4-qu
きっと私は間違っていない。
大丈夫、きっと大丈夫。
言い聞かせ、竜車を走らせる。
走竜一頭で竜車を牽くのは骨だろうが、頑張ってもらうしかない。
走竜に回復魔術を掛けながら二人の後を追う。
浄化は無事終了し、クウガは戦場に飛んだ。
呪が浄化が成功したことを伝えるためである。
元々メンティとアステの復興の援助をする予定だったので、それも伝え、降伏を促すのだ。
これできっと戦争は終わる。
英雄の言う通り、五人を二手に分け行動した。
その理由や行動内容はあまり詳しく書かれていなかったが、きっとこれが正解。
戦場できっと、救世主の剣の特殊効果が役立った。
重力操作という、この世界では着目されていないもの。
詠唱し大地に突き刺すだけで、対象者に対して重力が重くなる。
これを使って戦争が終わることが目的だった。
その裏側で“何か”をする。
その裏側が何なのか、それは書かれていなかったが、きっと呪の浄化だ。
そうであってほしい。
もし間違っていて何か不足があれば、それがどういった未来になるのか、それがわからない。
わからないことは不安だ。
今までずっと来るべき未来が見えていて、それに従って行動し、生きてきた。
いざそれがなくなると、どうして良いかわからない。
だがそれもこれで終わる。
復興作業を手伝い、平和条約を結ぶ。
五人を元の世界に帰し、数年後の私に宛てられた英雄の最後の手紙を読むまで生き続ける。
それが終われば私の役目は終わり。
それからどうすれば良いのかはわからないけれど。
手紙を読む頃には、隣にキイトはいない。
クウガとクオル、エディたちはいても、キイトはいないのだ。
目を瞑る。
召喚の魔術が使えるのは怒りの日だけ。
つまりあと二月。
あと二月、キイトがいる。
二月だけ、いや、二月もあるじゃないか。
そう自分に言い聞かせ、切り替える。
これから忙しくなるんだから、感傷的になっていられない。