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(第17章 残酷な真実)



それはいつの頃だっただろうか。祖父の葬式の後だったような気がする。悠一が14歳の時だった。珍しく父が泥酔していた。

いつものポーカーフェイスではなく、悲壮感を湛えていた。そしていきなり父に腕を掴まれ押し倒された。

「俺はお前の父親じゃあない。そう、兄貴なんだ。そろそろ、お前も知っていた方がいい。永井家の財産は、お前と俺が継承している。今は好きに生きるといい。そのツケが、いずれお前の上にのしかかるだろう」と言って哄笑した。

初めて口を聞いた気がした。その声は祖父にそっくりだった。じっくり見たこともなかったが、容姿も祖父似だった。年齢を重ねたせいか、余計に祖父に似て来た気もした。「どういう意味ですか? 何も話してくれないので、さっぱりわからない。僕を憎んでいるかのような目をして黙りこんでいる。お父さん。僕は、ずっと話がしたかった」涙がいつの間にか溢れていた。『自分は、ずっと母ではなく、父を欲していたんだ』と、この時、知った。

しかし父はかなり酔っていたらしく、話の途中に眠ってしまった。高いイビキをかきながら眠る顔をじっと見ても、何ひとつ親子の情愛は感じられなかった。

しかも、この年齢差のある父を今更「兄」と言われても、現実味がなかった。

父の苦しみや苦虫を噛み砕いたような顔から笑みが漏れることがあるのだろうか。その小皴が老いを感じさせる、決してハンサムではない男の顔なのに、愛らしくさえ感じられた。使用人を呼び、父をベッドまで運んでもらった。悠一は朝、元気よく笑顔で「おはよう。昨夜は悪かったね」と挨拶する。

「おはようございます」と女中たちは畏まり、作り笑いを浮かべて頭を下げる。自分に意見をする者は、ハル爺やしかいなかった。









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