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笑えてる。
声も、ちゃんと軽い。
大丈夫。
重くない。
重い女じゃない。
鷲尾さんの腕は、まだ私を囲ってる。
あたたかい。
逃げられない距離。
「……それ、俺が答えるだけでいいのかよ」
低い声。
心臓に嫌なくらい響く。
「お前は?」
嫌だ。
なんで。
「俺のこと、好きなのかよ」
逃げ道、ない。
そんなの。
そんなの。
私が先に言うの?
「……それ、言わせるんですか?」
「お前の気持ち次第だろ」
目、逸らせない。
逸らしたら負け。
「……好きじゃなきゃ」
喉、詰まる。
「こんなに、苦しくないです」
目、熱い。
最悪。
言った。
ちゃんと。
逃げなかった。
怖い。
やっぱり重い?
面倒?
「……じゃあ決まりだろ」
顔を上げると、額が触れる。
近い。
「彼女にするんじゃねえよ」
低い声。
「彼女になれ」
……それだけ?
好き、は?
さっき私、言ったよね。
ちゃんと。
震えながら。
でも。
あなたは?
胸の奥、じわっと冷える。
抱きしめられてる。
距離は近い。
声も、優しい。
でも。
本気なんて、分からない。
好きって言葉。
あの一回。
あの間。
迷いじゃないって、どうやって信じればいいの。
言わせたくせに。
私には言わせて。
自分は、ちゃんと言わない。
笑わなきゃ。
重くなる。
面倒くさい女になる。
「……はい」
少し明るく。
ちゃんとできてる。
でも心の奥で、
小さく棘が刺さる。
本気なんて。
触れられただけじゃ分からない。
言葉にしてくれなきゃ、
分からないのに。




