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(第3章 同じ年齢の母との恋)



悠一が思春期の頃、今までのスーパーウーマンのような母たちとは違い、庶民的で可愛らしい女性が母親になった。ツンとした秘書のような「できる女」という歴代の母は苦手だったのだが、まるで子供のように無邪気で明るい性格のヒトミママに、悠一も親近感を覚えた。

それは、母というより、同年代の女性に対する恋慕のようなものだった気がする。だから余計に、『この心のトキメキを父に知られてはいけない』と思った。

なのに、ヒトミママは、ぐんぐん悠一のハートに入り込んできた。前までの母たちより、ずっと若く、まるで姉のように接してくれた。父が四十歳くらいなのだから、娘ほどの年頃だろう。悠一が十四歳で、ヒトミは二十歳だった。成人式をやっていたので覚えている。

「振袖を着てもいいのかしら? 結婚したら袖を切らないと駄目なんでしょう?」と言うと、父が、

「外国のパーティーの時に着たらいい。まだ若いし、よく似合うよ。さすが加賀友禅の一点ものだけある。ヒトミは日本美人だから、和服が本当に、よく似合う。永井家代々続く逸品が、今に蘇って喜んでいるよ、きっと」と目を細め、愛おしげに見ていたのを思い出す。

ヒトミは、溜息が出るほど美しかった。男子校に通っている悠一にとって、年頃の若い女性が家庭に入ってくるなんて、センセーショナルな出来事だった。そして、悠一にとって初恋。一目惚れだった。



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