いたとき、再び気づいてしまった。


「・・・・・じゃあ、彼女はいま一人ぼっちなんだね。」


そういった瞬間に激しい電流が僕に向かって流れだした。

僕はそれを避けることしかできない。

そして彼女は、涙の伝う頬を拭わないまま言った。


「あんたたちだって私がお金になるから捕まえたいんでしょう??」

「違う!!」


僕は否定する。


「僕らは君を迎えに来たんだ!!」

「そう言った人が何人私のところに来たと思ってるの」

「本当だよ!!」

「コラールは何があっても渡さない。コラールは私なの。この歌は私そのものよ。」

「だったら僕だって持っているさ!!僕のコラールを、僕の歌を!!」


そう言っても、拉致はあかなかった。

アルトの風は電気を通してしまうし、テナの炎では爆発をしてしまう。

僕は自分の能力がわからない。どうすればいい??


そう行ってる間に、彼女の周りには強大なエネルギーが発生していた。


「私は一人だわ。

この世界で誰かと幸せに暮らしてる人なんていなくなればいいんだわ。」


このままではみんな死ぬかもしれない。

そんな時だった。


「おねえちゃんは一人なんかじゃない。僕はお姉ちゃんと一緒だよ。」


ラピスは草笛を手に、少女に近づいたのだった。


「僕は両親に捨てられたんだ。

お姉ちゃんみたいに売られたわけじゃないけど、僕はずっと一人ぼっちで。

拾われた教会にも、今でもなかなか馴染めない。

けど、お姉ちゃんは僕に親切にしてくれてたでしょう??

僕はその時初めて独りじゃないんだって思えたんだ。」


ラピスは近づく。

電流は、流れたまま。

ラピスは近づく。

溢れるエネルギーは、止めない。


「僕のこと忘れっちゃったの??でも・・・それでもいいんだ。」


ラピスは草笛を口にくわえた。

そして吹いた。

・・・・・コラールの旋律であった。


「ラピス!?」


ラピスは少女に近寄った。


「ラピス危ない!!!!!!」


ダメだ。

このままではラピスが電流で焼け死んでしまう。

僕は走り出す。

ラピスを止めに。

しかし、時は既に遅く、凄まじい電流は爆発した。


煙が蔓延する。

それもそのはずだった。

電気の熱と空気の温度差により、煙がすごい。


前が見えない。

あたりは白く、何もない世界が広がっているようにさえ見えた。


「・・・・なんか、急に冷えましたね・・・・??」


煙が引いたと思ったら、あたりは氷の世界であった。


「氷・・・・??」


少女に手を差し伸べたラピスの右腕が光を放っていた。

そして、そこには聖跡が刻まれている。


「お姉ちゃん、見て」


ラピスはニコリと笑った。


「おそろいだね」


そういったラピスを少女は力いっぱい抱きしめた。


「おバカね・・・・危険な目に合わせたのに・・・・」

「お姉ちゃんのが辛かったんだよ、おあいこじゃない。」

「・・・・ありがとう」


少女は僕たちにお辞儀をした。

それはとても美しい作法であった。


「初めまして。アメシスと申します。先ほどの無礼をどうかお許しください」

「水色です。」

「私はテナ」

「俺はアルトだ」

「私たちは全員十二使徒なんです。よかったら仲間になりませんか?」


テナがそう言うとアメシスは微笑んだ。


「よかったね!お姉ちゃんにもいっぱいお友達できたね!!」


ラピスは僕たちにも抱きついた。

アルトがラピスを抱き上げる。


「いよっし!!一件落着だな!!」

「うん!!お兄ちゃんありがとう!!」


そんなことをしている時だった。


バン!と音がした。

アメシスを捉えていた屋敷の使いが銃を発泡したのだった。

しかしそんなのもはアルトの敵ではなかった。

風でおしのけた。

そしてテナはアメシスのそばにいた使いを柱に縛り上げた。


「ここで話すのもなんだな。いいとこねえかな」

「お兄ちゃん!僕のおうちは?」

「お前んち?だいじょぶかよ?」

「平気だよ!僕のおうち教会だもん。みんなで一緒に行こうよ。」


とラピスが行ったようにトントンと話は進んでいき、牧師は僕らを見るなりありがたいとばかりに祈り始めて、シスターはラピスを抱き寄せた。

アメシスには手を差し伸べて、どうやらアメシスも引き取ってくれるようである。

さらに、今晩泊めてくれるらしい。


「一緒に旅に来てもいいが、どうする??」

「二人集まったってことはあと5人か」

「あんまりいても邪魔だわ。私はここで待つことにします。」

「分かりました。それではこちらの郵便や宛にお手紙を書いていただいていいですか??情報はそちらからきますから。」


こういってシモンたちの連絡先を知らせた。


「シモン?ってあのシモンかしら?クラベス伯爵の家の・・・アシュベリー様のご親戚の??」

「多分そうじゃないかな。」


僕はをこれまでの経緯とともに、郵便について説明していた。

そも間にアルトはラピスにこんな話をしていた。


「お前とアメシスって名前もおそろいなんだぜ、知ってた??」

「え!?」

「アメジストもラピスラズリも宝石の名前だ!!」


アルトがそう言うとラピスとアメシスは微笑んだ。







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