結末トライアルV!
「これで……止めだ!」
勇者が叫び、魔王に剣を突き立てる。剣が刺さったまま、悲鳴を上げる魔王。勇者の後ろにいる仲間達も、魔王が倒れるまでは構えを解かなかった。
「わ、わたし、の野望が……こんなにも簡単に……」
そして、魔王は呻き声と共に倒れた。魔王とその部下の魔物、二人がそこに並んだ。
息を荒げていた勇者も、魔法使いも、戦士も、ほっとしたように溜息をついた。戦いが終わったのだ。今まで続けてきた、長い戦いが。皆が各々を見つめ合い、笑い始める。
「やったよ! やった魔王倒せたよ!」
「すげえじゃんお前!」
全員で部屋の中央に集まり、わいわい騒ぎ始める。話は広まりに広まり、この魔王の城へ入る前の出来事まで及んだ。今日、此処に来るまでにしてきた事を思い出話のようにし始める。そして、これからどうやって皆が進んでいくのかも。
「もし」
透き通った声が響く。全員がそちらを見ると、声の主である女性が、部屋の奥のカーテンから顔を出していた。金髪、整った顔。そして煌びやかなドレス。落ち着いた雰囲気を纏った彼女は、手招きをしながら言う。
「助けていただいてありがとうございます。もしよろしければ、お礼をさせていただきたいのです」
勇者たちは顔を見合わせ考えた後、彼女の元へ駆け寄って行った。そして順々にカーテンの奥へ消え、一番最後にドレスの女性がカーテンを閉め、自分もそちらへと姿を消した。
勇者達が完全に行ったと認識した後、魔王とその部下の魔物は何事もなかったかのように起き上がる。魔王はハリボテの剣を容易く抜くと、重くため息を吐いた。魔物もけろっとした顔で服のほつれを気にしている。
「あーもう、今日これで何回目だよ魔王倒されるの。クリアされすぎだろ」
「さあ。三十回くらいいってるんじゃないっすか?」
「これならお化け屋敷の方がマシなんじゃねえの」
「でもこっちの方が面白いっすよね」
「馬鹿。何度も同じ芝居するのの何が楽しんだよ」
「まあ此処、魔王の城っすから」
ゆっくりと雑談しつつ、道具を元の場所に戻す。そうしていると、先程のドレスの女性がカーテンから小走りで出てきた。
「次の客来ますよ、早く準備してください」
「ういーす」
「はーい」
トライアルV=trial version(体験版)