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(第33章 4つの別人格)



思春期になると、たまにしか現れなかった別人格が、憤りが禁じられなくなると暴れ出すようになった。美しい悠一は、幼い頃から男子の性の標的にも、しばしばなっていたらしい。学校の先生とか、運動部の部長とか、ずっと男子校だった悠一は女性のような美しい容姿は狙われやすかったのだろう。部室に閉じ込められて、悪戯された時、マコが現れ、オネエのように男をあしらった。

そして、これらの権力を持った男たちを骨抜きにして、裏の嬢王のように君臨したようだ。たまに女装して街に出て、男性たちを惑わし、薬とハニートラップを使って、秘密のデータを盗んでいた。それを裏で牛耳っていたのが省吾だったが、決して彼は出て来て話すことはなかった。ただ、他の3つの人格から、その存在を知ることができた。

そして、暴力的なチンピラのような隼人が出現したのは3歳の時だと本人は言っているが、本格的に悠一を牛耳り出したのは、15歳の夏の誘拐事件の時だったそうだ。二ノ城欽を要求したが、父親は応じなかった。いや、本当は精神病院に入院していて知らなかったのだが、怒った犯人たちに殺されそうになって出現し、助けてくれた。その後、奥野に連絡して、悠一の祖父からもらった遺産を振り込ませた。この時、裏で計画を立てたのは省吾だった。その頃のサイバー警察には、省吾の頭脳に対抗できる人物などいなかった。まんまとせしめた3億円を元手にして投資。後進国だった中国や韓国の通貨に替えて口座を開設するなど、先見性の鋭さでひと財産作っていた。極道の闇の世界で恐れられる存在になった裏側に、このお金も寄与していたことは言うまでもない。

まさに隼人は、悠一のボディガードのような存在だった。悠一の母親のカスミはアメリカ人とのハーフだった。英語が話せないのが不思議なくらい、目鼻立ちがはっきりとしていて、モデルのように美しい顔立ちをしていた。その母にそっくりな悠一も、どこから見てもクオーターで、今時のモデルかタレントとしても通用した。どこで話せるようになったかは不思議なのだが、たまにネイティブなきれいな英語で外国人のフリをした。もっぱら国内で活動しているスパイたちと情報交換していたようだ。この別人格は省吾という、姿を見せない秀才に操られて、それぞれの闇の部分に潜入しているようで、空恐ろしい気がしていた。『所詮、中学生の思春期の精神的にも危うい時なので、分裂しているに違いない』と奥野は思っていた。そう、悠一が世界を旅して、帰国後永井財閥の頭に立つまでは。そして、成人すれば、この別人格も消えていくはずだと楽観視していたのだ。









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