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低くて、掠れた声。


怒鳴ってない。


威圧でもない。


ただ、剥き出し。


初めて聞いた。


格好つけてない。


順番もぐちゃぐちゃ。


酷いこと、言ってる。


“俺のもんだって言え”なんて。


最低。


独占欲。


暴走。


なのに。


胸の奥が、じわっと熱くなる。


ああ。


ちゃんと、愛されてる。


ちゃんと、求められてる。


距離を置いて。


息がしやすくなって。


穏やかで。


楽で。


それも本当。


でも今。


この人の腕の中で、


呼吸が苦しくない。


さっきまでの衝動と違う。


怖さじゃない。


怒りでもない。


ただ、本気。


失いたくないって、震えてる。


私のせいで、余裕なくしてる。


私が笑っただけで、壊れそうになってる。


酷い。


乱暴。


強引。


なのに。


嬉しい。


疑ってた。


足りないって思ってた。


安心が欲しいって、ずっと思ってた。


でも。


これ以上の証明、ある?


理性的に整えられた言葉より、


こんな風に崩れた本音のほうが、


ずっと重い。


ずっと、真っ直ぐ。


三日間。


私は呼吸を取り戻した。


でも。


この人は呼吸できなくなってた。


その事実が、


胸を締め付ける。


私だけが楽になって、


この人は苦しかった。


それが分かった瞬間、もう疑えない。


ちゃんと好きだった。


今も好き。


そして。


この人も、ちゃんと好きだ。


優しくなくていい。


綺麗じゃなくていい。


今のこの人となら、


息ができる。


腕の中で初めて力を抜く。


抵抗しない。


止めない。


ただ、受け入れる。


暴走してるのに、


どこか震えているこの人を。


本気のまま、


壊れかけのまま、


そのまま。




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