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公園にて
夕暮れ時に影が伸びる。
少年の足もとにはそれがない。ただ、それだけの違い。
帰る場所はあった。親もいた。兄妹さえいた。
ただ、少年の足もとには存在するはずの影がなかった。
それにより、不便を感じたことはあまりない。数は少ないがこんな人間はいるらしい。
知らずに入った喫茶店の店主が幽霊なのが当然な世だ。こんな人間がいても珍しくはないだろう。
さわっ……。
枯葉が舞い彼の足もとに落ちるが踏まれるまでもなく掻き消えた。
人には反応しない。消しゴムには時々反応する。ゴミには反応しない。犬にも反応しない。
気まぐれに落ちてきた物をかき消したりはするもののそれ以外は何も害はなかった。