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星空の下にて

 白い、暗い、赤い。


「月が明るくて星が見えないねぇ」


 彼女がひどく楽しそうに言うものだから、僕も少し笑って「そうだね」と返した。すると彼女はじぃっとこちらを見て

「何かロマンチックな事言いなよ」

 と無理強いしてきた。


「僕はほら、そう言うキャラじゃないから」

「現代っ子め」

「お互い様だよ」

「私はほら、うん。いいのよ」

「何が?」

「女の子だし?」

「ん? ごめん、何が?」

「女の子がロマンチックなこと言ったらダメでしょ」

「そうなの?」

「そうなのよ。知らなかったの?」

「意外と」


 天体望遠鏡買ったから家に来ないと誘われた。家と言っても彼女の家ではなく海沿いに放置された海の家だ。勿論無許可故、誰かに見つかったら学生生活の良い思い出となること間違えない。家に家族がいない僕と彼女には先生が来ること請け合いだったけれどそれも、まぁいい。


「星の温度が低かったら赤いんだよね、確か。そして、温度が高かったら青い……普通逆だよね」

「ん~、それ自体初めて聞いたからふ~んとしか言えないんだけど」

「という事はねさそり座の心臓部分って真っ赤だよね。という事はもうすぐさそり座なくなっちゃうのかなぁ~」

「聞いてました? 僕そう言うの詳しくないんだって」

「というのは私が星の温度と色の関係聞いたとき真っ先に思ったことで、本当の所どうなんだろうね」

「どうなんだろうね。知らないとしか言えない」

「するとさ、太陽も真っ赤だよね。あれはどうなんだろうね」

「天体について無知な僕から言わせてもらうけどさ。比べる土俵、間違ってると思うよ? 後、太陽は赤くないよ」


 天体望遠鏡を覗き込みながら、ヒートアップしていく彼女を横目に、僕も星を見上げる。海の潮風が生暖かい。どれがなんの星座なのか全くわからないけれど、星空を見ると何も考えなくていいから好きだ。


「僕はね。天体望遠鏡が双眼とは知らなかったよ」

「うん。だってこれ双眼鏡だもの」

「見える?」

「肉眼よりは見える」


 彼女が楽しそうに笑うから、僕もつられて笑ってしまった。


「楽しい?」


 彼女が聞く。


「そりゃあね」

「付き合ってよかった」

「うん。よかった」


 ただ、星を見て、手を繋いで、自転車に乗って帰るだけ。

 そんな夏に入る前の夜。月明かりで彼女の影が伸びる。


「私、バイトしよっかな~」

「僕はしてる」

「自慢~?」

「してどうすんのさ」

「いっぱいどっか行きたいね~」

「どっかって?」

「宇宙旅行っていつ行けるんだろう」

「生きているうちに実現すればいいね」

「本当にねぇ」


 今度は昼に海に行こうと言って別れた。

 からからと自転車の音が遠のいていき、僕も家路についた。

思っていました。

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