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(第46章 夢にまで見た再会)



『悠一社長と、やっと会える』と思うと、昨夜から眠ることもできなかった美子だったが、ハル爺やから「本日の打ち合わせは夜中になりそうですから、今から美子さんはお休みになって会議に備えてください」と指示された。

ちょうど眠かったので、助かった。すぐに睡魔が襲ってきて、悠一が到着したのにも気づかず眠り込んでいた。夕食の良い香りがして、初めて美子は寝過ごしたことに気がついた。急いで身支度して飛び出すと、永井社長と鉢合わせした。美子はすぐに気づき、驚きすぎて変な対応をしてしまった。「誰?新人?」と聞かれているのに、「お父上様から今夜の会議に出席するよう申し付かっている者です」などとトンチンカンな答えをしてしまい、「お父上様?」と不思議そうにクスクス笑われた。

悠一は美子を見ても何も言わなかった。会った時から5年も経っていたのだから仕方ないだろう。悠一はあの頃から全然変わっていなかった。落ち着いた物腰、涼しそうな二重の目、明るいカラーを施した今風のヘアスタイル。洒落たデザイナーズブランドを着こなし、少し間違えれば遊び人とも思われそうな組み合わせなのに、生まれ持った品格のせいか清潔感にあふれた好青年に見える。腕時計も靴も手入れが行き届いているのかピカピカに光っている。見る人が見たら、きっと美子には想像もできない高額なものなのだろう。

そのまま一緒にダイニングに行くと、若いオタク系の男性たちが数十名集まって既に食事をしていた。たまに隣の人と小声で話している人もいるが、そもそも対人恐怖症のように不審な目の動きをして落ち着かない男性がほとんどだった。これだけの生粋のオタクは秋葉原に行っても見ることはできないかもしれない。それでも永井社長を見ると親し気に挨拶をしている。

斜め横に立っている美子の存在に気づくと、急に目を伏せて逃げるように別室へと姿を消していった。その中には、明らかに外国人も数人含まれていて、美子にはその半数の人の言葉がどこの国のものか聞いたことがなく、わからなかったのだが、永井社長は流暢に話していた。「さあ、僕らが最後みたいだから、すぐに食事を取って地下室に行かないとね」と言われ、「私は使用人なので、スタッフルームで頂きますので。どうぞ御先に、お召し上がりください」と言うのに、「時間は金なり。ほら、いいから、こっちで一緒に食べよう。スタッフルームなんて悠長に行っている場合じゃないんだ、今晩は」と言ってセットされている幕の内弁当の前に座らされた。「ほら、ちゃんと君の分も用意されてるじゃないか」と言って、物凄いスピードで食べ始めた。

女給たちもご飯やお吸い物や天ぷら等のサービスで一気に忙しくなるのを申し訳なく思いながら食べていると、「フーン。結構早食いなんだ。僕なんて今日は忙しくて朝も昼も抜きだったので、餓死する寸前だったからわかるけど」とニヤリと笑われ、「私も今日は初めてのご飯ですから」と言ってしまった。あんなに憧れていた永井社長に会えたというのに。

「まあ、いいや。そういうことにしておこう。それより、君は何カ国語話せるの?」と聞かれて、「せいぜい7カ国語ぐらいですが」と少し怯えながら答えると、「へぇー。優秀だね」と驚かれた。「そんな。さっき永井社長が喋られていた言語の半分くらいは、どこの国の言葉かすらわかりませんでした」と言うと、「そりゃあ、宇宙語だもの。わかるわけないよ」と笑った。

何だか馬鹿にされている気がして、「では、今度教えてください。マスターしてみせますから」と言うと、また驚かれた。「これは、なかなか芯の強いジャンヌダルクのような子だね。見た目は可愛いお嬢様キャラなのにね」と言って席を立った。







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